前向きに治療に取り組むために「すぐにできる見た目のケア~男性でも簡単に」Club CaNoWオンラインセミナー

  • 作成:2023/04/09

がんの治療では、毛髪や眉毛の脱毛、肌のくすみや乾燥など、「見た目」に影響が出ることが少なくありません。そこでClub CaNoWは3月6日、「すぐにできる見た目のケア」をテーマに、オンラインセミナーを開催しました。講師は、乳がんを経験された美容ジャーナリストの山崎多賀子さん。進行役を務めたのは、がんサバイバーで「がんと働く応援団」の大友明子さんです。

この記事の目安時間は6分です

前向きに治療に取り組むために「すぐにできる見た目のケア~男性でも簡単に」Club CaNoWオンラインセミナー

アピアランスケアは「少し上を向く」きっかけ

講師の山崎多賀子さんは44歳で乳がんとなり、薬物療法の副作用による脱毛や肌のくすみなどに悩んだそうです。そんなある日、メイクをしてウィッグを着けて仕事に出かけたところ、同業者から「最近きれいになったんじゃない?」と言われたとのこと。そこから、「アピアランスケア」に関心を持ったそうです。アピアランスケアとは、がん患者の外見の変化による苦痛を軽減するケアのこと。外見の変化と一口に言っても、脱毛、肌や爪の変化、傷跡、顔や体の変形などさまざまです。

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「最近は、治療が通院だけだったり、仕事を継続したりする患者さんも多くなってきました。健康な人のなかで過ごしていると、外見の変化が気になるという方は少なくありません。また、外見を整えることが、社会に戻る勇気をくれることがあります。アピアランスケアは、前向きに治療に取り組み、仕事など自分らしい生活を送るため、あるいは戻りたい場所に戻るための支援だと思ってください。少し上を向くためのきっかけです」(山崎さん)

紫外線にさらされる「朝のスキンケア」こそ重要

今回のセミナーは、「すぐにできる見た目のケア」が大きなテーマ。
特に、脱毛は多くのがん患者が悩む副作用ですが、今はウィッグの種類が増え、帽子と一体化したものなどもあって、さまざまなおしゃれを楽しめるようになっています。

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山崎さんがウィッグの選び方のポイントとして挙げたのは、「長時間装着しても不快でないもの」「自分に似合うヘアスタイル」「負担にならない値段」の3つ。また、帽子は頭の保護や保温、保湿の役割もあるので、「かぶりたくなるものを見つけて楽しみましょう」と話されました。

さらに、抗がん剤治療中に荒れてしまいがちな肌のケアについてもアドバイス。一日が終わる夜のスキンケアを重視する人が多いですが、「日中は肌が埃、雑菌、物理的刺激や紫外線にさらされるので、朝の予防のためのケアも重要」と山崎さんは話します。
「スキンケア製品は特段トラブルがなければ愛用品を使う」「肌トラブルを起こしているときは低刺激の保湿剤を」「日中は紫外線ケアを忘れずに」「肌トラブルを起こしたら主治医などに相談し、皮膚科を受診する」といった具体的なポイントを教えてくださいました。

元気に見えるメイクのコツとは?

続いて「元気に見えるメイクのポイント」を伝授。
「鼻筋から続く眉骨に眉頭を置いて眉毛を描く」「抜けたまつ毛の代わりに上瞼にアイラインやアイシャドウを入れる」「笑ったときに盛り上がる位置にチークを入れる」など、すぐに実践できるコツばかりでした。

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さらに、大友さんをモデルに「笑顔がきれいに見えるメイク」を実践。たっぷり保湿した大友さんの顔に、コンシーラーを塗るとくすみやシミが目立たなくなり、アイブロウやアイラインを入れるとみるみる表情が明るくなっていきました。

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男性も外見の変化に悩んでいる

一方、女性ばかりでなく男性も外見の変化に悩んでいます。アンケート調査では、「外見が変化すると信用をなくす」と考えている男性が約7割もいるとのことでした。なかには、離職を考える人もいるそうです。

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「男性は外見そのものの症状ではなく、外見によって人間関係が変わってしまうことに不安を感じている人も少なくありません」
と山崎さん。今回教えてくださったメイクは、男性でも実践できるものです。「顔の筋肉を鍛えたいなら毎日笑いましょう!」というエールを送りました。

Q&Aではウィッグや帽子にかかわる質問も

セミナーの後半は、視聴している皆様からの質問コーナーです。いくつかの質問を、山崎さんの回答とともに紹介します。

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Q 接客業をしている男性です。帽子はどのような点に気をつけて選べばいいでしょうか。また「ウィッグは長時間つけていて負担がないものを選ぶ」というお話がありましたが、どのように判断したらいいでしょうか。

山崎さん 帽子はもみあげや襟足までカバーするデザインを選ぶと、脱毛がわかりにくいと思います。スポーツ時など動きが激しいシーンでは脱げないように、下にネットをつけることをお勧めします。ウィッグはサイズがきつすぎると締め付けられるし、だからと言ってブカブカだと強風で飛んだりズレたりしないかという不安があるので、サイズ調整ができるものを選ぶのもいいでしょう。チクチクするといった肌触りは、短時間の試着でもわかると思います。
また、医療用ウィッグの場合「JIS規格(日本産業規格)」が安心の一つの目安になります。
※JIS規格のついた医療用ウィッグは、皮膚刺激や耐久性など一定の基準をクリアしています。

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帽子の下に着用するネット

Q 肌の保湿が大事とのことですが、化粧水、乳液、クリームなど、どれを優先的に使ったらいいのでしょうか?

山崎さん 肌の水分は内側からにじみ出てくるので、化粧水は必ず使わなくてはならないものではありません。クリームなど油分のあるものでバリア機能を整えるだけでも大丈夫です。がんの治療中は疲れてスキンケアどころではないことも。ぐったりするのは体のサインですから、そういう場合はぐっすり眠った方が、肌が整っていきます。体調を最優先して、つらい時はスキンケアは二の次でいいと思います。

Q 男性ですが、周りの目が気になって化粧品を買いにくいです。

山崎さん 今は男性用の化粧品もたくさん市販されています。若い男性だけでなく、使われている方はいます。周りの人は自分が思っているほど見ていないので、あまり気にせず、ちょっとだけ勇気を出してみましょう。ネットで検索したり、ご家族に頼んだり、買い物についてきてもらったりするのもいいですね。

セミナーの最後に、山崎さんは次のようなメッセージを送りました。
治療などで外見が変わったからといって、『必ずリカバーしなければ』と考える必要はありません。やってもいいし、やらなくても大丈夫。ただ、化粧や肌を整えることで自分の魅力が引き出され、気持ちを上げたり気合を入れるスイッチを押せたりする場合もあります。美容も生活の中に上手に取り入れて活用してください」

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