免疫力を高めれば、病気を防げるのか

  • 作成:2022/01/16

インターネットやSNS、雑誌の特集を見ると“免疫力”という言葉をよく目にすると思います。この“免疫力”をアップさせるために、○○を食べろ、△△は辞めろ、□□をせよ・・・巷にはいろいろ なアドバイスが出回っていますが、この“免疫力”とは何を意味するのでしょうか。また、本当に“免疫力”を高めることで、病気を防ぐことはできるのでしょうか。

アスクドクターズ監修ライター アスクドクターズ監修ライター

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免疫力を高めれば、病気を防げるのか

“免疫”というシステムは、弱過ぎても強過ぎても問題がある

そもそも”免疫“とは、「身体に入ってきたものを「自分(自己)」か「自分以外(非自己)」かを見分け、「自分以外(非自己)」を身体から排除し、自分の身体を正常な状態に保つシステム全体」を意味する言葉です。そのため、“免疫”が十分に機能していないと、風邪をひきやすくなったりインフルエンザに罹りやすくなったり……といったように、外敵の侵入に対して弱くなりますが、逆に“免疫”が過剰に働いていると、自分の細胞を攻撃して排除してしまうため「自己免疫疾患」と呼ばれる病気になりやすくなります。

つまり、“免疫”というのは弱過ぎても強過ぎても人間にとっては不都合なので、ほどほどの丁度良いくらいで機能しているのが良い、ということになります。

……ということは、もし本当に何かの方法で“免疫力アップ”させる=免疫というシステムの機能を活性化させることができるのであれば、それを積極的に行うのはむしろちょっと危険かもしれない、ということになります。しかし、現状は免疫システムの働きを簡単に操作することはできませんので、“免疫力アップ”の方法として紹介されているものを試したことで自己免疫疾患になってしまう・・・といったような心配をする必要はありません。

では、テレビ番組や雑誌でよく見かける“免疫力アップ”とは、何のことを意味しているのでしょうか。

「細菌やウイルスといった外敵に対する警備・迎撃能力」という意味での“免疫力”

実は、“免疫力”という言葉は医学や薬学の教科書には載っていません。先述の通り、“免疫”とはパワーではなくシステムのことを指す言葉だからです。

しかし、これだけ“免疫力”という言葉がいろいろな場所で使われているいま、「そんな言葉は存在しない」と正論を振りかざしているだけでは頭が固いだけの人になってしまいます。そのため、“免疫力”という言葉を見かけた際には、そっと「病気に対する抵抗力」と読み替えておくのが良いと思われます。実際、“免疫力アップ”という言葉は、風邪をひきにくくなる、インフルエンザに罹りにくくなる・・・そういった抵抗力に近い意味合いで使われていることがほとんどです。

たとえば、バランスの良い食事を摂る、しっかりと寝る、ストレスを溜めない等の生活習慣は、病気に対する抵抗力を高めてくれるものと考えられます。これは、立派な“免疫力アップ”の方法と言えるでしょう。他にも、インフルエンザなどはワクチン接種をしておくことで感染・重症化リスクを大きく抑えることができますので、そういった意味でワクチンは“免疫力アップ”の代表的なツールと呼べるかもしれません。

“免疫力アップ”のために、極端なことや不便なことをする必要はない

巷には、“免疫力アップ”に良いとされているものがたくさん紹介されています。しかし、ここまで紹介してきた通り、そもそも“免疫力アップ”という言葉自体、きちんと定義もされていない、非常に曖昧なものです。ざっくりと“身体に良さそう”という意味で捉えるにしても、その“免疫力アップ”のために、何か極端なことや不便なことを生活に取り入れる必要はありません。

特に、食事は“バランス良く”することを考えるのが最も大切です。何か特定の食品を大量に食べたり、特定の食品を避けたりすることで、病気に対する抵抗力が大きく変動するようなことはありません。むしろ、偏った食事や極端な食事をすれば栄養も偏るため、健康を損なうことになります。“免疫力アップ”を考えるのであれば、旬のものを積極的に取り入れたり、普段はあまり食べないようなものや苦手な食品にも挑戦してみたり・・・といった機会として活かしてもらうのが良いと思います。

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