サラサラ鼻水、どろどろ鼻水の違いって何? 鼻をかめない子どもの鼻水、鼻づまりの正しいケア
- 作成:2022/12/27
AskDoctorsでは、子どもの病気やケアで親が悩みがちなポイントについて、小児科医の森戸やすみ先生に解説いただいています。連載第15回のテーマは「子どもの鼻水、鼻づまり」。コロナ禍以降、子どもの鼻水が垂れることに前より神経を尖らせている親御さんもいるのではないでしょうか。一方で、子どもの鼻づまりが苦しそうで悩むことも…。どのようにケアすべきなのか、森戸先生にお話を伺いました。
この記事の目安時間は3分です
1~2歳の子どもは鼻風邪による鼻水が多い
冬場、寒くなってくると、子どもの鼻水が気になってきますね。鼻の粘膜が、冷たく乾燥した外気に刺激されて鼻水が出ることもありますが、ほとんどが「鼻風邪」です。
外気には空気以外のものが混ざっています。ウイルスや細菌に感染したり、埃や花粉などの刺激で鼻の粘膜がアレルギー反応を起こしたりすると、大量の粘液(鼻水)が作られ、異物を体の外へ押し出そうとします。
アレルギー性鼻炎が出てくるのは小学生以上がほとんど。最近は花粉症が低年齢化しているものの、それでも3歳頃からなので、1~2歳の鼻水の多くは「風邪」と考えていいでしょう。
子どもは鼻と口が近いため、鼻水の影響を受けやすい
鼻水は、サラサラした「水様性鼻汁」(いわゆるミズバナ)のこともあれば、ドロドロの「膿性鼻汁」のこともあります。
風邪の場合、最初は透明でサラサラとしたミズバナですが、副鼻腔に鼻水がたまるとだんだん水分が吸収されて粘稠になり量が減って治っていきます。
粘り気のある膿性鼻汁や鼻粘膜の腫れは鼻づまりを起こすので厄介です。
子どもは大人に比べて鼻やのどの構造が小さく一体化しているため、鼻からのどにかけてネバネバした鼻汁があると、息がしにくくなります。さらに、水分も飲みづらく、食べ物も食べづらくなってしまいます。乳児の場合は、鼻づまりで口呼吸になれば、唯一の栄養源である母乳やミルクを飲むことができません。苦しいのでぐっすり眠ることもできないでしょう。
鼻づまりには、生理食塩水をたらす方法も
また、鼻水にはウイルスや細菌の死骸、埃や炎症性物質などが混ざっているので、すすり続けていると鼻の炎症が長引いてしまう可能性もあります。鼻水は排泄物のようなもので、便秘と同じでためておいたほうがいいということはありません。こまめに取り去ることが大事です。
子どもが5歳くらいになると、自分で鼻をかめるようになっていきます。鼻のかみ方を教えるときは、鼻の穴を片方ずつ押さえ、「鼻から『ふん!』って勢いよく風を出してごらん」などと言ってみましょう。
自分で鼻をかめない子どもは、大人がティッシュペーパーでぬぐってあげるか、専用の器具で吸引します。ストロー式やスポイト式、電動式などさまざまな吸引器具が市販されていますが、自分で使いやすいものを選ぶといいでしょう。
とはいえ、鼻水を吸うときは、ほとんどの子どもはものすごく抵抗しますよね。泣くとどんどん鼻水が出てきてしまうので、無理に奥まで吸引する必要はありません。無理なく取れる範囲で十分です。
鼻づまりがひどい時は、小さなスポイトや目薬の空き容器などに入れた生理食塩水(塩分濃度0.9%)を鼻の穴から注入する方法もあります。鼻水に水分を含ませて柔らかくした上で鼻をかんだり、吸引したりすると、少しスムーズになるでしょう。
ドロドロの鼻水が1週間続くなら受診してほしい
鼻水や鼻づまりが改善できず子どもが苦しそう、眠れていない、食べられないというときは、小児科や耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。
鼻水をピタッと止める薬はありませんが、粘膜を治す薬やドロドロの鼻水をサラサラにして出しやすくする薬はあります。ネブライザーで薬を含んだ蒸気を吸入すると、楽になることもあります。
また、色のついたドロドロの鼻水が1週間出続けているときは、抗菌薬を飲んだほうがいいこともあるので受診しましょう。小さい子どもほど口呼吸を上手にできないので、鼻水・鼻づまりのケアには気をつけてあげてくださいね。
1971年、東京生まれ。小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都内のどうかん山こどもクリニックに勤務。『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)、『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)など著書多数。二児の母。
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