咳喘息の検査、診断、診療科 耳鼻咽喉科でも?呼吸の確認とは?

  • 作成:2016/05/24

咳喘息の検査では、呼吸の機能の検査や、痰の検査をして、「咳喘息」という診断をします。診療科は、呼吸器科などですが、いったん耳鼻咽喉科にかかることもあります。少々専門的になりますが、診断基準も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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咳喘息の検査はどんなもの?

咳喘息は何科で診療する?耳鼻咽喉科の場合もある?

咳喘息を疑った場合に受診する科は、呼吸器科・アレルギー科・耳鼻咽喉科などです。総合病院など大きい病院で、複数の科があるときには、受付で咳喘息をみてもらいたいと申し出ると、適切な診療科を案内してもらえます。

咳喘息の検査はどんなもの?

問診(もんしん:症状などを聞き取ること)だけで咳喘息と診断できる場合もありますが、咳喘息以外の病気が否定できないときには、病気の時期に応じて胸のレントゲンや血液検査を行います。咳喘息は胸のレントゲンで異常を認めない特徴があります。

受診時に症状が出ていないときや、問診だけで気管支喘息と区別がつかない場合は「呼吸機能検査」という検査を行うこともあります。呼吸機能検査は、可能な限り大きく息を吸って、その後思い切り素早く息を吐き出して、その量を測定します。1回に最大で吐き出す呼吸の量を「肺活量(はいかつりょう)」といい、さらにそのうち始めの1秒で吐き出した呼吸の量の割合を「1秒率」と言います。1秒率は、気道の通りやすさを表していて、気道がきちんと開いていれば高い数字が出ます。逆に1秒率が70%以下であれば、「気道が狭くなっている」と考えられます。1秒率が低い状態を「閉塞性障害がある」と表現します。咳喘息では、他の喘息と比較すると気道が狭くなっていないため、1秒率の低下はなく、この検査では異常なしと言われます。 また咳喘息の診断を確実にするために、痰の検査(喀痰検査<かくたんけんさ>)を行うこともあります。この検査では、痰の中に、アレルギーの時に増える炎症細胞の一種「好酸球」が増えていないかを検査します。

その他に咳喘息の原因を見つけるために、血液検査でアレルギー反応が出ているか、出ているとすれば何に出ているのか(ハウスダスト・花粉など)を調べることがあります。

咳喘息の診断基準

咳喘息には診断基準があります。以下の1番、2番の両方を満たした時に咳喘息と診断する、というものです。1番は「喘鳴を伴わない咳嗽(がいそう)が8週間(3週間)以上持続し聴診(ちょうしん)上もwheezeを認めない」、2番は「気管支拡張(かくちょう)薬(β刺激薬またはテオフィリン製剤)が有効」です。この診断基準を以下で、わかりやすく解説します。

診断基準1の「喘鳴を伴わない咳嗽」とは、ヒューヒュー・ゼーゼーといった喘鳴がない咳、という意味です。この咳が8週間続くということですが、「8週間」という期間は治療をしていない場合です。「3週間」という数字が出ているのは、咳の症状で病院を受診して薬を処方されても改善しない場合の数値で、「治療しても3週間咳が続いたら、咳喘息を考えましょう」という意味になります。治療を受けている状態では8週間まで様子をみなくても、3週間で判断してよい、ということになります。「聴診上もwheezeを認めない」とありますが、「wheeze」というのは喘鳴の一種で、主に肺でゼーゼー音がすることを言います。つまり聴診器で胸の音を聞いても喘鳴は聞かれない、ということです。

診断基準2は、簡単に言うと、気管支拡張薬によって良い効果が得られる、ということです。「気管支拡張薬が効く」ということは、「気管支が縮んでいた」ということを意味します。他に気管支拡張薬が効く病気としては、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)がありますが、気管支喘息は喘鳴があるため、診断基準1を満たしませんので、区別ができます。またCOPDで使用される気管支拡張薬は「抗コリン系」と呼ばれるタイプが主体であることから、「β刺激薬またはテオフィリン製剤が効く」という記述によって、COPDとの区別もつくことになります。

咳喘息の診断の参考所見とは?

またこの診断基準には参考所見(参考の患者の特徴)が以下の3つあります。

1.末梢血・喀痰好酸球増多、呼気中NO濃度高値を認めることがある(特に後2者は有用)
「末梢血・喀痰好酸球増多」とは、血液検査や痰の中を調べたときに、アレルギーで増加する炎症細胞の1種、「好酸球」が増えているということです。そしていくつかの研究の発表では、アレルギーが関連した喘息や咳喘息では、吐いた息の中の「NO(一酸化窒素)の濃度」が高いと報告されていますので、診断時の参考になります。

2.気道過敏性が亢進している
気道の反応過敏になっていることです。

3.咳症状にはしばしば季節性や日差があり、夜間~早朝優位のことが多い
咳喘息の咳は季節によって、もしくは日によって症状に差があり、特に夜間から早朝にかけて、咳が多いとされています。

必須項目である診断基準の2項目を満たさなかったとしても、これらの参考所見の条件を満たすほど、咳喘息の可能性が高くなります。


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咳喘息について検査や診断基準などをご紹介しました。咳が長く続いて不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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