生理周期がやけに短い…と思ったら更年期の前兆だった!?若いうちから知っておきたい、閉経に向かう体の変化

  • 作成:2022/05/26

更年期は女性なら誰もが通過するステップ。しかしネガティブなイメージで捉えられがちで、やがて来る更年期に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。まずは更年期を正しく理解することが大事。そこでAskDoctorsでは、産婦人科医の宋美玄先生に、更年期についてわかりやすく解説していただきます。初回のテーマは「そもそも閉経・更年期とは?」です。

宋 美玄 監修
 
宋 美玄 先生

この記事の目安時間は3分です

生理周期がやけに短い…と思ったら更年期の前兆だった!?若いうちから知っておきたい、閉経に向かう体の変化

意外と長い更年期。医学的には「閉経前後の5年、全10年間」

こんにちは、産婦人科医の宋美玄です。
まず、女性の更年期は医学的に「閉経を挟んだ前後5年、全10年間」と定義されています。けっこう長い期間ですよね。「閉経=生理が終わること」というのは皆さんもよくご存じだと思いますが、体の中ではどのような変化が起きているのでしょうか。

女性の一生には、卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」という女性ホルモンが深くかかわっています。エストロゲンは、子宮内膜を増殖させて妊娠の準備を整えたり、丸みを帯びた体を作ったり、肌の潤いやハリを維持するなど、女性の成長や美容には欠かせないホルモンです。骨や血管を守るなど、全身の健康にも貢献しています。

エストロゲンは8~9歳から分泌が始まり、初潮を迎えるころから右肩上がりに分泌量が増えて20歳前後に性成熟期に突入します。性成熟期前半の20歳前後から30代前半はエストロゲンの分泌が最も多く、排卵も安定的に行われるため、妊娠や出産に適した時期と言えるでしょう。
しかし40代に入ると卵巣機能の衰えとともにエストロゲンの分泌は減少し、閉経を迎えます。そして閉経から5年ほど経つころには、エストロゲンはほとんど分泌されなくなります。
つまり更年期は、長年出ていたエストロゲンがほぼゼロになるまでの移行期間相当します。この時期はエストロゲンの急減によってホルモンバランスが乱れるので、 体調の変化や不調を感じやすくなるのです。

40代から生理が頻発し、その後だんだん来なくなる

日本人女性が閉経を迎える平均年齢は50歳前後。つまり、40代半ばから50代半ばくらいまでの10年間が平均的な更年期年齢となっています。

とはいえ、閉経の年齢は初潮と同じで個人差が大きく、40代前半で早めに閉経する人もいれば、50代半ばを過ぎても生理が続いている人も。こういう人は更年期が早く来るとか、あるいは遅いとか、傾向や特徴はありません。背の低い人もいれば高い人もいる、妊娠しやすい人もいればしにくい人もいるというのと同じで、卵巣の寿命が短い人もいれば長い人もいるということ。初潮が早く来た人は終わるのも早いというわけでもありません。

では、どんなふうに閉経を迎えるのでしょうか。
順調だった生理がいきなりパタリと来なくなるのではなく、生理周期や経血量などの乱れから始まることがほとんどです。最初によく見られるのは、40歳を過ぎた頃から生理周期がやや短くなること。この段階ではまだ更年期とまでは言えませんが、卵巣の働きが乱れ始めていて頻繁に排卵が起こります。
その後、今度は逆に生理がたまにしか来なくなる、来たり来なかったりするという期間が続いて、いつの間にか終わっている――というパターンが多いですね。
最後の生理から一年経過したころ、「そういえばしばらく生理が来てないな。ああ、1年前のあれが最後の生理だったんだ」と気づく、という感じでしょうか。

少量の出血がダラダラ続いたり、予想もしていない日に大量出血したりしながら、閉経を迎える人もいます。生理周期が乱れだしたらおおむね2~3年で閉経になる、と見積もっておけばいいでしょう。

更年期の後には、長い老年期が待っている

更年期というと、ホットフラッシュやのぼせ、イライラといった不調がクローズアップされがちです。更年期に何らかの症状が出る人は6割弱とされています。でも、症状がある人もない人もエストロゲンの分泌は確実に減少するので、すべての女性にとって更年期は性成熟期から老年期に向かう大きな過渡期であることは間違いありません。

また、「更年期の荒波を越えれば、以前のように体調は良くなる」と思っている方が多いのですが、実際にはそうではありません。ホルモンの乱れによる体調不良は落ち着きますが、もう卵巣からエストロゲンが出ることはありません。性成熟期のようなエストロゲンの恩恵は受けられなくなり、メタボや高脂血症、糖尿病、認知症、骨粗鬆症、骨盤性器脱など、さまざまな不調が生じやすくなり、肌のハリなども失われていきます。
更年期の荒波を乗り越えたあとは、静かに老化していく…という感じです。

ほんの100年ほど前まで、日本人女性の平均寿命は50~60歳くらいでしたから、更年期以降のことまで考える必要はあまりなかったことでしょう。しかし、今は人生100年時代。特に女性は長寿なので、長い長い老年期を心地よく楽しむことが重大テーマになってきています。更年期は、そのための対策を始める準備時期でもあるのです。

1976年兵庫県神戸市生まれ。2001年大阪大学医学部医学科卒業。2010年に発売した『女医が教える本当に気持ちいいセックス』がシリーズ累計70万部突破の大ヒット。2児の母として子育てと臨床産婦人科医を両立。メディア等への積極的露出で女性の悩み、セックスや女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

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