近年、増えている停電。夏場の停電に備え、熱中症を予防しよう!

  • 作成:2022/08/24

自然災害(地震、風水害、土砂災害、落雷、大雪など)や、人為災害(火災、車両や船舶による電柱・電線の破損など)により停電は突然発生します。ほかにも、鳥の巣など動物による電線のショートなども停電の原因となります。 近年、日本では火力発電所の老朽化や減少、燃料費の高騰をはじめとしたさまざまな要因により、電力の供給量が低下、加えて今年は梅雨明けすぐに気温が上昇し、クーラーが多く使われるようになったことから、電力がひっ迫しています。さらに、夏だけではなく、これから寒い冬にも同じ現象が起こる可能性もあるのです。 そこで、電力のひっ迫による停電にどのように備えたらいいか、Dr.ソナエル氏にうかがいました。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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近年、増えている停電。夏場の停電に備え、熱中症を予防しよう!

なぜ電力が不足するのか、計画停電とは?

かつては耳なじみのなかった電力のひっ迫。なぜ最近増えているのでしょう。その原因をあげてみます。

  • 2011年に発生した東日本大震災における東京電力・福島第一原発事故の影響
  • 発電の7割以上を占める火力発電所が、脱炭素や老朽化などを理由に減少
  • 電力自由化や再生エネルギーの拡大による電力システム変化の影響
  • 火力発電所の原料であるLNG(液化天然ガス)の価格高騰や供給不足
  • 近年頻発する季節外れの猛暑や寒波の到来による電力需要の増加

電力の需要が供給を上回ると予測されるとき、大規模な停電を回避するために計画停電が行われます。事前に実施する日時や対象の地域などが発表され、地域ごとに順番で停電が行われるため、「輪番停電」とも呼ばれます。

電気は基本的に貯めることができないため、発電所では必要な分の電力を細かく調整しながら発電し供給しています。その調節の指標が「周波数」です。
電力の需給バランスが崩れると、周波数が乱れて故障やシステムの異常が起こりやすくなります。これを避けるため、発電所には電力の供給を自動的に遮断する仕組みがあります。そして電気の遮断が連鎖的に複数の発電所で発生すると、広域で停電する「大規模停電(ブラックアウト・全系崩壊)」につながるのです。

電力需給ひっ迫注意報・警報は東日本大震災がきっかけ

2011年に発生した東日本大震災後の2012年に電力需給ひっ迫「警報」の運用が開始され、2022年3月22日に初めて警報が発令されました。その後、2022年5月に電力需給ひっ迫「注意報」が新設され、2022年6月26日に初めて注意報が発令されたことは記憶に新しいところです。

「警報」は、電力の需要に対する供給のゆとり率を示す「予備率」が3%を下回ると想定される場合に発令され、「注意報」は「予備率」が3~5%になると想定される場合に、経済産業省の資源エネルギー庁より発令されます。

停電がもたらす生活への影響

家の中の電化製品だけでなく、私たちの身の回りは電気で動くもので満ちあふれています。屋外においては信号機、自動ドア、スーパーやコンビニのレジ、電車、自動販売機(一部、災害対応の自販機あり)などの電源が消失し、機能しなくなります。その結果、交通はマヒし、買い物もままならない状況になります。

また、停電では断水が発生する場合があります。
例えば、おおむね4階建て以上のマンションや、タワーマンションなど高層住宅の場合、ポンプを利用して上層階へ水を送っているため、停電によりポンプが停止すると水道本管からの水圧では水を送ることができず、断水が発生します。
さらにはエレベーターが使えなくなり、特にマンションの高層階では、階段での昇り降りは非常に困難なため、高層階難民となります。

原因にもよりますが、停電の復旧には数時間~数日、大きな災害では1週間〜1カ月以上かかる場合もあります。2011年の東日本大震災では、東京電力・福島第一原子力発電所をはじめ複数の大規模発電所が停止しました。停電発生から3日で約80%を解消し、8日で約94%が解消しましたが、その他の地域では解消までに3カ月以上かかった地域もありました。
また、被災した範囲が広く復旧に時間を要したため、東京電力管内では電力需要を強制的に抑える計画停電が行われました。

災害対策同様、停電対策に備蓄は必須

停電に限らずすべての災害に言えることですが、やはり日頃からの備蓄が必要となります。停電では断水する場合もあるため、できれば1週間程度の飲料水の備蓄(1人1日あたり3Lが目安)や食料の備蓄が必要となるほか、トイレ対策(非常用トイレの準備)も必要となります。

明かりの確保も必要となるため、普段からLEDライトやLEDランタン、予備の電池はしっかりと用意しておきましょう。

スマートフォン(以下、スマホ)の電源確保も重要です。テレビやパソコンが使えない停電下で、スマホは情報収集ツールとして非常に重要です。しかし、バッテリーが切れると情報収集ができなくなるため、普段からしっかりと充電をするようにしておき、モバイルバッテリーも用意しておくと良いでしょう。乾電池式のモバイルバッテリーもおすすめです。また、どうしてもスマホの電源が確保できない場合に備え、乾電池で動くラジオも備えておきましょう。

特に考えておきたい夏場の停電対策

夏場は特に、落雷や台風、大雨や洪水など停電の原因となりやすい自然災害が多発しやすい季節です。夏の停電では、冷房機器が使えなくなるため、室内であっても熱中症のリスクが上がります。
直射日光を遮り、風通しを良くし、こまめな水分・塩分補給を行い、ぬれタオルや水で体を冷やす、扇子やうちわを使うなど、「電気を使わない」暑さ対策を第一に行います。その上で、電気を使った暑さ対策を考えるようにしましょう。

また、電池式・充電式のハンディファンも暑さ対策に有効です。ハンディファンは部屋全体に風を送るほどの風量はないため、あくまで1人1つが目安になりますが、停電時の暑さ対策として積極的に利用したいところです。USB充電式の製品が多く、モバイルバッテリーも合わせて備えておくことをおすすめします。(小さなお子さんがいる方は使い方にご注意ください。)

暑さ対策で最も有効なのは家庭用エアコンの使用ですが、消費電力が大きく、よほど大容量のポータブル電源でもせいぜい数時間しか稼働させることができないため、停電時にエアコンを稼働させることは現実的ではありません。
現状、最も現実的なのは、ポータブル電源と扇風機の組み合わせです。扇風機は消費電力が少ないため、長時間の稼働が可能です。たとえば、500Whの小〜中容量クラスのポータブル電源なら、強運転でも約10〜15時間程度の稼働が可能です。扇風機にはDCモーターとACモーターがありますが、購入するなら消費電力が少ないDCモーターがおすすめです。

電源確保の手段

《発電機》
家庭用の発電機には、ガソリン式とカセットガス式があります。
ガソリン式発電時間が比較的長時間の発電が可能ですが、燃料の長期備蓄が難しいのが難点です。カセットガス式は燃料の長期保管が簡単ですが、発電時間が短いことが難点です。

また、発電機は大きな駆動音と排気ガスが発生します。そのためマンションなど集合住宅での使用は現実的ではありません。駆動中しか給電できないこと、定期的なエンジンオイルの交換などメンテナンスが必要なことも覚えておく必要があります。
一軒家にお住まいで、普段から発電機を使用するなど条件が合えばおすすめの電源確保手段と言えます。

《PHEV(プラグインハイブリッド)車》
PHEV車とは、エンジンとモーターと蓄電池を備えたHV(ハイブリット)車に、容量の大きな蓄電池と外部充電機能を加え、電気だけで走れる距離を伸ばした車両です。近距離なら電気だけで走行でき(おおむね60km〜80km程度)、長距離ではエンジン+電気でハイブリッド走行することができます。

日本車ではトヨタのプリウスPHV、三菱のアウトランダーPHEVが代表的です。日本のPHEV車は外部給電機能があり、いわゆる家庭のAC 100Vのコンセントを接続することができます。最大1500Wまでの消費電力に対応しているため、家電などを稼働させることができます。バッテリー容量が低下した場合には自動でエンジンが始動するため、ガソリンが残っている限り発電機として機能します。また、専用の装置を自宅に設置することにより、車両から自宅全体へ給電することもできます。

このようにPHEV車は、ガソリンか電気どちらかがあれば走行することができ、停電時は大容量の予備電源としてだけでなく、発電機としても役立てることができます。PHEV車以外にも、HV車やEV車も災害時の電源確保に役立つ車両と言えます。

《家庭用太陽光発電と蓄電池システム》
設置工事や費用のハードルはありますが、自宅に太陽光発電と蓄電池システムを設置する方法もあります。平常時は日々の電気代節約にもなり、蓄電池システムがあれば電気を貯めておけるため、災害時に有効です。

《ポータブル電源とソーラーパネル》
停電時に最も扱いやすいのが、大容量のポータブル電源です。ポータブル電源は、ポータブルバッテリーとも呼ばれ、いわゆる家庭のコンセントと同じAC(交流)出力も備えた、大容量のモバイルバッテリーのような製品です。

容量もさまざまで、防災用としては500Wh以上のものがおすすめです。また、対応するソーラーパネルを接続すれば、太陽光で十分実用的な発電をすることができ、自然災害などで停電が長期間におよぶ場合でも安心です。実際に私が自宅マンションのベランダで、発電量100Wのソーラーパネルを1日使用してベランダ発電を行ったところ、一般的な容量が大きめのモバイルバッテリー(10,000mAh)約3本分程度の発電ができました。

日本でも電力不足は深刻化しており、節電が要請されることが近年増えてきています。節電も重要ですが、節電だけを心がけるのではなく、災害大国日本においてたびたび発生する停電に対しても備えなければなりません。

停電は必ず起こるという心構えを持ち、日頃から備えておくことが非常に重要です。

消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医

神奈川県生まれ。現在は関東で内科医として勤務。
長男誕生をきっかけに家族を守るということに直面し、防災に目覚める。知識を得ていくにつれ防災にのめり込み、現在では防災好きが高じてInstagramやTwitterで防災対策を発信している。
認定特定非営利活動法人 日本防災士機構認証 防災士。

Twitter:@Bousai_love_Dr
Instagram:bousai_daisuki_doctor
ウェブサイト「Dr.ソナエル@内科の防災図書館」

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