咳喘息とは?原因はストレス、煙草、酒?他人にうつる?遺伝する?普通の喘息との違い、子供に多い原因も解説

  • 作成:2016/05/24

咳喘息はいわゆる喘息に特徴的な「喘鳴」という症状が見られない特徴があります。ストレスやたばこ、酒が原因になるかも含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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咳喘息はストレスも原因になる?

咳喘息のメカニズム概要

呼吸の通り道である口・喉(のど)・気管支などの気道は、外から吸い込んだ空気が通るため、空気中の様々なものから刺激を受けています。気道に刺激を受けると、ウイルスや細菌など体に害を及ぼすものが体内に入り込まないように、気道表面の粘膜には「炎症細胞(えんしょうさいぼう)」とう細胞が集まり、活発に働きはじめます。すると、気道の筋肉は縮み、表面の粘膜はむくんだり(水分でふやけた状態)、傷がついた状態になります。刺激が繰り返されると、そのたびに筋肉は縮んだりゆるんだりを繰り返すのため、筋肉トレーニングをした腕のように、筋肉が太くなります。そして、傷ついた粘膜は、繰り返し修復されることで、徐々に厚みが増します。その結果気道の内側は狭くなり、ちょっとした変化で、喉の違和感が出るようになって、咳をしやすい状況を生み出します。これが咳喘息のメカニズムです。

呼吸はいつもしていることですが、普通はよほど強い刺激がない限り、咳などの症状は出ません。しかし、咳喘息の状態のように、気道が刺激に対して過敏になっていると、小さな刺激で容易に咳が出るようになります。この状態を「気道過敏性(きどうかびんせい)が亢進している」と表現します。

気道を刺激するものは、空気中に含まれている家のほこりやダニの死骸(しがい)といったハウスダスト、花粉、タバコの煙などがあります。さらに空気中に混じった物質ではなく、空気そのものが冷たかったり、乾燥していても気道への刺激になります。その他に風邪などをひいて、すでに気道粘膜に炎症を起こしている状態の場合は気道過敏性が亢進します。

咳喘息といわゆる「喘息」の違い 咳喘息はアレルギー?

咳喘息と「喘息」の違いは、咳喘息では「喘鳴(ぜんめい)」や呼吸困難がみられないことです。喘鳴とは「喘息」に特徴的な呼吸の時に聞こえる音で、重症の「喘息」の場合は、聴診器を使用しなくても呼吸をするたびにヒューヒュー・ゼーゼーといった喘鳴が聞こえます。しかし、咳喘息ではこの喘鳴がありません。咳喘息でも、多少気道が狭くなっていますが、「喘息」の方がより狭くなっているため、笛を吹いたような音、つまり喘鳴が聞こえるのです。

咳喘息と「喘息」のもう1つの違いは、呼吸機能検査の結果です。この検査を行うと気管支喘息では、呼吸で最初に吐きだす空気の量が少ない「閉塞性障害」という異常を認めることが多いですが、咳喘息では正常です。

このように咳喘息と「喘息」は区別されていますが、咳喘息は「喘息」の前段階と考えられていて、咳喘息と診断された人の約30%はその後「喘息」になると考えられています。

咳喘息の一部は、春や秋などの花粉症が多くなる時期にひどくなることや、咳喘息の人の痰(たん)を調べるとアレルギーを起こしている時に増える「好酸球(こうさんきゅう)」という種類の炎症細胞が増えていることがあるため、咳喘息は「喘息」と同様にアレルギーとの関連があると考えられています。アレルギーを持っていると気道の粘膜に炎症を起こしやすい点は、咳喘息も「喘息」にも共通しています。

咳喘息の原因 ストレスやタバコ、アルコールは関係する?

咳喘息はストレスで発症したり、悪化したりすることがあります。ストレスがかかると、体の免疫力が低下し、風邪にかかりやすくなるためです。風邪は咳喘息のきっかけになります。

もちろんタバコを吸うことも気管に対する刺激になるため、咳喘息の原因となります。また、自分がタバコを吸っていなくても、タバコを吸っている人が近くにいて、その煙を吸うことが原因になることもあります。近くの人のタバコの煙を「副流煙(ふくりゅうえん)」と呼び、この副流煙を吸うことを「受動喫煙(じゅどうきつえん)」といいます。この受動喫煙は咳喘息だけでなく、様々な気管支や肺の病気の原因となるため社会的な問題になっています。

お酒を飲むことも咳喘息の原因となることがあります。お酒を飲むと、肝臓はアルコールを分解し、その時に「アセトアルデヒド」という物質ができます。このアセトアルデヒドは、アレルギーに関与している「肥満細胞」という細胞を刺激し、その結果「ヒスタミン」と呼ばれる物質が放出されます。このヒスタミンには気道を狭くする効果があるため、咳喘息が起きやすい環境をつくります。特に日本人ではアセトアルデヒドを分解する力が弱いため、少量のアルコールであってもアセトアルデヒドが体内にたまりやすく、飲酒の影響が出やすいと考えられています。アルコールはその他に直接気道がむくんだり、アルコールそのものに対するアレルギー反応が出ることもあり、様々な形で咳喘息の原因となりえます。

咳喘息の原因は大人と子供で違う?

咳喘息の原因は大人と子供で違いはありませんが、子供の方がアレルギーと関連している割合が高いと考えられています。特に多い原因はハウスダストです。また、子供は大人と比較して免疫力が弱く、痰(たん)が多く作られているため、ちょっとした刺激であっても咳喘息になりやすい特徴があります。大人の場合はアレルギーが関連している割合が低く、そのかわり風邪を引いたことがきっかけになる割合が増えます。

咳喘息は他人にうつる?他人からうつされる?

咳喘息そのものは、その人の気道の反応が敏感になっているという体質的なことが原因ですから、人にうつることはありません。ただし、咳喘息の一因である風邪は、ウイルス感染症ですからこれは人にうつることがあります。咳喘息のきっかけはわからないこともよくあるので、風邪が流行るシーズンには、風邪を引いて咳喘息を発症しないようにマスクや手洗いは、徹底した方が無難です。

咳喘息は遺伝する?

咳喘息が遺伝するかということに関しては、可能性があると考えられています。親がアレルギー体質の場合、子供もアレルギー体質になる割合が高いためです。また、子供は親と同じ環境で生活しているので、親がハウスダストに対するアレルギーを持っている場合、子供も同じハウスダストに触れることでアレルギー反応を起こす可能性が高くなります。


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咳喘息について原因や概要をご紹介しました。咳が長く続いて不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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