暗殺に明け暮れた冷徹武将 宇喜多直家の死因はがんの一種『尻はす』

  • 作成:2022/05/31

皆さんは、戦国時代の梟雄(きょうゆう)と言えば、誰を想像しますか? 信長をして大悪人と言わしめた松永久秀か、主君に成り代わった斎藤道三、あるいは暗殺で有名な『宇喜多直家』あたりでしょうか。 平蜘蛛(ひらぐも)の茶釜と共に爆死した久秀や、息子と対立し討ち死にした道三の最期はよく知られています。それでは宇喜多直家の死因は何だったのでしょう。周囲の恨みを買う生き方から「暗殺や謀反による討ち死にでは?」と思った方が多いかもしれません。今回は、宇喜多直家について歴女医・馬渕まり先生に伺いました。

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暗殺に明け暮れた冷徹武将 宇喜多直家の死因はがんの一種『尻はす』

暗殺、謀殺、毒殺…何でもござれでのし上がった直家

宇喜多直家は享禄2年(1529年)、備前に生まれました。宇喜多家は備前国で守護代を務める浦上氏の家臣でしたが、家中のゴタゴタに巻き込まれて直家の祖父が暗殺されると、直家は居城を追われ6歳から流浪生活を送ります。成人した直家は再び浦上家に仕え、メキメキと頭角を現すようになります。ここから直家の暗殺人生も始まりました。

まず祖父を暗殺した、島村盛実を暗殺。祖父を暗殺した憎い相手なのでこれはわかります。次に浦上家の有力家臣、中山勝政に謀反の疑いをかけ謀殺。直家の正室は勝政の娘です。舅にも容赦がありません。そして、松田元賢を攻め滅ぼす。後藤勝基を攻め滅ぼす。浦上宗辰を毒殺する。戦国時代ですし、ライバルを攻め滅ぼすのは仕方ない…。しかし、これ全部娘の嫁ぎ先。その上、浦上宗辰に至っては主君の息子です。

このほかにも、男色家の領主に美少年刺客を送り込んで暗殺。妹婿の伊賀久隆も利用した挙げ句に毒殺。三村家親を銃で暗殺。謀殺でのし上がった直家は最終的には毛利と手を組み主君に反旗を翻し追放。備前国とその周辺を支配するに至りました。

こうして備前を手に入れた直家は、毛利家の配下で戦うのかと思いきや、天正7年(1579年)に毛利と手を切り織田信長の家臣となります。そして毛利と戦を繰り返しました。
しかし、毛利との戦いのさなか、ある病が直家を襲います。それが『尻はす』です。

『尻はす』ってどんな病気?

まずは直家の死について書かれた文献を見てみましょう。

『或説に、直家の腫物は、尻はすといふものにて、膿血出づることおびただし。是をひたし取り、衣類を城下の川へ流し捨つるを、川下の額が瀬にて、乞食共度々拾ひけるに、二月中旬より、此穢れたる衣類流れざるより、直家はや死去ありしといふ事を、外にて推量して、皆之を沙汰しけるとぞ。』(備前軍記より)

『尻はす』で亡くなったことは判明しました。しかし、尻はすと呼ばれる腫物は、膿の混じった血がたくさん出ることはわかりましたがそれ以上は不明です。「尻」というキーワードと出血から「大腸がん」や「炎症性腸疾患」ではないか?という説が見られます。

しかし、「腫物」という表現は主に「皮膚にできた病変」を指す場合に使われます。大腸がんにも腫瘤(しゅりゅう)を形成するタイプがありますが、体の表面から見ても目立ちません。また、「膿と出血を拭き取った衣類を川に流して捨てた」との表現からも、「身体の表面にできた腫瘤から膿や血が大量に出た」と解釈すると、「皮膚がん」の類ではないかとも考えられます。経過から「がん」であった可能性は高いですが、何がんかまでは判断できませんでした。

かくして謀略の限りを尽くした直家も病には勝てず、天正9年(1581年)の末頃に岡山城で病死、享年53。謀殺と下剋上に彩られた波乱万丈の人生は、戦死や暗殺ではなく畳の上で終わりました。

現代では早期発見で生存率の高まる「大腸がん」

『尻はす』が大腸がんとは断定できませんが、近年増えているがんなので少し解説しましょう。
大腸がんは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんです。2020年の部位別死亡者数では肺がんに次ぎ第2位でした。

大腸がんの発生は、生活習慣と関わりがあるとされ、喫煙、飲酒、赤身の肉や加工肉(ベーコンやハム、ソーセージなど)の摂取により発生する危険性が高まります。体脂肪の過多や腹部の肥満とも関連があります。初期にはほとんど症状が出ず、進行すると血便や下血、腹痛、体重減少、貧血などの症状が現れます。Ⅲ期まで、特にI期、Ⅱ期であれば生存率が高いがんであるため、検診での早期発見が重要となります。

さて、主君や周辺の武将には卑怯な手段を使った直家ですが、家臣には優しく、無意味な粛正など行わず、重臣には領地を多く与えていました。暗殺も「部下の無駄な戦死を避けるため」の手段であったのではと思います。

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