【患者に聞く実情】40代女性:遺伝性血管性浮腫(HAE)の発症から診断まで

  • 作成:2022/12/11

全身のあらゆる個所に、むくみが発生する遺伝性血管性浮腫(HAE)。放っておくと命にも関わる指定難病ですが、診断さえつけば致死的な事態を防ぐことは可能になってきています。一方で、国内の推計患者数が約2,500人という希少疾患であるため、対応できる医療機関が限られる、という実情があります。 今回は、かつてなくひどい「むくみ」が発生し、いくつもの医療機関を受診した後で、HAEと診断を受けた40代女性患者さんに、診断までの経緯を伺いました。

この記事の目安時間は3分です

患者に聞く実情:「むくみ」の発生からHAE診断まで

いくつもの病院を受診してようやくHAEと診断

最初にHAEの症状がときのことを教えてください。

あるときから、急に口元がぷくぷく膨れておかしいと思っていたら、顔がどんどん腫れあがっていきました。顔の左半分が全部腫れてしまい、お茶を飲んでも口からこぼれてしまうほどでした。いつも腫れるのは顔の左側でしたね。また、息苦しさもあり、飲み込むのも大変でした。

症状が出るのはたいてい金曜日でしたね。月曜の朝には少しおさまっていて、腫れてはいるけど、マスクをしていけば大丈夫なくらいにはなっていました。毎週金曜に症状が出ていたので、仕事のストレスの影響もあったのかもしれません。

それまでも、似たような症状が出るなど、徴候はあったのでしょうか?

子どものころから蕁麻疹がよく出たり、アトピーもあったりしたので、アレルギー体質ではあったと思います。

HAEの症状が出たときも、最初は蕁麻疹かなと思っていました。蕁麻疹が出て体がむず痒いな、って思ってたら、あちこちの蕁麻疹が集まって5cmくらいの大きな腫れがでてきました。その後に、顔が口元から腫れていったという順番でしたね。

症状が出た後、ご自身で原因を調べたりしましたか?

はい、口とか顔が腫れるといった感じで、インターネットで検索してみたりしましたが、HAEに関する情報は出てこず、原因は分からないままでした。

医療機関を受診されたのはどのタイミングですか?

顔が腫れあがる頻度が2週間に一度とか、毎週とか回数が増えてきたので、これは尋常ではないと思い、内科を受診しました。皮膚科ではなく内科を受診したのは、ただ皮膚が腫れるだけでなく、息苦しさ等のどの症状もあり、体には蕁麻疹もでていたため、皮膚ではなく、内科的な病気ではないかと思ったからです。

最初に受診した内科では、原因が分からず、「腫れたらまた来院してください」といわれました。アレルギーの薬を出していただいたのですが、効果が見られませんでした。

腫れるのはたいてい週末なので、腫れたら来院してといわれても困ってしまいました。写真を撮って「こうなっちゃうんです」といって見せても、原因不明のままでした。

原因不明のまま週末になると顔が腫れてくるという生活が続き、HAEの診断がつくまでに1ヵ月くらいかかりました。

診断はどのようにされたのでしょうか?

最初に受診した内科で原因がわからなかったので、次は耳鼻科を受診し、今度は最初とは別の内科を受診しましたが、原因が分からないままでした。どこも受診するときは腫れが引っ込んだ後のため、様子をみてといわれました。腫れているときの写真を見せるとアレルギーの薬を処方されたんですが、症状あ収まりませんでした。

その後、皮膚科で血液検査をして、HAEだと診断されました。受診したのはすべて違う病院です。

そこで薬を出していただいた薬を一ヵ月あまり服用したところ、症状がでなくなりました。その後数年が経過していますが、再発はしていません。

子ども2人もHAEを発症

HAEは遺伝性の疾患ですが、ご家族にもHAEを発症された方はいますか?

私の両親や祖父母で発症した人はいないと思います。父が私と同様にアレルギー体質ですが、HAEの症状がでたとは聞いたことがないです。

私には二人子どもがいるのですが、二人とも、私がHAEを発症した少し後に私と同じような症状が出て、治療しました。

HAE早期診断のために大切なこと

HAEと早期に診断されるまでに大切なことは何だと思いますか?

HAEという疾患があること、遺伝性の疾患であることを、知っておくことだと思います。

子どもHAEを発症したときは、私のときと同じだと思い、受診して私がHAEの診断を受けていることを伝えると早めに治療を開始でき、症状をおさえることができました。

自分の症状がHAEかどうか迷ってらっしゃる方がいたらどうしたらいいと思いますか?

顔が腫れるのはかなり怖いので、私もそうでしたが、かなり不安になると思います。そんなときに、ひとつの病院で原因が分からないが大丈夫といわれても不安が残ると思います。そんなときは、診療科を変えるなど、ほかの病院にいってみる、ということも大切だと思います。また、受診時には症状が治まっているかもしれないので、症状が出ているときの写真を撮っておいて、先生に見せることも大切だと思います。

今後、世の中がどう変われば早期診断が今より行えるようになると思いますか?

今の若い人たちは、気になることがあればすぐに検索エンジンで調べると実感しています。だから、「むくみ」などの検索ワードで調べたときに、上位にHAEに関する情報が出てくると本当に助かると思います。ただ、私がHAEを発症したときは、HAEに関する情報が全くといっていいほどなかったと思いますが、最近は関連する情報が調べやすくなっているな、と感じています。

症状や健康のお悩みについて
医師に直接相談できます

  • 24時間受付
  • 医師回答率99%以上

病気・症状名から記事を探す

その他
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師