慢性閉塞性肺疾患(COPD)の重症度、検査、診断 肺活量が関係?レントゲンでわかる?末期の定義も解説

  • 作成:2016/08/15

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、末期には寝たきりになり、動くことが難しくなる肺関連の病気の総称ですが、重症度分類があります。重症度分類や判定方法、検査方法を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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COPDの定義とは?

目次

COPDの重症度の分類と診断基準 肺活量が関係?

COPDはI期の軽症からIV期の重症まで重症度の分類が存在し、4つに分けられます。重症度はCOPDの診断の際に一緒に判定することができます。

COPDの診断と重症度の判定は「呼吸機能検査」によって行われます。呼吸機能検査(スパイロメトリーとも言います)とは、「スパイロメーター」という専用の機械を用いて行われる検査です。患者さんは、機械の先端のホースのような部分を口にくわえて、検査技師さんやお医者さんの指示に合わせて何度か大きく深呼吸をします。深呼吸のときの呼気量や吸気量などを測定し、呼吸の能力を調べる検査です。

呼吸機能検査では様々な項目を測定していますが、実際には「%肺活量(%VC)」と「1秒率(FEV1.0%)」という2項目が非常に重要です。

%肺活量(%VC)・・・空気を最大量まで吸入して、もう吐き出せないところまで目一杯吐いたときの量を「肺活量(VC)」といいます。実際に測定した「肺活量(VC)」を、年齢と身長によって計算した予測正常値と比較し、予測正常値に対して、肺活量が何パーセントあるかを測定して「%肺活量(%VC)」として表します。つまり、同じ年齢や身長の人間の肺活量の平均値と比較して、どのくらいの肺活量があるかを見る検査です。

1秒率(FEV1.0%)・・・空気を最大量まで吸った状態から力いっぱい空気を吐き出す際、最初の1秒間に吐きだした空気の量が、肺の中に入っている空気全体(努力性肺活量:FVC)の何パーセントにあたるかを測定した数値です。肺の弾力性や気道の閉塞の程度を示します。肺に弾力性がなくなったり、気道に閉塞があると数値が低くなります。

拘束性障害とは?閉塞性障害とは?

呼吸機能検査で異常な数値が測定された場合、「%肺活量(%VC)」と「1秒率(FEV1.0%)」の数値を見て呼吸機能の異常を分類します。

・%肺活量(%VC)が下がる状態→拘束性障害(こうそくせいしょうがい)
・1秒率(FEV1.0%)が下がる状態→閉塞性障害(へいそくせいしょうがい)

拘束性障害と閉塞性障害では原因となる病気が違うため、呼吸機能検査の結果から身体にどのような病気が存在するか推定することができるのです。

(1)%肺活量(%VC)が80%以下に低下 :拘束性障害
原因 ・・肺線維症、じん肺、間質性肺炎、筋肉や神経の病気

(2)1秒率(FEV1.0%)が70%以下に低下:閉塞性障害
原因 ・・COPD、喘息、びまん性細気管支炎

*COPDの日本語の呼び方は「慢性閉塞性肺疾患」ですが、「閉塞性」という言葉は、呼吸機能検査で閉塞性障害を示すことからつけられています。

拘束性障害では、病気によって肺の組織が全体に硬くなり、十分に拡がって空気を吸い込むことができないために、肺活量が低下しています。つまり、拘束性障害は、空気を吸い込む機能の障害であり、吐き出す機能には異常はありません。肺をゴム風船に例えるとゴムが全体に硬くなってしまい、空気を吸い込もうとしても十分にふくらむことができない状態と考えられます。

対して、閉塞性障害では、風船のゴムは弾力性を失ってのびきった状態か、もしくは風船の入口が狭くなっていると例えられます。風船のゴムがのびているケースの場合、空気を入れると、どんどんと風船(肺)はひろがって膨らみますが、ゴムに弾力性がなく、縮まろうとする力が弱くなっています。すると、空気を吐き出そうとした場合、風船(肺)から空気を押し出すことが難しくなり、空気を吸うことはできるが、うまく吐きだすことができません。この状態がCOPDの中の「肺気腫」の状態で、息を吸うことはできるが吐き出すことが難しいため、苦しくなり、ハアハアと息切れや呼吸苦が起こります。

また、風船の入口が狭くなっているケースの場合、肺では空気の通り道である「気道」に、慢性的な炎症が起こって、気道の表面の粘膜がむくんだ状態になったり、多量の痰(たん)が気道にたまっているために気道の内腔(内側)が狭くなっていることを指します。気道が狭くなると、空気を吸い込むことはできますが、吐き出すことが難しくなります。このケースでは気道の炎症を反映して、咳や痰が症状のメインとなり、COPDのうち「慢性気管支炎」に該当します。

COPDと喘息をどうみわけるか?

喘息も閉塞性障害のパターンを示しますが、狭くなった気管支を拡張させる吸入薬(気管支拡張薬)を使用することによって気道の閉塞が改善されるため、気管支拡張薬の吸入後に、呼吸機能検査の結果が良くなることが特徴的です。

実際の診断の場では呼吸機能検査で「閉塞性障害」のパターンを示した場合、気管支拡張薬を吸入してもらい、もう一度呼吸機能検査を行います。気管支拡張薬の吸入後に、呼吸機能の改善がみられる場合には喘息、改善がみられない場合はCOPDや「びまん性細気管支炎」といった病気などを想定して、更に検査を進めていきます。

COPDの重症度はどう判定する?

COPDの重症度は、呼吸機能検査の測定項目のうち、1秒量(%FEV1)という項目によって判定されます。「1秒量(%FEV1)」とは、 空気を目一杯吸った状態から力いっぱい空気を吐き出す際、最初の1秒間に吐き出した空気の量を、正常値と比較した数字です。正常値の何%を吐き出すことが出来たかによって4種類に分類します。

【COPDの重症度】
*COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版(日本呼吸器学会)による

I期  軽度の気流閉塞     : 1秒量が80%以上
II期  中等度の気流閉塞  : 1秒量が50%以上、80%未満
III期 高度の気流閉塞      : 1秒量が30%以上、50%未満
IV期 極めて高度の気流閉塞  : 「1秒量が30%未満」または「1秒量50%未満で慢性の呼吸不全を呈する」

COPDの末期とはどんな状態?

末期のCOPDとは、主にIV期の状態を指します。IV期のCOPDになると、痰や呼吸困難が非常に強くなり、食事や横になって寝ているだけでも、非常な息苦しさを感じます。寝たきりとなり、酸素マスクで酸素を投与しなければなりませんが、酸素投与によっても呼吸困難が完全になくなることはなく、少しでも身動きするだけでゼイゼイと息が苦しくなります。

COPDで呼吸が苦しくなると、呼吸することにも体力を使うため、どんどん痩せてしまいます。すると、呼吸が更に苦しくなって体力を使うため、またやせるという風に、悪循環になってしまうのです。この悪循環を改善する方法は現在まだ発見されておらず、酸素マスクで呼吸しつつ、体力が衰えて死に至る状態を継続するしかありません。 またCOPDでは肺が弱っているため感染症に非常に弱く、ちょっとした風邪でも肺炎に進展してしまう可能性が非常に高くなります。そのため療養中に急に肺炎を起こし死亡するケースもしばしばみられます。

また、肺と心臓は深い関係があり、COPDで肺の機能が悪くなると、心臓にも悪い影響を及ぼします。具体的には、心不全や不整脈を合併することがあり、これらの心臓病によって身体に症状が現れたり、亡くなることもあります。

COPDの末期の呼吸不全は非常に辛く苦しいものですが、呼吸の苦しさを十分に抑える治療は現在のところあまり存在しません。医療用麻薬の一種であるモルヒネの投与がCOPDの呼吸苦をある程度改善するという報告がありますが、現在の日本ではCOPDに対するモルヒネの投与は保険の適応がなく、実際には使用することができないのです。

このようにCOPDの患者さんは、末期まで進むと、非常に苦しんで亡くなる事が多いため、軽症のうちに発見し禁煙や治療を行うことが何よりも大切だと考えられているのです。

COPDの検査 レントゲンは使う?

COPDの診断は、喫煙歴と呼吸機能検査によって行われます。COPDは呼吸機能検査で閉塞性障害を示す病気の一つですが、呼吸機能検査で閉塞性障害を示す病気は他にもあるため、他の病気ではないという事を証明する必要があります。

呼吸機能検査で、閉塞性障害を示す病気として、具体的には、「気管支喘息」「気管支拡張症」「肺結核後遺症」「びまん性細気管支炎」などがあります。これらの病気の存在が否定された時に初めてCOPDの診断がつくのです。

そのため、COPDの診断時には呼吸機能検査のほか、胸部X線検査、胸部CT検査なども同時に行い上記の閉塞性障害を示す他の病気がないか確認する必要があります。

また、COPDと診断され、治療を行っている患者さんに対しては、定期的な呼吸機能検査のほか、「動脈血ガス分析」「経皮的酸素飽和度測定」などと呼ばれる検査を行います。これらの検査はその時点で肺の機能がどの程度残っているかを判断するために行われます。

「動脈血ガス分析」や「経皮的酸素飽和度測定」という検査では、動脈や静脈の血液の中に存在する酸素や二酸化炭素の数値を測定しています。

肺は空気中から身体に酸素を取り入れ、また身体の組織から産生された二酸化炭素を放出する働きをもっています。肺の機能が正常な場合、血液の中に存在する酸素や二酸化炭素の値は常に一定になるように保たれています。

COPDでは、肺の組織が破壊されるために、酸素を取り入れたり、二酸化炭素を放出する働きに異常が起こります。すると、血液中の酸素の濃度が基準値よりも低くなったり(低酸素血症:ていさんそけっしょう)、二酸化炭素の濃度が上昇(高二酸化炭素血症:こうにさんかたんそけっしょう)するのです。低酸素血症や高二酸化炭素血症の存在は、COPDによる死亡するリスクと関連があると言われています。また、定期的に測定して長期的な数値の変化をみることで、COPDの進行や急性増悪、在宅酸素療法を開始する際の判断を行う材料となります。

またCOPDの患者さんは、不整脈や心不全、心筋梗塞などの心臓病、糖尿病、高血圧、高脂血症、骨粗鬆症、脳卒中などを合併する割合が、COPDのない方と比較して統計学的に高いことが分かっています。そのため、COPDの患者さんでは、肺に関連した検査だけでなく、合併症を早期に発見して治療につなげるため、心電図や血液検査、血圧測定、骨密度測定など全身の検査を定期的に行う必要があります。



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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の重症度、検査、診断などについてご紹介しました。咳が続くなどして、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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