大人の水疱瘡の症状、予防接種の必要性、「妊婦は要注意」の理由 抗体検査の概要も解説
- 作成:2016/04/08
水疱瘡(水ぼうそう)は大人がかかる場合もあります。亡くなる病気と考えている方は少ないと思いますが、15歳を超えると死亡率が上がります。また、妊娠中に水疱瘡になると、胎児に影響が出る可能性があります。抗体検査の考え方も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
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水疱瘡の大人の症状 上がる死亡率
水疱瘡(水疱瘡)の症状には発熱・かゆみを伴う発疹などがあります。発熱は38度前後で、2日から3日程度続きます。一方、かゆみを伴う発疹は発熱と同時期に発生し、発疹が体幹部を中心に広がります。かゆみを伴う発疹は水ぶくれを経て、かさぶたになります。水疱瘡の症状は子どもと大人で大きな違いはありません。
しかし、子どもと大人で差が見られるのは合併症のリスクです。一般的に、1歳以下と15歳以上とでは合併症のリスクが上がります。主な合併症として、皮膚の二次性細菌感染、脱水、肺炎、中枢神経合併症などがあり、最悪の場合、前述の合併症が原因となり、命を落とす恐れもあります。実際、1歳から14歳の子どもでの死亡率は10万あたり約1例であるのに対し、15歳から19歳では2.7例、30歳から49歳では25.2例と死亡率は上昇しています。
妊婦は水疱瘡に気をつけるべき?理由は?
妊娠中は免疫力が低下しているため、様々な種類の感染症に感染するリスクが上がります。水疱瘡も同様で、妊娠している女性は、妊娠していない女性よりも、水疱瘡が重症化しやすいとされています。
具体的には、妊娠早期に水疱瘡になると、流産のリスクが上がります。妊娠中期以降は「先天性水痘症候群(CVS)」のリスクが上がります。CVSは水疱瘡にかかっている妊婦の約2%程度に発症し、胎児の発達が遅れるとともに、様々な神経障害や奇形を伴う病気です。さらに、妊娠後期になると、水痘による肺炎が重症となることもあります。
妊娠の間ずっとリスクがあるため、妊婦は水疱瘡に十分気をつける必要があります。妊娠の可能性がある女性は、水痘ワクチンを接種し、接種後1か月は妊娠を避けるとよいでしょう。
水疱瘡の抗体検査の概要と意味
水疱瘡の検査には、原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」に対する抗体を使って調べます。抗体は血液中に存在しているため、検査のために血液を採取します。水疱瘡に対して行われる抗体検査は「CF法」と「EIA法」の2種類があります。抗体を調べた結果、陽性であれば、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染していると診断できます。
水疱瘡の抗体検査は、感染の確認に加えて、妊婦や胎児への影響の予防に使えます。どういうことかというと、抗体は、「感染の確認」だけでなく、「体の水疱瘡への抵抗力」の判断にも使えるからです。妊娠前に、抗体検査を受けておいて、「抗体が十分」、つまり「水疱瘡に十分抵抗できる体」とわかれば、妊娠中に心配することが1つ減るわけです。
大人が予防接種を受けることがある?理由は?
水痘・帯状疱疹ウイルスのワクチンは2014年10月から定期接種になり、1歳から2歳児は公費(無料)で受けることができます。しかし、水痘・帯状疱疹ウイルスは任意接種であるため、流行することもしばしばあります。予防接種は水疱瘡にかかりはじめた人と接触して2、3日以内に接種すれば、水疱瘡にならない、あるいは症状が軽くなるとされています。大人の場合、合併症及び死亡率が上がるので、予防接種はより効果的です。また、妊娠を検討していて、抗体が十分でない方も受ける価値があると言えるでしょう。価格は6000円から9000円程度ですので、近くの医療機関等に聞いてみると良いでしょう。また抗体検査を経ないまま受けても、大きな問題はありません。
ただし、水痘・帯状疱疹ウイルスのワクチンは生ワクチンであるため、妊娠の可能性がある女性には使うことができませんし、接種後1カ月は避妊が必要となります。妊娠の可能性のある方は、水疱瘡の患者に近づかない、水疱瘡の予防をするといったことが重要となります。
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大人の水疱瘡(水ぼうそう)についてご紹介しました。妊娠を検討するなどして、水疱瘡(水ぼうそう)を不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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