結核とは?原因は菌?感染経路、再発可能性、発症確率、今でも怖い理由も解説 肺以外にも感染する?

  • 作成:2016/03/14

結核を、「昔の病気」と思っている人もいるかもしれませんが、今も日本で死者が出ている怖い病気です。どのように感染するのかや、再発する可能性について、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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結核の原因を知ろう

結核は「昔の病気」ではない?増加傾向?

結核は、昔は「国民病」といわれるほど一般的な病気でした。戦後には患者数が年間10万人を超えていましたが、その後効果の高い治療薬ができたことや栄養状態、衛生環境の改善によって患者数は減少しました。さらに1951年に改正された結核予防法によりBCG接種やツベルクリン反応による検査、健康診断の普及や発症患者の登録などにより、死亡率も低下しています。

そのため結核は昔の病気というイメージもあるかもしれませんが、実はそうではありません。いまでも結核は、地球上で約3人に1人が感染している病気です。日本でも毎年4万8000人が発病し、2900人が死亡しています。発病する年齢も高齢者に多いのですが、20歳以上の年代にも見られます。そして近年結核患者は再び増加傾向にあります。

結核の原因となる菌とはどんなもの?

結核の原因となる菌は、「結核菌」という細菌です。大きな分類では「抗酸菌」という種類に属します。「抗酸菌」というのは細菌を染色した時の特徴で付けられた名前です。「細胞壁」という部分にたくさんの脂質を含んでおり、消毒液に抵抗し、乾燥した環境でも生存します。また結核菌は「細胞内寄生」といって細胞の中でも増殖ができます。

これらの特徴から最近では遺伝子検査などで早期に検出できる例もあります。ただ、結核菌はもともと増えるスピードが遅い特徴があり、培養検査を行っても、検査の結果が出るまでに1カ月程度かかることもあります。結核の診断は、結核専用の検査を行わないとわからないことも多くあり、診断しにくい病気です。

結核はうつる病気?感染経路はどんなもの?発症確率は?

結核菌はいろいろな部分に感染しますが、多いのは肺です。しかし腎臓・骨・腸・目・皮膚など全身のあらゆるところに感染する可能性があります。結核菌は感染しても発病する方は、感染者の20%以下です。

発病のタイミングは感染後1年以内が最も多くみられますが、人によっては10年以上経って発病することもあります。また一生発病しない人もいますが、その人の体の中にはずっと結核菌がいる状態です。

結核は人から人にうつる病気です。結核菌を持つ人、特に肺に結核菌がいる場合、感染している人が、咳をすると結核菌が空中にばらまかれます。その菌を吸い込むと次の人に感染します。

しかし結核菌は日光などの紫外線に弱いため、基本的には、痰の中に結核菌がいるほど、体内に大量の結核菌がいる人がいて、その方から、家族などの近い人にしか感染しません。食器などを介した感染はありません。

結核は再発する可能性がある?

結核菌は感染してもすべての人が発症するわけではありません。それは肺などから入った結核が肺で炎症を起こすと、その人の免疫システムが働くからです。そのため多くの人は感染しても、2カ月から3カ月以内に免疫システムが、結核菌を抑え込んで、症状が現れることなく済みます。

しかし、それで終わりではありません。抑え込まれた結核菌は体から消えるのではなくその人の体の中に存在し続けます。そして、その人の免疫力が低下した時に増殖し、発病します。ですので、発病は感染から、1年後でも10年後でも20年後でもありえるのです。同じように、結核に感染した直後に発病し、治療を受けて完治したといわれた人でも、免疫力が低下することがあれば再発することがあります。

一般に免疫力が低下していると考えられるのは、乳幼児や高齢者です。また糖尿病や胃の手術を受けた人、人工透析を行っている人や血友病の人、HIVに感染している人も結核になりやすいと知られています。

日常生活の中で、結核にかかりやすい原因は、ストレスや不規則な生活、そして喫煙です。知らないうちに結核菌を保有していて、別の病気でステロイドや抗がん剤、免疫抑制剤による治療が開始された場合、免疫力が低下して結核が発症もしくは再発することもあります。


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結核の感染経路や再発可能性などについてご紹介しました。もしかして結核かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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