不妊の原因を男女別に解説 女性6つ、男性4つを解説 年齢、ストレス、病気も?「原因不明」の場合はどう考える?

  • 作成:2016/07/25

女性の不妊の原因も多様ですが、最近、認知されるようになっていますが、男性の不妊の原因も多様です。どのような原因が考えられるのかを、専門医師の監修記事で、病気から年齢の問題まで、幅広く解説します。

平松晋介 監修
ちくご・ひらまつ産婦人科医院 院長
平松晋介 先生

この記事の目安時間は6分です

不妊の原因を男女別に知ろう
女性の不妊の原因の概要 
女性の不妊の原因(1) 排卵障害 ストレスもよくない?
女性の不妊の原因(2) 卵管障害
女性の不妊の原因(3) 子宮の病気
女性の不妊の原因(4) おりもの(子宮頚管粘液)の異常
女性の不妊の原因(5) 免疫異常
女性の不妊の原因(6) 原因不明・その他 年齢、遺伝、食べ物は?

男性の不妊の原因概要 
男性の不妊の原因(1) 性機能障害
男性の不妊の原因(2) 軽度から中等度の精液性状低下(精液の質低下)
男性の不妊の原因(3) 高度の精液性状低下・無精子症
男性の不妊の原因(4) 年齢は関係ある?

女性の不妊の原因の概要 

妊娠が正常に成立するためには、卵子と精子が良いタイミングで出会い、受精して子宮内膜に着床し育たないといけません。その過程には多くの要因が影響します。不妊の原因は、女性にあると思われがちですが、女性と男性で半分ずつといわれています。不妊症の3大原因は、排卵障害、卵管障害、男性不妊といわれています。女性の不妊症の原因には、排卵障害、卵管障害、子宮の病気、子宮頚管粘液の異常、免疫異常などが挙げられます。

女性の不妊の原因(1) 排卵障害 ストレスもよくない?

月経周期の正常範囲25日から38日で、基礎体温が低温期と高温期の2相性の場合には排卵が正常に起こっていることになります。しかし、生理不順があったり、基礎体温が2相性にならない(高温期などがない)場合には、排卵障害の可能性があります。

排卵障害の原因はさまざまですが、「プロラクチン」という乳汁(母乳)を分泌させるホルモンが過剰な状態では排卵が起きづらくなります。プロラクチンが過剰に分泌される状態は、脳の中の「下垂体」という部分の腫瘍や、精神安定剤や一部の胃薬などの薬品による副作用によって引き起こされることがあります。女性ホルモンの生成途中の障害があり、結果的に男性ホルモンの分泌が盛んになる状態を伴う「多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんせいしょうこうぐん)」の場合にも、卵胞の成長障害が起こり、排卵障害が起きます。また、環境の変化による強いストレス、無理なダイエットによる減量により、卵巣のコントロールを行っている脳内の不調によって生理不順を起こし、排卵障害になることもあります。

日本人の女性は、50歳前後に閉経することが多いですが、まれに「早発卵巣不全」といって卵巣の機能が極端に低下し、20から30代のうちに閉経してしまうこともあります。

女性の不妊の原因(2) 卵管障害

性器クラミジア感染症、虫垂炎(いわゆる「盲腸」)などによる重症の腹膜炎に対する骨盤内手術、子宮内膜症などにより卵管が癒着(本来くっついていないところが、くっつくこと)して閉塞(通れない状態)を起こしていると、排卵された卵子がうまく卵管に取り込まれなくなるため不妊症になります。

女性の不妊の原因(3) 子宮の病気

子宮の内膜に飛び出している子宮筋腫や子宮内膜ポリープは、受精卵が子宮内膜に着床するのを妨げる可能性があります。またたびたびの子宮内膜そうは術(子宮の内容物をかきだす手術)などにより子宮内膜が癒着してしまう「アッシャーマン症候群」も、受精卵が着床できず不妊になります。また、先天的に子宮が変形している場合にも妊娠しづらいことがあります。

女性の不妊の原因(4) おりもの(子宮頚管粘液)の異常

排卵の時期には、精子が子宮の中に入りやすくするためのおりものが分泌されますが、おりものの分泌が十分でない場合に不妊の原因になります。子宮の奇形、子宮頚部への手術や炎症などにより、おりものの分泌に異常が起きることがあります。

女性の不妊の原因(5) 免疫異常

何らかの免疫(体に入った病原体などと戦う機能)の異常で、精子を障害する「抗精子抗体」や精子の動きを止める「精子不動化抗体」といった物質が、体内で生み出されている女性は精子が卵子までたどり着けないため、不妊症となります。また、自己免疫疾患の方では、着床障害や着床直後に胎芽(おなかの中の赤ちゃんのごく初期の状態)の成長を阻害する事があるため、不妊症となったり、不育症(流産を繰り返す)となる事があります。

女性の不妊の原因(6) 原因不明・その他 年齢、遺伝、食べ物は?

不妊症の検査をしても、明らかな原因が見つからないケースが、3人に1人程度あります。ただ、本当に原因が存在しないわけではなく、検査では明らかにならないだけではないかと考えられています。「キャッチアップ障害」といって、卵巣から卵管にうまく卵子が運ばれないことがあり、これも原因不明に分類されます。他に明らかな原因がなく、体外受精で妊娠した場合は、「キャッチアップ障害だったのかもしれない」と予想できることもあります。

他には、加齢などによって妊娠しづらいことも考えられます。また、糖分やカロリーが過剰な食べ物ばかりを食べるのは、肥満を引き起こすだけでなく妊娠にも良くないといわれています。適正な体重を保つためにバランスのよい食事を心がけましょう。

遺伝による不妊体質については、可能性はあるものの、主な原因としては考えられていません。

男性の不妊の原因概要 

男性の不妊症の原因は、射精がうまくいかない「性機能障害」と、射精される精子の数や運動の機能に異常がある、つまり精液の質に問題がある「精液性状低下」に分けられます。「精液性状低下」は、軽度・中等度のものもありますが、高度および「無精子症」まで重症度によって、分けられます。

男性の不妊の原因(1) 性機能障害

性機能障害には、ストレスなどにより勃起が起きないため性行為がうまくいかない「勃起障害」と性行為はできても膣内にうまく射精できない「膣内射精障害」があります。不妊治療の中に、排卵日を予測して性交を行うタイミング法がありますが、タイミングを考えるあまりストレスになり、性行為そのものに障害が起きることもあります。

また動脈硬化や糖尿病も性機能障害の原因になります。軽症の糖尿病でも勃起障害が起きることがあります。糖尿病の病状が進行して重症になると、射精障害や精液の減少をきたす可能性もあります。

男性の不妊の原因(2) 軽度から中等度の精液性状低下(精液の質低下)

精子は精巣の中で作られ、「精巣上体」と呼ばれる細い管を通り抜ける間に、射精後に進んでいくためなどの運動能力を得て、受精可能な精子になります。精巣で精子がうまく作られない場合や、精巣上体での運動能力を獲得する過程で異常があると、精子数の減少や精子運動率低下、奇形の確立の上昇などが起きます。一部の方では、「精索静脈瘤」という精子の置かれた環境の温度の上昇が原因で、精子の機能が低下する病気が関与するといわれています。精索静脈瘤による精液性状低下は、手術により改善する可能性があります。

男性の不妊の原因(3) 高度の精液性状低下・無精子症

精液中の精子の数が通常の1%以下、または運動率が20%から30%程度と、極端に低い場合には高度の「精液性状低下」と診断されます。原因として、精巣や精巣上体に異常がある場合以外では、脳の視床下部、下垂体から分泌される精子を産生するホルモンの機能の問題(「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症」といいます)、停留精巣の手術後、おたふく風邪による精巣炎などでも高度の精液性状低下が起きることがあります。

「無精子症」とは、射精された精液の中に精子が全く見られない状態のことを指します。無精子症は、「閉塞性無精子症」と「非閉塞性無精子症」にわけられます。精巣内で精子が作られているのに、精液中に精子が出てこないものを「閉塞性無精子症」と呼びます。閉塞性無精子症を起こす代表的な病気は、「先天性両側精管欠損症(生まれつき精子が通る管がない)」精巣上体炎後の炎症による閉塞、鼠径(そけい)ヘルニア手術などが挙げられます。「非閉塞性無精子症」の原因はほとんどが不明とされていますが、10%から19%の方に染色体の異常である「クラインフェルター症候群」という病を患っています。

無精子症の場合でも、閉塞した精子の通り道をつくりなおす手術や精巣内の精子を回収する手術によって顕微授精(体外受精の1種)を行えば妊娠できる可能性があります。

男性の不妊の原因(4) 年齢は関係ある?

男性の不妊にストレスや年齢、遺伝、食べ物は関係あるのでしょうか。男性の不妊の原因(1)に記載したように、過剰なストレスは勃起障害を引き起こし不妊の原因になります。また、偏った食事、カロリーや脂肪分の多い食べ物ばかり食べていると肥満や糖尿病を引き起こすので不妊症の原因になる可能性があります。アルコールの過剰摂取や喫煙も精子に異常を起こす可能性が指摘されています。

女性の場合には、年齢が妊娠率に大きく影響するのに対し、男性は精子が新しく産生されるので年齢が不妊に影響するかどうかについては、賛否両論の状態です。中には、男性も35歳以上になると精子の数や運動率に影響があるという意見もあります。また染色体のわずかな変化や遺伝子異常が、正常な精子を形成できない原因になっている可能性があります。


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不妊の原因についてご紹介しました。「不妊なのでは」と不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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