医師が解説!安全で眠りやすい「赤ちゃんの寝室環境」はこうつくる

  • 作成:2021/10/19

こんにちは、医師の森田麻里子です。赤ちゃんの睡眠トラブルについて情報発信やアドバイス等を行っています。この連載では、夜泣きや、なかなか寝てくれない、朝起きるのが早すぎる、といったお悩みについて、解決のヒントをお伝えしていきたいと思います。

この記事の目安時間は3分です

第1回の記事では、赤ちゃんの睡眠時間についてお伝えしてきましたが、今回はもう一つ大切なポイント、寝室の環境についてお話していきます。

医師が解説!安全で眠りやすい「赤ちゃんの寝室環境」はこうつくる

赤ちゃんの寝室は真っ暗がおすすめ

寝室の環境で最も大事なのは、“光”です。光は、寝ている間にもまぶたを通して目に入ってきます。周囲が明るくなると、赤ちゃんが光を感じて起きてしまうこともあるので、寝室の明るさをきちんとコントロールすることは大切です。

ママ・パパのお話をうかがうと、夜中に授乳(ミルク)やおむつ替えなどのお世話が必要になるため、天井の豆電球(常夜灯)をつけたまま寝ている方も多いようです。しかし、実はこれはあまりおすすめできせん。

天井の豆電球からの光は、仰向けに寝ている赤ちゃんの目に直接入っていくことになります。また、豆電球の光は、思った以上に明るいのです。電気のついた明るいリビングから寝室へ行くと、十分暗く思えるかもしれませんが、少し時間が経って目が慣れてくると、部屋の様子はよく見えるくらいの明るさがあります。

夜中にずっと薄明るい環境で寝ていると、“起きる/寝る”のリズムを整えにくくなりますし、 睡眠が浅くなる可能性があります。できれば、赤ちゃんが眠る部屋は真っ暗にしてください。授乳(ミルク)やオムツ替えが必要な時だけ、 床置きタイプのオレンジ色のライトをつけていただくと良いでしょう。

赤ちゃんの早起きを防ぐ遮光カーテン

赤ちゃんはそもそも早寝早起きのことが多いのですが、4時、5時など早すぎる時間に起きてしまうこともあります。特に夏場など、日の出の時刻を過ぎて寝室がだんだん明るくなってくることで起こることが多いようです。このように、寝室に太陽の光が入って朝早く起きすぎるのを防ぐためには、寝室をしっかり遮光しておくことが大切です。

寝室に窓があれば、カーテンは遮光カーテンにするのがおすすめです。遮光カーテンにも1級、2級、3級など種類があり、1級でも遮光度合いには微妙な違いがあります。できるだけ暗くなるものを選んでみてください。

また、カーテンを遮光にしても、カーテンの上下左右の隙間から漏れる光で、赤ちゃんが起きることがあります。そのような場合は、ガムテープなどを利用して光が漏れる隙間を塞ぐと、朝もしっかり寝ていてくれるようになるでしょう。

適度な室温、静かな環境に寝室を整える

次に大切なのは室温です。一般に、室温は20℃前後が眠りやすいとされていて、夏や冬はエアコン等で室温をある程度調節していただくのがおすすめです。

夏場は暑いと寝苦しく、夜中に起きてしまう原因になります。室温を20℃まで下げるのは寒すぎると思いますので、25〜27℃程度にして、半袖のパジャマで寝かせてあげると良いでしょう。じめじめするようであれば除湿モードも併用していただくと良いかもしれません。赤ちゃんが汗をかかない程度まで涼しく調節してあげてください。

冬場は、厚着させてしまうと身動きも取りづらくなりますし、逆に熱がこもる原因になります。暖房をつけて、18〜20℃程度まで室温を上げておくと良いでしょう。また、冬場はただでさえ乾燥しますから、 風邪予防のためにも加湿器をつけ、湿度が50〜60%になるように調整してみてください。

寝室の音については、ある程度静かな環境であれば良いと思います。ただ、なかにはとても物音に敏感な赤ちゃんもいます。リビングの生活音や外を通る救急車の音などで起きてしまうような場合は、ホワイトノイズという雑音を流す手があります。

ホワイトノイズとは、空気清浄機や換気扇などの音に似た、「ザー」「ゴー」という雑音です。これを寝ている間に流しっぱなしにすることで、突然物音がしても、その音がことさら気にならなくなます。その結果、夜中に途中で起きるのを防ぐことができるのです。ホワイトノイズはアプリや専用の機器などで流すことができます。完全なホワイトノイズでなくても、換気扇の音や雨の音など、ホワイトノイズに近い音でも構いません。興味のある方は、いくつか試してみると良いでしょう。

森田 麻里子(もりた・まりこ)

医師・小児スリープコンサルタントChild Health Laboratory代表。1987年、東京都生まれ。2012年、東京大学医学部医学科卒業。亀田総合病院での初期研修を経て、2014年、仙台厚生病院麻酔科、2016年より南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。
2017年の第1子出産をきっかけに、2018年より現活動を開始。2019年昭和大学病院附属東病院睡眠医療センター非常勤勤務。乳幼児の睡眠問題についてのカウンセリングや、育児支援者・医療従事者向け講座などを行う。
著書:『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』ダイヤモンド社、『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』光文社新書、『子育てで眠れないあなたに』KADOKAWA

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