産婦人科(婦人科)ってどんなところ? 「知る」から始める、月経困難症のスムーズな受診
- 作成:2024/09/21
初めて産婦人科(婦人科)を受診するときは、どんな診察をされるのか不安だったり、恥ずかしかったり、とまどったりするかもしれません。本記事では、みなさんの受診に対する不安を少しでもなくせるように、月経困難症の診察の流れを紹介します。
この記事の目安時間は6分です
月経困難症の診断までの流れ
多くの場合、産婦人科(婦人科)では①問診、②内診、③超音波(エコー)検査、④血液検査などを行います。月経(生理)に伴う症状が気になって受診した場合、これらの診察や検査により、患者さんの症状が、何らかの病気が原因となって起こる「器質性月経困難症」によるものなのか、原因となる病気が明らかではない「機能性月経困難症」によるものなのかを診断し、それぞれに合った治療をします。
ここから、これらの診察や検査でどのようなことをするかを具体的に紹介します。
■【問診】回答は正確に。メモを用意しておくと◎
産婦人科(婦人科)の問診で聞かれることは、主に下記のようなことです。これらの問診により、強い月経痛の原因が何なのか、医師が鑑別していきます。通常、待合室などで問診票に記入し、診察室で医師が詳しく質問していきます。
<産婦人科(婦人科)の問診項目>
- 初経:初めて月経が来た日や年齢
- 最終月経日:一番最近の月経が始まった日
- 月経周期:前回の月経が始まった日から今回の月経が始まる前日までの日数
- 月経の痛みの強さ:ご自身の感覚で強さを答えてください
- 鎮痛剤(痛み止め)などを使っているかどうか:どのような薬を1日何回飲んでいるか
- 月経の量:昼用・夜用のナプキンで1日何枚使うか、血の塊が出るかなど
- 妊娠の回数
- アレルギーや現在飲んでいる薬
- 性行為歴
- 飲酒、喫煙習慣
最終月経(直近の月経)が始まった日や、月経の量、使っている薬などは、すぐに思い出せないこともあると思いますので、あらかじめメモを用意しておくと安心です。最近では生理日や体調を記録できるスマートフォンアプリも複数あるので、自身の体調管理のために利用してみるのもよいでしょう。
痛みの程度については「寝込んでしまうくらい痛い」「鎮痛薬(痛み止め)を使えばなんとかしのげる」など具体的に伝えるとよいでしょう。
性行為歴の有無は答えにくいかもしれませんが、診察方法や検査項目を選んだり、原因疾患を見分けたりするために大切な情報です。ありのままを正確に答えるようにしましょう。
■【内診】内診は絶対に受けなきゃダメ?
内診は手袋をつけた医師が腟から指を入れ、腟内や子宮口などに異常がないかを確認します。また、医師がもう片方の手でおなかを押さえて、子宮や卵巣の腫れなどがないかも確かめます。
内診があるから産婦人科(婦人科)受診のハードルが高い、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。内診はそれほど痛みのある検査ではありませんが、性行為歴がない人や内診を希望しない場合は、医師や看護師と相談し、行わないこともできます。不安な方は医師や看護師に遠慮せず相談してみてください。
■【超音波(エコー)検査】できるだけゆっくり呼吸をしながら力を抜く
性行為歴のある人であれば、プローブと呼ばれる棒状の器具を腟内に挿入し、子宮や卵巣の状態をモニターに映し出します(経腟超音波検査)。医師が画像を見て、子宮や卵巣が腫れているなどの異常がないかを確認します。経腟超音波検査は内診と同様に内診台にあがって受けます。両脚が開く体勢になるので緊張するかもしれませんが、できるだけゆっくり呼吸をしながら力を抜くとスムーズに進みます。
性行為歴がない場合や内診で痛みが強い方、経腟診察を希望されない方では、経腟超音波検査の代わりに、おなかの上からプローブを当てる経腹超音波検査を行います。経腹超音波検査はベッドであおむけになって受けます。おなかを出していただくので、ワンピースではなく、上下が別々になっている服を着ていくといいでしょう。経腹超音波検査では十分に診察ができない場合は、肛門からプローブを入れる経直腸超音波検査を行うこともあります。
■【血液検査】ホルモンの状態や感染症の有無などを調べる
ホルモンの状態や貧血などを調べたり、必要に応じて性感染症の検査などを行ったりもします。
産婦人科(婦人科)では、これらの診察や検査の結果を基に、器質性月経困難症なのか、機能性月経困難症なのか、あるいは別の病気なのかを診断し、それぞれに必要な治療をします。
再診以降はオンライン診療が可能なことも
月経困難症の治療は、鎮痛薬や低用量ピルなどのホルモン療法が治療選択肢になります。低用量ピルは定期的な受診が必要になりますが、再診以降はオンライン診療が可能な医療機関もあります。医師が治療のために処方した低用量ピル(LEP)は、オンライン診療でも保険適用になります。忙しくて受診の時間がとれなかったり、待ち時間がもったいないと感じたりする人には便利な方法といえるでしょう。
なお、避妊を目的として使われる低用量ピル(OC)はLEPとほぼ同じ成分を含みますが、保険適用薬ではありません。全額自己負担の自由診療になるので注意しましょう。
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2006年 名古屋大学情報文化学部を卒業し群馬大学医学部に編入
2011年 沖縄で初期研修を開始し、2013年より現職
世界遺産15カ国ほど旅行した経験から、母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。著書に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)、『産婦人科ポケットガイド』(金芳堂)、『女性診療エッセンス100』 (日本医事新報社)など。
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