クラミジア肺炎・クラミジア結膜炎の原因、感染経路、症状、治療 失明もありえる?

  • 作成:2016/04/07

「クラミジア」と聞くと、性病を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、クラミジアの菌によって、肺炎や結膜炎になることがあります。クラミジアで起きる結膜炎は「トラコーマ」とも呼ばれます。クラミジアによる肺炎と結膜炎について、治療も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

クラミジアで肺炎になる?

クラミジア肺炎とは?症状や感染経路は?

クラミジア肺炎とは、細菌の一種であるクラミジアによって肺が炎症を起こした状態です。咳やくしゃみをしたときに、唾液(つば)が飛び散って感染します。また、妊婦がクラミジアに感染していると、出産時に赤ちゃんが産道を通るときにクラミジアに感染し、生後3カ月月までの間にクラミジア肺炎を発症することがあります。

クラミジア肺炎の症状は、喉の痛み、鼻水、副鼻腔炎、38度以下の発熱など風邪と似ています。ただ、クラミジア肺炎特有の症状として乾いた咳が続き、長いときは数週間から1カ月以上続くこともあります。

クラミジア肺炎は、症状が軽い場合は知らない間に治っていることも少なくありません。しかし、高齢者や子ども、肺や気管に持病がある人や体力が低下している人などが発症すると、症状が悪化して、急性気管支炎、肺炎、中耳炎、喘息の悪化などを引き起こすこともあります。さらにクラミジア肺炎を発症すると、クラミジア以外の細菌やウイルスに感染しやすくなります。そのように複数の細菌やウイルスによる感染症になると、病気が重症化しやすいため注意が必要です。

クラミジア肺炎の治療

クラミジア肺炎と診断されたら、病気の原因であるクラミジアを増やさないようにするために、抗生物質の一種である「マクロライド系」または「テトラサイクリン系」と呼ばれる薬を10日から2週間飲み続けます。赤ちゃんの場合は、マクロライド系抗菌剤の一種である「エリスロマイシン」と呼ばれる薬を点滴で投与することもあります。また、喉の痛み、鼻水、発熱などの症状があるときは、症状を抑える薬を合わせて服用することもあります。

なお、赤ちゃんがクラミジア肺炎になったときには、母親もクラミジアに感染していることが多いため、母子ともに治療をすることが必要です。治療が終わってから数週間経ったら再び検査を行い、体内にクラミジアが残っていないことを確認することも大切です。

赤ちゃんがなりやすい「クラミジア結膜炎」とは?

眼にクラミジアが付着すると、まぶたの裏側が炎症を起こして「クラミジア結膜炎」を発症することがあります。クラミジア結膜炎は、「トラコーマ」と呼ばれることもあります。クラミジア結膜炎は、生後5日から14日後の赤ちゃんに最も多くみられますが、大人も発症することがある病気です。

クラミジア結膜炎の症状 大人と子供で違う?

赤ちゃんがクラミジア結膜炎を発症した場合、両眼に症状が現れます。炎症を起こした結膜が赤くなったり、まぶたが腫れたり、目やにができたりします。また、刺激を感じやすくなり、光に対して過敏になったり、涙が出やすくなったりします。

大人がクラミジアで結膜炎にかかる場合、主な原因はクラミジアが手についた状態で眼を触ってしまうことです。大人がクラミジア結膜炎を発症したときは、片眼のみに症状が現れるのが一般的ですが、患部に触れた手でもう一方の目に触れると、両眼ともクラミジア結膜炎になることがあります。大人の場合、まぶたの腫れや充血や目やになどの症状以外に、結膜に膿(うみ)の入ったできものが現れるのが大きな特徴です。

進行すると失明の可能性も

クラミジア結膜炎が進行すると、眼の中にある血管が発達して角膜にまで侵入し、視界を妨げるようになります。また、まぶたにできたかさぶたが角膜を傷つけてしまうことがあります。さらに放置してしまうと、まれに視力障害や失明を起こすこともある病気ですので、早期の治療が望ましいのです。

クラミジア結膜炎の治療

クラミジア結膜炎と診断されたら、抗菌剤が入った点眼薬(目薬)や軟膏と飲み薬による治療を行います。クラミジア結膜炎の場合は、クラミジアによる性感染症のときよりも治療期間が長いのが一般的です。処方された薬は、自覚症状がなくなっても医師に指示された期間使い続けましょう。体内にクラミジアが残っていると、症状は再発してしまうことがあります。また、赤ちゃんがクラミジア結膜炎を発症したときは、母親も抗菌剤を服用してクラミジアの治療を行います。

結膜炎は家庭内感染にも注意を

家族がクラミジア結膜炎を発症したときは、家庭内感染を防止する対策も必要です。患部に触れた手で人に触れたり、患者と同じタオルを使ったりするのは避けましょう。患部に触れた後は、必ず石けんと流水で十分手洗いを心がけましょう。

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今回は、クラミジア肺炎と結膜炎についてご紹介しました。クラミジア肺炎や結膜炎は適切な治療をすれば再発することはほとんどありません。しかし、クラミジア肺炎や結膜炎に不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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