気管支喘息の治療、入院可能性 ステロイド?市販薬や漢方薬あり?手術になるケースや食べ物の効果も解説

  • 作成:2016/10/05

気管支喘息の治療では、多様な薬が選択肢に入りますが、よく知られているのは「ステロイド」を吸入するものですが、手術になるケースはゼロではありません。入院の可能性や市販薬・漢方薬の有無、食べ物の効果を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は6分です

気管支喘息の治療を知ろう

気管支喘息の治療薬はどんなもの?ステロイドを吸入?

気管支喘息の患者さんの気道では炎症が起こっており、また気道が狭くなって空気の通りが悪くなっています。その結果、気管支喘息では夜間や朝方に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸をしたり、ねばねばとした痰が出ます。

病状を改善するために、ステロイド薬、抗アレルギー薬(抗ロイコトリエン薬など)、β2刺激薬、テオフィリン製剤、抗コリン薬などを用います。

ステロイド薬は、口から吸いこむ「吸入薬」と内服する「経口薬」がありますが、気管支喘息では、前者の吸入薬をよく用います。吸入薬は経口薬に比べて、少量で効果を発揮し、ステロイドの副作用(感染症にかかりやすくなるなど)も少なく済みます。ステロイド吸入薬には炎症を抑える効果(抗炎症効果)があり、発作を予防する薬として用いられます。

抗アレルギー薬もステロイドと同様、抗炎症効果があり、発作を予防する薬として用いられます。

一方、β2刺激薬、テオフィリン製剤、抗コリン薬の3剤は気管支を拡張する作用があります。いずれの薬も発作を予防する薬として用いられます。

気管支喘息に効く漢方薬がある?どんなもの?

気管支喘息に用いられる漢方薬は体力の程度に応じて、使うとよいとされている薬が異なります。

「「実証タイプ(比較的体力があり胃腸も丈夫な人)」の方は、痰は比較的少ないものの、口のかわきがあり、発作時に顔面発赤や発汗がみられるため、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」を基本にした処方がよく用いられます。そして、必要に応じて「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」等を併用します。

「中間証タイプ(体力的に普通程度の人)」の方には、「柴朴湯(さいぼくとう)」が最も喘息治療に使われています。柴朴湯は、のどの詰まり感がある方や、ストレスで発作を誘発しやすい方に特に良いとされています。水様の痰が多く出る方には「小青龍湯(しょうせいりゅうとう)」を、痰の少ない方には「滋陰降火湯(じいんこうかとう)」も使われますし、痰のきれが悪い場合は「清肺湯(せいはいとう)」が使われます。

「虚証タイプ(体力的に比較的虚弱な方や高齢者)」の方で、空咳や痰が切れにくいようなタイプには「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」をしばしば使います。また、水っぽい痰が多ければ「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)」がよく使われ、冷えが強く血色もすぐれない方には「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」等が選択されます。

漢方薬は、患者さんの体力や体質に応じて、使われます。また、小児喘息の場合、医師によっては、「神秘湯(しんぴとう)」という漢方薬を、小児喘息のファーストチョイス(第一選択薬)にしている場合がありますが、痰の少ない症例に適しています。しかし、小児でも虚弱体質の場合は、「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」を単独、もしくは他の薬との併用薬として用いると、良い結果になるとされています。

気管支喘息にきく市販薬がある?どんなもの?

気管支喘息に有効な薬剤は「β2刺激薬」「アミノフィリン(テオフィリン)」「ステロイド」「ロイコトリエン受容体拮抗薬」「アドレナリン」などがあります。これらの薬は医師が処方しますが、気管支喘息の市販薬は医師が処方する薬とは異なります。

市販薬として販売されているのは「アミノフィリン」を主成分とした薬です。気管支喘息では気管支が狭くなっているため、この狭さを解消することが治療として考えられます。アミノフィリンには気管支拡張作用と炎症を抑えるといった作用があるため、気管支喘息に有効であると考えられています。

医師から処方される薬剤とは異なる成分の市販薬も多く存在します。例えば、「dl-メチルエフェドリン」「トリメトキノール」「メトキシフェナミン」を成分とした薬は、気管支喘息に対して有効と考えられています。しかし、医師が処方する薬に比べて、市販薬はその効果が弱いこともあります。

また、気管支喘息では咳が主症状の一つであるため、咳止めを購入する方がいます。しかし、咳止めの中には、気管支を狭くする作用を持った薬があり、気道を狭くする咳止めを飲むと、気管支喘息がより悪化する恐れもあります。ですから、気管支喘息に対する薬を購入する際は、かかりつけの医師や薬局にる薬剤師や相談したうえで購入するとよいでしょう。

気管支喘息で入院することがある?入院期間はどれくらい?

気管支喘息はその発作の強さで軽度(小発作)、中等度(中発作)、高度(大発作)、重篤の5段階に分けられます。5段階のうち、中等度~重篤の発作である場合は「入院を検討」あるいは「入院」となります。

入院期間は気管支喘息の重症度や治療の効き具合によってバラつきはありますが、概ね数日から1週間程度であることが多いです。もちろん、気管支喘息の症状が重篤であり、治療の効果がおもわしくない場合は1週間よりも長くなったり、別の病院に転院となることもあります。

気管支喘息で手術をすることがある?どんなもの?

気管支喘息に対する治療として、今まではステロイドの吸入薬やアミノフィリンといった薬が用いられてきました。しかし、薬による治療では気管支喘息の症状をコントロールできない、重症度の高い患者さんには有効な治療方法はありませんでした。

そんな中、2015年4月に重症喘息に対する新しい治療法、「気管支サーモプラスティ療法」という治療が保険適用となりました。気管支サーモプラスティ療法は気管支鏡を使って実施する手術です。気管支喘息の気管支収縮の要因とされる気道の反応性を抑え、喘息症状を緩和する効果が期待されています。日本での手術件数は、まだ海外と比べて少ないですが、今後ますます広がっていくことが期待されます。

気管支喘息の治療は大人と子供で違う?

気管支喘息の治療には、「β2刺激薬」「アミノフィリン(テオフィリン)」「ステロイド」「ロイコトリエン受容体拮抗薬」「アドレナリン」などの薬を用います。また、18歳以上であれば「気管支サーモプラスティ療法」という手術が行われることもあります。 とはいえ、基本的に、気管支喘息に対する治療は大人と子どもで大きな差はありません。

気管支喘息に効果のある食べ物がある?

気管支喘息に有効な食べ物や、逆に気管支喘息を誘発しうる食べ物があります。そもそも、気管支喘息ではアレルギー反応などが原因となったり、気管支の筋肉が収縮することで喘息発作が起こります。気管支喘息に有効な食べ物はこのいずれか、あるいは両方を改善するとされています。

例えば、れんこんはアレルギーの原因となる「IgE抗体」を抑制するとされています。また、生姜にもアレルギーを抑える作用があるとされています。クレソンやコーヒーなどに含まれるカフェインは、気管支の筋肉を弛緩(やわらかく、ゆるませるイメージ)させて、気管支を広げるとされています。

気管支喘息を誘発する食べ物がある?

一方、気管支喘息を誘発しうる食べ物もあります。気管支喘息を誘発するアレルゲンになりやすい、気管支等、気道を収縮させる食べ物が該当すると考えられます。

例えば、アレルゲンとなりやすい食べ物としては、卵・小麦・エビ・カニ・そば・ピーナッツなどがあります。また、気管支等を収縮させうる食べ物として、山芋、里芋、たけのこ、ナス、ホウレン草などの灰汁(あく)の強い野菜が挙げられます。灰汁には「ヒスタミン」などの気管支粘膜を刺激し、収縮させる成分が含まれています。

気管支喘息の方が、食べ物に注意を払うのは良い可能性があります。しかし、気管支喘息であるからといって、気管支喘息を誘発しうる食べ物を食べることができないわけではありません。むしろ、食べ物のことを気にしていることがストレスとなり、そのストレスが気管支喘息を悪化させる恐れがあります。過度に意識するのではなく、「食べ物が気管支喘息の原因となることもあるから気を付けよう」くらいの気持でいた方が良いでしょう。



【気管支喘息関連の他の記事】


気管支喘息の治療や対応法などについてご紹介しました。「気管支喘息かもしれない」と不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

症状や健康のお悩みについて
医師に直接相談できます

  • 24時間受付
  • 医師回答率99%以上

病気・症状名から記事を探す

その他
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師