病院でありがちな「不満」を徹底解消…オンライン診療最前線

  • 作成:2023/01/30

コロナ禍で一気に市場が拡大した「オンライン診療」。気になっているけど利用したことはない、という方がまだまだ多数派かもしれません。前回は都内でオンライン診療を展開する患者目線のクリニック代表理事の白月遼先生に、オンライン診療のメリットや、オンラインでできることについてお聞きました。今回は、白月先生のクリニックのお話を中心に、オンライン診療の今に迫ります。

白月 遼 監修
患者目線のクリニック グループ代表 ・銀座新橋院院長
白月 遼 先生

この記事の目安時間は3分です

目指したのは、「ついで診療」もできるかかりつけ医

オンライン診療を手掛けているクリニックはたくさんあると思いますが、白月先生のクリニックのいちばんの特徴を教えてください。

当院は他のクリニックのオンライン診療と比べ、かなり幅広い領域の病気を診ているので、一度の受診で複数科目を診ることができます。

通常はクリニックごとに、高血圧なら高血圧と受診領域をある程度絞っているので、対応範囲はある程度決まっています。

そうなると、ある疾患で受診した人が別の疾患も患っていたとき、「ついでにここも診てください」というかかりつけのような良さが出せないんですよね。

普通であれば皮膚科は皮膚科、耳鼻科は耳鼻科、内科は内科、眼鏡は眼科という風にクリニックを回って、各地で受診料も必要ですが、実際は一か所でまとめて診てもらえて、処方されたほうが患者さんにとってもうれしいはずです。

当クリニック創業の根底にあるのはまさこの問題意識で、オンラインでない普通の対面診療でも皮膚科を受診した人が「内科の薬をお願いします」とか、逆のパターンもあります。結果的に「便利だからまた来よう」とリピートにもつながるんですよね。

まさに「患者目線のクリニック」ですね。

12月にオープンした銀座新橋院は、内視鏡検査も検診もできて、婦人科、整形外科も入っているので、今後はオンラインの診療科目も増やしていく予定です。

担当医師が異なる場合は別の診療扱いにはなってしまいますが、同じ医師ならそれぞれに診療費がかかるわけではないので、医療費も軽減されます。

まだ完全には整備されていませんが、異なる診療科目をまとめて診てもらいたいというニーズは今後も増えてくると思うので、受け入れられる状態を目指していきます。

まるで、総合病院のようですね。

総合病院の外来機能をオンライン上に再現した感じですね。大部分の代表的な疾患は対応できますし、その他もそれぞれ専門医がいるので、珍しい病気もある程度対応できます。いわゆる薬メインの診療はもちろん、ほかの医療機関で実施した検査結果をお持ちいただくことも可能です。

今後は他のクリニックとの連携も視野に入れているので、検査や対面などのリアルな受診が必要な場合は当クリニックから紹介するというパターンもあるでしょう。

いずれ、患者の治療歴、既往歴、検査情報などの情報が記録されたPHR(Personal Health Record)が活用されていけば、どこのクリニックを受診したかはあまり関係なくなっていきます。

たとえば、CTクリニックでCTを撮れば、どこの病院を受診しても即時データが共有されるようなイメージです。令和5年1月から電子処方箋もスタートしましたし、DX化でより便利に、安心になっていくでしょう。

医師もリモートで24時間対応が実現

病院でありがちな「不満」を徹底解消…オンライン診療最前線

ちなみに、オンラインに疎い人でも簡単に利用できますか?

当院はパソコンやスマートフォンのwebページから予約していただき、ビデオ通話で診察になります。価格も対面とほぼ変わらないので、移動や待ち時間を捻出することを考えたら費用対効果は高いと思います。

実は当クリニックも8割くらいの医師がリモートです。オンライン診療をおこなう医師は1日2、3人ですが、医師側もリモート診療をしています。今後は24時間受診対応していくことも視野に入れています。

深夜に急に具合が悪くなった場合、朝まで待つべきか悩むので、オンライン受診できるのはありがたいです。

もちろんまだ課題はあります。ひとつは深夜の急患はケガなど処置が必要な場合も多いので、その場合はやはり、対面の病院に行っていただく必要があるということ。

もうひとつは、深夜は薬局は開いていないので薬を即時で渡すことができないという点です。今はこのあたりも長期的に改善していきたいポイントですね。

ちなみに、小児の対応はされていますか?

私自身ももともとは小児外科医だったこともあり、一定の判断はできるとは考えていますが、オンラインで診療が完結するかどうかは、実際に様子を見て判断という形にはなるかと思います。風邪や胃腸炎などの対応は現在も行っていますが、今後は小児科医が対応できるように準備を進めています。小児に限らず、基本的にはオンラインで対応できるかどうかも含めて判断することになるので、まずはご相談いただければ大丈夫です。

20時まで診療可能と夜遅くまで対応していらっしゃるんですね。

オンライン診療の患者さんは普通のクリニックが閉まる時間帯から増えるので、そこは強化していこうと考えています。

「オンラインで診療なんて…」と思っている方も、Amazonで買い物はしますよね。試してみればよさが分かっていただけると思うので、まずは一度受診してみてください。

もちろん対面診療でなければできないこと、対面診療の良さもあるので、段々と使い分けがされていくと思っています。

ちなみに、通常の診療と比べ、オンライン診療だと料金はどのように変わってくるのでしょうか。

医療機関にもよりますが、当院の場合、通常の診療とおおむね同じくらいととらえていただいて大丈夫かと思います。
迷われている方もまずは気軽にご利用いただき、新しい診療を経験いただきたいですね。

総合病院 5年、大学病院 5年勤務、途中基礎研究などにも取り組む。 途中基礎研究や研究成果の社会実装、先進医療、センター立ち上げ、新規技術の導入や技術指導にも取り組む。 事業会社2社を経験後に2022年に開業。 非常勤でも5年以上に渡って訪問診療や救急医療にも関わり、患者さまと医療スタッフ双方から高評価をいただく。 また首都圏や東海地方の複数クリニックや病院の立ち上げや体制強化・改善・成長に関与している。 大学客員研究員や手術の技術指導、企業の支援も継続している。
所有資格:外科・小児外科専門医、がん治療認定医、日医認定産業医、緩和ケア研修会修了、医療情報技師、バイオインフォマティクス認定技術者、WoCoVA-Certified PICC Trainer

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