おりものやアソコのかゆみ、どうしてる?【デリケートゾーンによくあるトラブル vol.2】
- 作成:2022/06/09
デリケートゾーンの皮膚や粘膜は荒れやすいため、洗いすぎると腟内環境が悪化したり、下着との相性が悪くて肌にかゆみが出たりすることがあります。 恥ずかしくて、なかなか相談できない症状ですが、実は困っている人はたくさんいます。 前編では細菌性腟症やカンジダ腟炎とデリケートゾーンの皮膚のケアについて解説しました。 今回は、淀川キリスト教病院産婦人科医の柴田綾子先生が、デリケートゾーンのトラブルでよくある接触性皮膚炎と、更年期の女性に多くなる萎縮性腟炎について解説します。
この記事の目安時間は3分です
1. 接触性皮膚炎 ~石けん・下着・ビデなどが原因に~
接触性皮膚炎は、汗・おりもの・石けん・ナプキンなどが原因で皮膚に炎症が起こっている状態です。腟や会陰部の洗いすぎ、剃毛や脱毛、締め付けのキツイ下着なども原因になります。このようなときの対処方法は以下のようになります。
1)原因となっているものを取り除く
最近新しく使い始めた石けん・ナプキン・タンポン・下着などがあるときは、それらが原因になっている可能性があり、いったん使用を中止してみましょう。ナプキンはコットン製の薄いものにし、こまめに取り替えるようにします。
2)保湿する
皮膚に炎症が起こって弱くなっているので、ワセリンやヘパリン類似物質などで保湿を行いカバーします。
3)通気性のよい下着や服を着る
締め付けがキツイ下着では、擦れたり、密着による皮膚への刺激が起こりやすくなったります。ゆったりして通気性のよいコットン製の下着をお勧めします。
4)ステロイド剤を塗る
皮膚の炎症を抑えるステロイド剤を塗りますが、腟の中には塗らないように注意してください。薬局では弱いステロイド剤が販売されています。3〜4日使っても改善しない、症状が悪化する場合は、別の病気が隠れている可能性があります。産婦人科や皮膚科へ受診をしてください。
接触性皮膚炎と間違えやすい病気として、性感染症(クラミジア、淋菌)、カンジダ腟炎、細菌性腟症があります。これらは抗生剤などの薬を使わないと症状は改善しません。おりものが多い、おりものの臭いがおかしいなどの場合は産婦人科への受診をお勧めします。
2. 萎縮性腟炎
萎縮性腟炎とは、40歳代後半から50歳代の女性ホルモンが低下したときに、デリケートゾーンの皮膚や腟の粘膜が乾燥したり萎縮したりして違和感や痛みを感じる病気です。
腟のほかに膀胱や尿道の粘膜も萎縮するため、頻尿や膀胱炎のような症状も出てきます。女性ホルモンが減ってくると誰にでも起こる症状で、性交痛や排尿痛の原因にもなります。最近では、それらの症状をまとめて閉経関連尿路生殖器症候群(GSM:Genitourinary Syndrome of Menopause)と呼ぶようになってきました。
このようなときの対処方法は以下のようになります。
1)保湿
皮膚が乾燥して弱くなっているため、化粧水・乳液・ワセリンやヘパリン類似物質などで保湿を行いカバーします。腟の中には塗らないように注意してください。
体に使う一般的な商品でもデリケートゾーン専用のものでも、体に合うものであればどちらも使用できます。
2)女性ホルモン(エストロゲン)
産婦人科で女性ホルモンの腟剤を処方し、ご自身で腟に挿入してもらうことでエストロゲンを補う方法です。腟の乾燥や痛みが強い場合は、腟剤を入れることで粘膜の状態を改善する効果があります。
デリケートゾーン以外にも、ホットフラッシュなどの全身の症状がある方の場合は、内服薬やシール(貼付剤)で女性ホルモンを補い、症状改善を目指します。
3)潤滑剤
性交痛がある場合、潤滑剤(ゼリーなど)を使用することで痛みや違和感を和らげることができます。
4)レーザー治療(自費)
腟の中やデリケートゾーンにレーザーを当てることで、古い細胞を壊し、新しい細胞の
再生を促す方法です。日本では保険適用ではないため自費になります。保湿剤やエストロゲンを使っても症状が改善しない場合は、こちらも選択肢になります。
デリケートゾーンの症状は誰にでも起こり、恥ずかしいことではありません。
もし症状がよくならない、悪化しているようなら、お近くの産婦人科にぜひご相談ください。
参考資料
2006年 名古屋大学情報文化学部を卒業し群馬大学医学部に編入
2011年 沖縄で初期研修を開始し、2013年より現職
世界遺産15カ国ほど旅行した経験から、母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。著書に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)、『産婦人科ポケットガイド』(金芳堂)、『女性診療エッセンス100』 (日本医事新報社)など。
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