生後3カ月、予防接種の時期を迷っています

  • 作成:2022/11/02

AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、日本脳炎の予防接種時期について悩んでいるお母さんからのご相談です。

今西 洋介 監修
 
今西 洋介 先生

この記事の目安時間は3分です

生後3カ月、予防接種の時期を迷っています

【今回のお悩み】
日本脳炎の予防接種が6カ月から受けられるとのことで、かかりつけ医に相談したのですが、養豚場が近くにないし、薬の量も変わるから、別に3歳からで良いと言われました。
しかし、住まいは西日本ですし、家のに下水処理場があるので、蚊が多く、しょっちゅう蚊に刺されてしまいます。
心配なので、予防接種を打ちたいのですが、病院を変えてでも打つべきでしょうか。
回答よろしくお願いします。

医師の回答

予防接種のスケジュールに関しては、日本小児科学会が学会推奨とした予定表を学会ホームページに公開しています。その後、定期接種化に加え新しいエビデンスが出るごとに改訂を加えており、現在は2022年4月8日版が最新になっています。最近では、子宮頸がん等を予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンが積極的勧奨を再開したことで改訂されました。(#1.参照)

実は、感染リスクの高いお子さんに対する日本脳炎ワクチン接種時期の見直しが最近話題です。現在、日本脳炎ワクチンの推奨時期は1期と2期に分けられます。1期は3歳時に6~28日空けて2回、初回から6カ月以上空けて4歳時に追加接種としています。2期はさらに9歳から12歳で接種します。

日本では、衛生面の改善で患者自体は減少していますが、国内でもブタの抗体保有率は高い地域があるという報告があります。日本脳炎は蚊が感染したブタを吸血し、その後ヒトを吸血することで感染が成立します。そのためブタの抗体保有率は日本脳炎ウイルスを持っている蚊のいる地域を示唆します。2015年には生後10カ月の赤ちゃんに感染が確認された例もあり、決して感染が少ないとは言えません。

こういった3歳未満児を守るためにブタの抗体保有率が高い地域では、初回接種を3歳まで待つ必要はありません。接種開始時期となる生後6カ月から接種すべきでしょう。地域ごとのブタの抗体保有率は公開されていますので、ご自身の住んでいる地域を調べてみてください。

ちなみに、日本脳炎の患者さんは毎年夏に発生するので夏に予防接種を打った方がいいと勘違いされている方がいますが、まずは1期の3回を受ければ効果は3~4年有効です。季節にこだわらず接種しましょう。

#1.日本小児科学会.日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール(2022年4月改訂版) (2022年9月19日最終閲覧)
#2. 国立感染症研究所: 感染症流行予測調査速報第2報 2022年度 (2022年9月19日最終閲覧)
#3. 国立感染症研究所: IASR 2017; 38:153-154
#4. 斎藤昭彦. 周産期医学 2017;47(6):795-799

小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。

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