薬を飲む回数、1日に1回、2回、3回など薬によってバラバラなのはなぜ?

  • 作成:2022/04/29

薬には、1日1回だけ飲めば良いものもあれば、1日2回や3回、中には4回、5回と分けて飲む必要があるものまであります。薬の用法・用量は、その薬を最も安全で効果的に使うために決められた使い方だということはわかっていても、なぜこのように飲み方がバラバラなのかを疑問に感じる人は多いと思います。今回は、こうした薬の服用回数がどのようにして決まるのか、その経緯と理由を薬剤師の立場から簡単に紹介します。

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薬を飲む回数、1日に1回、2回、3回など薬によってバラバラなのはなぜ?

(画像素材:ピクスタ)

“ちょうど良いくらいの量の薬”が血液中にある状態…を維持するのが目的

基本的に、多くの薬は他の栄養素などと同じように胃や腸で溶けて血液中に吸収されます。こうして血液中に溶け込んだ薬は、血流に乗って全身を巡り、標的となる臓器や組織で薬理作用を発揮します。そのため、薬の「効果」は、“血液中にどのくらいの量の薬が溶けこんでいるか”ということに大きく影響を受けます。

血液中の薬の量があまりに少な過ぎると、期待していた効果は得られませんが、だからといって多過ぎると、今度は中毒症状や副作用を起こしやすくなります。そのため、血液中に“ちょうど良いくらいの量”の薬がある状態になるように、薬の量を設定する必要があります。

また、薬はずっと血液中に留まり続けるわけではありません。肝臓などを通る際に少しずつ代謝・分解されて、身体の外へと排泄されていくため、時間経過とともに“血液中の薬の量”は減っていきます。放っておくと血液中の薬の量はいずれ「少な過ぎ」の状態になり、薬の効き目が切れてしまうので、どこかで薬を追加する必要があります。このとき、薬を追加するタイミングが遅いと薬の効き目は切れてしまいますし、逆にタイミングが早いと、“血液中の薬の量”が増え過ぎて中毒や副作用を起こしてしまうことになります。つまり、少な過ぎにもならず、多過ぎにもならない、“ちょうど良いくらいの量の薬”が血液中にある状態を維持できるような、適切なタイミングで薬を追加しなければならない、ということです。

お酒にたとえると、1滴だけ舐めたところで酔いはしないが、一気に一升瓶を飲み干すようなことをすれば中毒を起こしてしまうので、気持ちの良い“ほろ酔い”の状態を維持するために、適度な量を適度なスピードでちびちびと飲む必要がある、というのと同じです。

薬がどのくらい体内に留まっているのか、その時間は薬の成分によって異なる

世の中にはたくさんの薬がありますが、薬がどのくらい体内に留まっているのかは、薬によって1つずつ全て異なります。そのため、どのくらいの量を、どのくらいのタイミングで使えば良いかということも、薬によって全く違うことになります。たとえば、身体からすぐに出て行ってしまうような薬であれば、血液中の薬が“少な過ぎ”になって効き目が切れてしまいがちです。そうならないよう、1日に3回、4回、5回と適宜追加で薬を飲む必要があります。

一方、身体に長くとどまり続けるような薬であれば、効き目がすぐに切れてしまう心配はありませんが、薬を早い段階で追加すると、血液中の薬は“多過ぎ”になって中毒や副作用を起こすことになります。そのため、1日の間で薬を追加することはなく、1日1回や2日に1回といった方法で薬を飲む必要があります。

これが、薬によって服用回数がバラバラになっている主な理由です。処方された薬が1日1回だったり1日3回だったりすると、非常にややこしくて面倒に思われるかもしれませんが、その薬を安全かつ有効に使うためには必要不可欠な飲み方ですので、自己流のアレンジを加えることなく、用法・用量は守って使っていただければと思います。

(薬剤師)

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