気管支喘息の種類、原因、予防法 ストレスやタバコでも?うつる?大人と子供で原因が違う?

  • 作成:2016/10/05

気管支喘息は、文字通り「喘息(ぜんそく)」の1種類で、空気の通り道である「気管支」という部分に炎症が起こります。アレルギーが関係しているものと、関係していないものにわけられ、原因も異なります。ストレスやタバコでなる可能性などを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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ストレスが気管支喘息の原因になる?

気管支喘息のメカニズム 「喘息」の中での位置づけ

喘息には、気管支喘息のほかにも、アスピリン喘息や咳喘息などもあります。しかし、一般的に「喘息」といえば、気管支喘息を指すことが多く、実際に喘息の多くは気管支喘息が占めています。

「喘息」とは、一般的に空気の通り道である気管や気管支などに炎症が起き、空気の流れ(気流)が制限される病気です。漢字からわかるかもしれませんが、気管支に炎症が起きた場合を気管支喘息と呼びます。

気管支には、気管支の太さの調整に関わる「平滑筋」や粘膜、気道内に粘液を出す「杯細胞」などという組織が存在します。気管支に炎症が起こると、これらの組織が、可逆的(もともに戻る可能性があること)に変化し、空気の通り道が狭くなります。ただ、炎症が長期に及んでしまうと、不可逆的な変化、つまり元に戻らない変化をもたらしてしまいます。

気管支喘息の種類 アレルギーが関係する型とは?

気管支喘息はアレルギーが関与する「アトピー型」と、アレルギーが関与しない「非アトピー型」に分けられます。

気管支喘息と関連した疾患である花粉症、蕁麻疹(じんましん)などは、遺伝的な要因に基づいて発症する生まれつきの過敏症(アレルギー)であると考えます。花粉症や蕁麻疹などの要因はアトピーと呼ばれます。このアトピー素因があるかどうかは以下のような観点から判断します。

・家族あるいは自分が気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれかにかかったことがある、あるいはかかっている
・アレルギー反応で生み出される「IgE抗体」を産生しやすいかどうか

アトピー型喘息は、吸入された花粉やダニ、ハウスダストなどにIgE抗体が反応し、短時間で起きる「Ⅰ型アレルギー反応(即時型アレルギー反応)」によって発症する喘息です。アトピー型喘息のほとんどが、5歳未満の小児期に発症し、小児喘息患者の90%以上を占めています。また、アトピー型喘息は春と秋に増悪しやすい、つまり症状が悪化しやすいとされています。しかし、アトピー型喘息の多くは軽症で約70%が成人までに寛解する(病状がおさまる)とされています。

一方、アトピー素因がなく、さらにアレルギーを起こす物質に対するIgE抗体の存在がわからず、即時型アレルギーではないメカニズムの炎症によって発症する喘息を「非アトピー型喘息」といいます。非アトピー型喘息の多くは40歳以上の成人で、重症のことが多いとされています。

気管支喘息にはアトピー型と非アトピー型があり、この差が検査結果や治療方法に影響します。

気管支喘息の原因 ストレスやタバコ、アルコール、薬剤、運動は関係する?慢性の炎症?

まず、非アトピー型喘息の原因は明らかになっていません。そのため、アトピー型喘息の原因について説明します。

人間は空気中の様々な物質を常に吸いこんでいますが、通常であれば、吸い込んだ物質に対して、免疫反応を起こして気管支喘息のような症状をきたすことはありません。しかし、ダニやカビ、スギなどの花粉、イヌやネコのフケ、ハウスダスト、タバコなどに含まれるタンパク質は、免疫反応を引き起こし、喘息の症状をきたすことがあります。気管支喘息の原因には様々な物質が関与しうることが分かっています。

気管支喘息の原因は、「個体因子」と「環境因子」に大別することができます。

個体因子→人間側が持つ原因です。具体的には、アトピー素因や遺伝的素因、気道の過敏性、性差などがあります。子供の場合、女児より男児のほうがなりやすいです。成人の場合は、逆転して、男性より女性のほうがなりやすいです。

環境因子→ダニやカビなどのアレルゲン(アレルギーの原因物質)、ウイルスなどの感染症、産業スモッグや光化学スモッグといった大気汚染、運動、薬、喫煙などです。また、気温や気圧の変化、夜間や明け方といった時間帯なども気管支喘息の誘因となり得ることが知られています。

気管支喘息の原因は一つのこともありますが、上記の個体因子や環境因子のいくつかが組み合わさって発症することもあります。

気管支喘息は他人にうつる?他人からうつされる?

周りに気管支喘息の方がいる場合、その気管支喘息はうつることがあるのか。あるいは、自分が気管支喘息のとき、周りの人に移す可能性があるのかと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、気管支喘息は他人から移されたり、他人にうつることはありません。

ただ、気管支喘息の原因が他人から移されたり、他人に移ることはあります。気管支喘息の原因は様々ありますが、ウイルス性の感染症が原因となる気管支喘息があります。かぜや気管支炎などを引き起こすウイルスは咳などを介して周りの人に感染していきます。そして、このウイルス感染が契機となって、気管支喘息を発症する恐れがあります。

気管支喘息の原因は子どもと大人で違う?

気管支喘息の原因はダニやウイルス、喫煙、運動など様々ですが、子どもと大人では気管支喘息を引き起こしやすい原因が異なります。

通常、子どもが発症する気管支喘息は、「アトピー型喘息」と言われるタイプが多く、子どもの喘息患者の90%以上を占めています。一方、大人は「非アトピー型喘息」と言われるタイプが多いとされています。

アトピー型喘息はダニやカビ、スギなどの花粉、イヌやネコのフケ、ハウスダスト、タバコなどに含まれるタンパク質などに「IgE抗体」という抗体が反応し、短時間で成立する「Ⅰ型アレルギー反応(即時型アレルギー反応)」によって発症する喘息です。つまり、子どもの気管支喘息の原因はダニやカビ、スギなどの花粉、イヌやネコのフケ、ハウスダスト、タバコなどに含まれるタンパク質などが多くなります。

一方、非アトピー型喘息は風邪や気管支炎などのウイルス感染症が原因となります。つまり、大人の気管支喘息の原因は、風邪や気管支炎などのウイルス感染症が多くなります。

気管支喘息の予防方法はある?

気管支喘息の予防という意味では、2つのことが考えられます。

・新たな気管支喘息の発症を防ぐこと
・現在の喘息発作をより重症にしないこと

新たな気管支喘息の発症を防ぐためには、気管支喘息の原因を避けることが重要です。気管支喘息の原因は様々であり、ハウスダストなどのアレルゲンが原因であったり、喫煙やストレス、食べ物が原因となることもあります。気管支喘息の原因のうち避けられるものはできるだけ避けて生活しましょう。

すでに気管支喘息を発症している方は、より重症にならないよう、気管支喘息の管理が重要になります。そもそもの気管支喘息の原因を避けることも重要ですが、気管支喘息をお持ちの方が適切な管理を怠ると、喘息発作はより重症になってしまいます。医師に処方された薬は用法用量を守ることが、喘息発作の重症化を防ぐことにつながります。



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気管支喘息の種類、原因、予防法などについてご紹介しました。「気管支喘息かもしれない」と不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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