帰宅中に月経(生理)痛で倒れ、救急搬送…。治療を経て、妊娠・出産へ
- 作成:2024/09/18
月経困難症の症状は人によってさまざまです。そのため、自分の症状が「普通」なのか、「病的」なのかがわからず、がまんを続けている方も多いのではないでしょうか。また、産婦人科(婦人科) には妊娠・出産時にかかる病院という印象があり、受診をためらう、という方もいらっしゃるかと思います。 本記事では、10代後半で月経困難症と診断され、その後、妊娠・出産を経験した20代後半のBさんに、受診にいたった経緯や受診後の状況、妊娠・出産への影響などをうかがいました。
この記事の目安時間は6分です
低用量ピルの服用で体調の管理が楽に
月経困難症について医師に相談する前、どのような症状がありましたか?
腹痛と腰痛がひどくて、月によっては貧血や頭痛もありました。月経周期はほぼ28日周期で安定していたので、月経2週間前に排卵痛があり、月経が始まると今度は腹痛と腰痛が始まる、という感じですね。月に1~2回は月経にともなう痛みで学校を欠席するのが日常でした。
受診したきっかけを教えてください
中学3年生か高校1年生のころ、自宅にいたときに、腹痛がひどくて動けなくなってしまったんです。そこで産婦人科を受診したら、月経困難症と診断されました。
月経困難症と診断されたときは、どのようなお気持ちでしたか?
普通じゃないっていうのが分かってほっとしました。こんなにしんどい思いをする自分の月経(生理)は異常なんだって分かったことや、治療をすればよくなるっていうのが分かって安心しました。ほかの病気がないことが分かったことも安心しましたね。
診断された後、どのような治療をされたのでしょうか?
当時はまだ若かったので、医師からのアドバイスもあり、ピルではなく、鎮痛剤(痛み止め)などで対処することになりました。
治療を始めて、症状はどのように変化しましたか?
治療を始める前は、月経のたびに冷や汗が出るような動けない状態になりましたが、鎮痛剤(痛み止め)を飲み始めて少し痛みがあるぐらいに落ち着きました。そのおかげで、家にいるときは問題なく日常生活が過ごせるようになりましたね。
ずっと同じ治療を続けられているのでしょうか?
ちょうど18歳になったころ、帰宅途中に、月経痛がひどくて道ばたで倒れてしまったんです。そのまま救急車で救急搬送されたのですが、そこで出会った看護師さんに、低用量ピルの服用について医師に相談してみてはどうかとすすめられました。その後看護師さんのアドバイスを元に、産婦人科で医師と相談した結果、低用量ピルの服用を始めました。低用量ピルを服用し始めると、月経や体調の管理が楽になりました。ただ、飲み始めのころは、ホルモンバランスの影響なのか、少し気持ちの浮き沈みもありました。
月経困難症治療の妊娠・出産への影響は?
低用量ピルの服用は、今も続けているのですか?
24歳のときに結婚したのですが、子どもを希望していたため、1年間低用量ピルの服用をストップしました。このころ、月経困難症の症状が薬を飲み始めたころに比べると少し軽くなっていたので、低用量ピルをストップしても月経のたびに辛いという状態ではなかったです。
積極的な妊活をしていたわけではなかったのですが、1年経っても妊娠しなかったので、25歳で不妊治療の病院にかかりました。当時は、月経困難症の症状はそれほど重くなかったですが、月経が来るたびに「今回も妊娠できなかったんだ」という精神的なつらさはありましたね。
不妊治療を続けた結果、無事妊娠し、8ヵ月前に出産しました。
月経困難症による妊娠や出産への不安はありましたか?
私の場合は、以前から月経困難症の治療で産婦人科にかかっており、子宮の病気などの異常がないことが分かっていたこともあって、それほど心配はなかったです。調べてみると、不妊の原因は、男性側にありました。ただ、妊活を続ける中で、月経困難症に子宮筋腫などの病気が隠れていたらどうしよう、といった不安を感じることもありました。
出産後、月経困難症の症状に変化はありましたか?
今は本当に楽になりました。月経の初日や2日目に、腰やおなかが痛いなって思うことはありますが、日常生活に支障を来すほどではないですね。
もっと産婦人科の受診ハードルが下がってほしい
月経困難症で苦しんでいる方やその周囲の方にメッセージをお願いします
月経の話って、人には言えなかったり、相談しにくかったりする面があると思います。それに、自分のことであっても、体の中のことはわかりません。だから、少しでも月経にともなう症状でつらい思いをしている人たちが、もっと産婦人科(婦人科)に行きやすい環境になるといいなと思います。
産婦人科(婦人科)は妊娠したと思ったときに初めて行く人も多いと思います。私が高校生で受診したときも、気のせいかもしれませんが、「制服を着た若い子」というだけで冷たい視線を感じることがありました。そういう意味でも、「産婦人科(婦人科)を受診するのは妊娠・出産のときだけじゃないですよ」ということをみんなが認識してほしいなって思いますね。
男性やそこまで症状が重くない女性には、「月経痛なんてたいしたことない」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、月経にともなう症状は人によってさまざまで、私のように倒れてしまうくらい重い人もいるとわかってほしいと思います。ただ、自分に症状がない人には想像しにくい、というのもわかるので、私の場合は、月経痛がつらいときは夫に伝え、家事などをしてもらっています。
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