乳腺症で起きる痛みとしこり チクチクする?しこりの場所や大きさは?乳がんのしこりとの見分けか方は?

  • 作成:2016/07/13

乳腺症で起きる痛みやしこりには特徴があります。しこりは乳がんの場合にも自覚症状として表れますが、どう見分けたらよいでしょうか。専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

乳腺症で起きる痛みとしこりの特徴は?

乳腺症で起きる痛みはどんなもの?チクチクする?

乳腺症の特徴的な症状の1つに、「痛み」があります。乳腺症の痛みは「疼痛(とうつう)」とも呼ばれ、人によって痛みの感じ方は異なりますが、「チクチク」「ズキズキ」「ジンジン」といったような表現に該当し、神経を刺激するような鋭い痛みを感じます。

痛みの起こり方は、両方の乳房あるいは片方だけ、乳房全体あるいは一部だけ、また押したり触ったりすると痛い、あるいは押さなくても痛いといったように、痛みの強度と場所は人により異なっています。

乳腺症の痛みは、生理の周期に連動している「周期性」であることも特徴的です。痛みそのものは長期間継続するものではなく、生理前に強く現れ、生理が始まると軽減してゆくことが多いです。乳腺症は加齢(女性ホルモン分泌のバランスの崩れ)にも深く関係しているため、年齢を重ねるごとに痛みが多少強くなっていく傾向があるようですが、閉経すると痛みなどの症状は消滅してしまいます。

乳腺症で起きる痛みは、自分で判別できる?

自覚症状として感じる乳腺症の痛みは、生理の周期に合わせて起こるという「周期性」を特徴としています。したがって、生理の周期と連動して起こる乳房の痛みの場合は、「乳腺症が原因」と考える目安にもなっています。乳腺症の痛みが生理と連動しているのは、卵巣から分泌されている女性ホルモンが乳腺にも影響を与えているためです。

乳腺症で起きるしこりの特徴 場所や大きさは?

乳腺症では、痛みの他に「しこり」がみられることもあります。しこりは、乳房内の「乳腺(乳腺組織)」にできます。しこりの正体は、加齢とともに変化する女性ホルモン分泌の影響を受けた乳腺組織で増殖してしまった「繊維性組織」や「のう胞」と呼ばれるものです。

「乳腺」は、正式には「乳腺組織」といいます。乳腺組織は約15から20の「腺葉(せんよう)」に分かれており、1つの腺葉はさらに多数の「小葉(しょうよう)」に枝分かれしています。小葉は、乳汁を分泌する小さな「腺房(せんぼう)」が集まり構成されています。腺葉からは「乳管」が1本ずつ出ていて、最終的に「主乳管」となり乳頭(乳首)に到達しています。

しこりができる場所は、乳腺組織の特定の場所に限定されていませんが、乳房の外側上部(わきの下に近い部分)で多くみられているようです。ただし、しこりは毎月必ず同じ場所にできるわけではなく、別の場所あるいは1か所だけではなく複数できたりもします。

しこりの大きさや形は様々です。小さな顆粒状のもの、結節状(1センチ以上の隆起したもので、周囲とはっきり区別がつく)もの、平皿状(お皿のように平らになっている)もの、つるっとしたもの、など多種多様といわれています。しこりは、形がはっきりとしていなくても(どのような形状のしこりであっても)、押す時にあるいは押さなくても痛みを感じるという特徴をもっています。

乳腺症のしこりと、乳がんのしこりは別物?見分けつく?

乳腺症のしこりと乳がんのしこりの最大の違いは「痛みの有無」といわれており、乳房のしこりの痛みに限定した場合、個人でもその区別がつくといわれています。それは、通常、乳腺症のしこりには痛みがありますが、乳がんの場合はほとんど痛みは伴わないためです。

また、しこりの形や触感による区別としては、乳がんかどうかを判別する際に目安とされている触感によるしこり(触って確認できるほど大きくなっている腫瘍)の識別方法が参考になります。良性腫瘍(乳がんではない)の場合は、「ビー玉のようにつるつるしている」「弾力がある」「しこりが動く」ですが、悪性腫瘍(乳がん)の場合は「硬い」「表面がデコボコしている」「周辺組織との境界線がはっきりしていない場合が多い」となっています。また、乳がんのしこりは、皮膚表面がひきつったり陥没して見えることが多いので、この点も覚えておきましょう。

その他の見分け方としては、乳腺症のしこりや痛みは両方の乳房でみられる場合が多いのですが、乳がんのしこりは片方の乳房で発見される場合がほとんどです。ただ、乳腺症でも「片方だけ」という人もいます。

また、乳腺症の症状は、「周期性」であることも最大の特徴です。生理の周期にあわせるように、しこりや痛みや乳頭からの分泌物そして乳房の張りを感じる場合は乳腺症であり、乳がんではない可能性が高いのです。

自己判断は危険

ただ、見た目そして指などによる視触診によるしこりや乳房の異常を確認するだけで、乳腺症と乳がんの違いを自己判断で決めつけることは危険です。それは、乳腺症と乳がんどちらにおいても、「しこり」と「乳頭からの分泌物」は共通している症状だからです。「しこり」と「乳頭からの分泌物」が気になる場合は、すぐに病院で検査(超音波検査、マンモグラフィ、生検など)を受ける必要があります。マンモグラフィは「石灰化」といった病気による変化を映し出すことが可能ですし、超音波ではマンモグラフィにも映らない乳腺組織に隠れた部分を診ることが可能です。

乳腺症には特徴があり、レントゲン写真をみると正常の乳腺に比べさらに白っぽく見え(すりガラス状などといわれます)、超音波検査では白い部分と黒い部分がまだら状に見え、大小ののう胞(水が溜まっている袋状のもの)が見えることがあります。



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乳腺症でできるしこりや痛みについてご紹介しました。もしかして乳腺症かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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