原因不明のむくみや腹痛、もっと早くHAEと診断されていれば、、、

  • 作成:2023/02/28

遺伝性血管性浮腫(HAE)は約5万人に1人が発症すると推定されている希少疾患で、病気自体の認知度も低いことから、症状に気付いて受診しても、必ずしもその場で診断がつかないことがあります。マンガの例のように、初めての発作が出た後、何年も診断がつかずに症状に苦しむ患者さんも少なくはありません。

堀内 孝彦 監修
九州大学病院別府病院 病院長
堀内 孝彦 先生

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漫画 漫画

原因不明の腫れ・むくみ、HAEと診断されずに長年苦しむ人も

HAEは、決め手となる特有の症状がないことに加え、病気自体の認知度も低いことから、症状に気付いて受診しても、必ずしもその場で診断がつかないこともあります。米国の研究報告では、HAEの発作が最初に起きた年齢の中央値は11歳、そして診断がついた年齢の中央値は19歳と、全体的に見て8年の差がありました。1) 日本でも、HAEと実際に診断されている人数と、発症率から推定した人数を比較すると、やはり、認知度の低さなどから、診断の遅れが生じていると考えられています。(日本では、約2,000人以上HAEの人がいると推定されることになりますが、実際にHAEと診断されているのは450人程度です)2)

HAEの症状として現れる、「急に顔の一部が膨らんだ」「おながが痛い」などの症状は、HAE以外でも起こり得るもの。また、時間が経つと収まってしまうため、医療機関を受診しない方もいるかもしれません。しかし、病院へ行かずに、HAEの繰り返すむくみ発作を放置しておくと、ときに命取りとなる、深刻な事態を招きかねないのです。 HAEの場合、特に深刻なのは、のどに浮腫が起こり、気道が詰まって命を落としてしまうケースです。HAEに限らず、むくみ発作をはじめとする「気になる兆候」に気づいた時点で、なるべく早く治療につなげていくことが、その後の重篤な結果を防ぐことにもつながります。気になる症状があればぜひ医療機関を受診しましょう。 しかし、

参考サイト

  • • 1) Christiansen SC. et al. Pediatric Hereditary Angioedema: Onset, Diagnostic Delay, and Disease Severity. Clin Pediatr 55(2016) 935-942.
    https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0009922815616886
  • • 2) Hide M, et al. Management of hereditary angioedema in Japan: Focus on icatibant for the treatment of acute attacks. Allergol Int 70 (2021) 45-54.
    https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1323893020301027

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九州大学医学部卒。国立がんセンター研究所研究員、米アラバマ大学医学部フェローなどを経て、2008年九州大学大学院医学研究院准教授、2013年九州大学病院別府病院教授、2016年4月から同病院長を併任。専門は臨床免疫学、リウマチ学。「血管性浮腫」の実態を解明してその成果を社会に役立てることを目的として設立したNPO法人「血管性浮腫情報センター」(略称:CREATE)の代表として活動するとともに、「HAE患者会 くみーむ」にて患者とその家族のサポート活動に精力的に従事。また、日本補体学会が作成する我が国の「HAE診療ガイドライン2010年初版、改訂2014年版」の作成に責任者としてかかわった。「改訂2019年版」では再び責任者として厚生労働省研究班と連携・協力し、我が国のHAE診療ガイドラインを作成。アジアで初めてHAE3型の原因遺伝子を同定した。

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