咳喘息の治療薬、治療期間、自然治癒と再発可能性 吸入に効果?漢方薬、市販薬の有無、入院可能性も解説
- 作成:2016/05/24
咳喘息の治療には、吸入薬を使うことが基本となります。吸入薬には、狭くなった気管を広げる薬やステロイドがあります。なお自然治癒する可能性はないと考えてよいため、適切な治療を受けるようにしましょう。漢方薬や市販薬、再発可能性を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
- 咳喘息の治療薬はどんなもの?ステロイドを吸入?
- シムビコート、アドエアとは?
- 咳喘息にきく漢方薬がある?どんなもの?
- 咳喘息にきく市販薬がある?どんなもの?
- 咳喘息の治療に大人と子供の違いがある?
- 咳喘息の治療期間はどれくらい?
- 咳喘息で入院することがある?
- 咳喘息は自然治癒する?
- 咳喘息は完治する?
- 咳喘息は再発する?しやすい?
咳喘息の治療薬はどんなもの?ステロイドを吸入?
咳喘息には風邪薬や咳止め、細菌に対する抗生物質はほとんど効きません。咳喘息の治療の基本は吸う薬である吸入薬です。吸入薬には「気管支拡張薬」と「ステロイド薬」の2つがあり、「気管支拡張薬」は「β2刺激薬」と「テオフィリン薬」という薬にわけられます。「β2刺激薬」は交感神経の「β2受容体」という部分を刺激する薬です。このβ2受容体を刺激すると気管支が広がります。テオフィリン薬は気管支を広げる効果と炎症を抑える効果の両方を持っていますが、人によって効果や副作用の出方が異なるため、使いづらい一面があります。
ステロイドには、炎症細胞の活動を抑え、炎症を抑える効果があります。そのため、吸入ステロイドで、直接気道にステロイドを吸うことで、気道の炎症を抑えることができます。吸入ステロイドは飲み薬のステロイドよりも副作用が少ないため、必要があれば長く使うこともできます。
シムビコート、アドエアとは?
最近、ステロイドと気管支拡張薬が混ざった吸入薬も出てきました。代表的なものではアドエア(商品名)とシムビコート(商品名)があります。2つの製品の差は含まれているステロイドとβ2刺激薬の種類の違いです。吸入が難しい場合や、吸入薬で十分治療できない場合は、飲むタイプの抗アレルギー剤やステロイドを使うこともあります。
咳喘息にきく漢方薬がある?どんなもの?
咳喘息に対して、以下のような漢方薬が使われることもあります。
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう):麻黄(まおう)という成分による発汗作用によって咳が抑えられ、咳をしずめる半夏(はんげ)、五味子(ごみし)細辛(さいしん)が入っています。
・五虎湯(ごことう)::麻黄(まおう)が入っており、さらに熱や腫れをしずめる石膏(せっこう)が配合されています。気管支を広げて咳をしずめる効果が期待できます。
・麦門冬湯(ばくもんどうとう):気管の粘膜をうるおすことで、乾燥を改善し、炎症を抑えて咳が出にくくなります。
咳喘息にきく市販薬がある?どんなもの?
咳喘息の基本は吸入ステロイドと気管支拡張薬です。市販薬は、病院で処方される薬と比べて、効果よりも悪い作用などの害が出ないことを優先しており、効果が弱いのが特徴です。使用する際はあくまで急場しのぎと考えて下さい。
アスクロン(第2類医薬品:大正製薬):「β2刺激薬」である「塩酸メトキシフェナミン」という成分が含まれた薬です。
ミルコデシロップ(指定第2類医薬品:佐藤製薬):β2刺激薬である「メチルエフェドリン」という成分が含まれています。β2だけでなく「β1」という受容体も刺激するため動悸などの副作用が出ることもあります。
強力アスメトン(第1類医薬品:第一三共ヘルスケア):気管支拡張の効果を持つ「メトキシフェナミン」と「アミノフィリン」という成分が配合されています。アミノフィリンはテオフィリンと似た種類の薬です。その他にアレルギーを抑える抗ヒスタミン剤も含まれています。
咳喘息の治療に大人と子供の違いがある?
咳喘息の治療は基本的に大人も子供も同じです。子供でも必要があればステロイドを使用します。ただ、子供は体が小さいため、薬の量は大人と異なることもあります。
咳喘息の治療期間はどれくらい?
「咳喘息の治療期間は咳が出なくなるまで」ではありません。気道の状態が改善するまでしっかり治療を継続する必要があります。そのため、自己判断で治療を中断しないようにしましょう。咳喘息の標準的な治療期間は、初めての発作の場合は3カ月から半年程度、再発など2回目以降の場合は初回よりも長めに治療を行います。
咳喘息で入院することがある?
咳喘息のほとんどは入院を必要としません。ただし他の病気を合併していたり、家では十分休めないときなどは入院となることもあります。
咳喘息は自然治癒する?
咳喘息は自然治癒しないと考えた方がよいでしょう。咳が止まっていても気道の状態まで改善しているかどうかは自分ではわかりません。気道が刺激に対して、過敏な状態のままでいると、気管支喘息に進行することもあります。実際、咳喘息は気管支喘息の前段階と考えられ、約30%の人が咳喘息から気管支喘息になっています。自然治癒は期待せず、きちんと病院で経過をみてもらいましょう。
咳喘息は完治する?
咳喘息は気管支喘息の前段階と考えられています。小児の咳喘息の原因はアレルギーが関係していると考えられているため、小児の咳喘息は成長に伴ってアレルギー体質が改善され、咳喘息も完治する可能性はあります。
大人では、アレルギー体質が改善することはほとんどありません。症状が治まって、薬を必要としない期間ができることはありますが、原因に再び触れた場合にはふたたびアレルギー反応が起きて咳喘息を再発することがよくあります。
咳喘息は再発する?しやすい?
咳喘息は薬によって症状が治まりますが、症状が治まった段階で、「治った」と考えて、薬を自己中断すると再発することがありあります。咳がおさまっても、気道の状態が完全に改善していないことがあるからです。咳喘息の治療は病院で指示が出るまできちんと続けましょう。
また、きちんと治療を受けて、医師の指示で薬を終了しても、風邪を引いたり喉を刺激する物質を吸い込んだり、アレルギー物質に触れると再発することがあります。
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咳喘息について治療薬や再発、自然治癒の可能性などをご紹介しました。咳が長く続いて不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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