赤ちゃんの吐き戻しは横向き寝の影響?病院に行くべき?

  • 作成:2022/02/11

AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、横向き寝をさせてしまっていたことを心配するお母さんからのご相談です。

アスクドクターズ監修ライター アスクドクターズ監修ライター

この記事の目安時間は3分です

赤ちゃんの吐き戻しは横向き寝の影響?病院に行くべき? 赤ちゃんの吐き戻しは横向き寝の影響?病院に行くべき?

【今回のお悩み】
1ヶ月半になる娘の事ですが、産婦人科で添い乳を薦められやり方もわからず自己流の方法で添い乳をしていました。赤ちゃんの背中に長いタオルを添えるように丸めてしき、体ごと横向きにして寝かせていました。横向き寝が悪いとは知らず産まれてすぐから今まで続けていました。
娘はよく乳を吐き戻し、むせるのですが横向き寝が原因で器官や背筋が曲がってしまったのでしょうか?知らなかったこととはいえ、今とても心配です。この先、横向き寝をさせなかったら問題ないのでしょうか?それとも病院に連れて行った方がよいのでしょうか?

医師の回答

横向き寝はNICU(新生児集中治療室)でもよく行われている寝かせ方です。もし横向き寝が原因で内臓器官や背骨が曲がってしまうならば、多くの赤ちゃんがそのようになってしまいますがそんなことはありません。例えば母乳がなかなか消化できないという赤ちゃんを右向きに寝かせると消化できるようになる事例もあります。この場合は重力の影響で胃の消化が良くなると考えられています。

赤ちゃんの急変(SIDSやALTE)のうち45%は添い寝中に発生

一方で、添い乳は昔から赤ちゃんを寝かしつけする方法の一つとして定着してきました。寝不足のお母さんの負担を軽減するやり方として広まったのですね。しかし、最近になって、日本人を対象としたデータで添い乳は危険が高いことがわかってきています。妊婦や赤ちゃんの専門家集団である日本周産期新生児医学会のワーキンググループが2019年に母子同室(お母さんと赤ちゃんを同じ部屋で過ごす事)に関して、全国の産科医療機関2458施設を対象に調査しました。その結果、SIDS(乳幼児突然死症候群)やALTE(乳幼児突発性危急事態)40例と母子同室の有無とは関連性が認められませんでした。しかし、SIDSやALTEなどの急変40例の45%は添い寝中に起きたことがわかりました。顔がマットレスに埋まったり、家族の体の一部により赤ちゃんの体が圧迫され窒息してしまう事例です。

家族全員で協力して母親の授乳の負担を減らす努力を

しかし、添い寝にもちろんメリットがあります。みなさまもご存じの通り、赤ちゃんがよく寝てくれますし、親側もしっかり寝ることができます。そのため、危険な例はありますが一概にそれを禁止することはできません。そこで添い乳のリスクを家族全員で共有し、母親が疲れていて赤ちゃんに対して十分に注意が払えなくなりそうなときは添い乳を避けるよう気をつけることです。そして何より重要なのは、夜間の授乳はパートナーが行うことです。添い乳を一律に否定するには、母親の育児負担が大きすぎるのです。

(参考文献)
#1. 母子同室実施の留意点. 本周産期新生児医学会母子同室による新生児管理の留意点検討ワーキンググループ.2019
#2. Tablizo MA, et al. Supine sleeping position does not cause clinical aspiration in neonates in hospital newborn nurseries. Arch Pediatr Adolesc Med 2007; 161(5):507-510
#3. Vennemann MM, et al. Bed sharing and the risk of sudden infant death syndrome: can we resolve the debate? J Pediatr 2012; 160(1): 44-48, e42

今西 洋介

小児科医/新生児科医

日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載コウノドリの漫画・ドラマの医療監修を務めた。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。

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