腹腔鏡手術の手術時間、入院期間、費用 従来比の長所や短所は?

  • 作成:2016/06/27

腹腔鏡で行う手術は、メリットが大きいこともあり、少しずつ一般的になってきていますが、手術時間は、通常の手術より長くなる傾向があります。入院期間や費用の観点からのメリット・デメリットを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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腹腔鏡手術は普通の手術より高い?安い?

腹腔鏡手術の手術時間 通常の手術と比べてデメリットあり?

腹腔鏡手術のデメリットとなるのが、手術時間です。腹腔鏡手術では、手術する場所に手を入れて手術することができないので、開腹手術に比べると時間がかかってしまうこともあります。また、テレビモニターに映った映像を確認しながら手術を行うため、本来立体的な三次元の構造を、二次元に置き換えながら、操作しなければならず、熟練した技術が必要となります。さらに出血など予期せぬ事態が起こった時にすばやく対応できるのも開腹手術になります。これらの理由に加えて、腹腔鏡の機器の準備等もあるため、開腹手術に比べて時間がかかってしまうことが多いです。

手術時間について検討した文献では、2005年から2015年にかけて行われた「横行結腸がん」というがんに対する腹腔鏡手術と開腹手術を比較検討した研究があります。226人の患者のうち103人に対して腹腔鏡手術、123人に対して開腹手術を施行しましたが、平均手術時間は腹腔鏡手術で267.3分、開腹手術で172.7分と、腹腔鏡群で手術時間は有意に長いという結果でした。また、経口摂取(口から物を食べること)開始や入院日数に関しても有意差はなく、予後に関しては両群間で差はないという結果でした。この結果からも分かるように、どうしても手術時間が開腹手術に比べて長くかかってしまうことは腹腔鏡手術の限界と言えますが、安全に行えれば、優れた治療法であることが分かります。

腹腔鏡手術の入院期間 通常の手術と比べてメリットあり?

腹腔鏡手術のメリットの1つとして、開腹手術に比べて入院期間が短くて済む点が挙げられます。腹腔鏡手術では傷が小さいため、痛みの減少、早期の離床・食事再開が可能であり、その結果、入院期間も少なくて済みます。具体的な入院期間については、患者さんごとの病態、合併症の有無にもよりますし、高齢の方の場合、若い方と比較して回復に時間もかかりますので、一概に言うことはできませんが、ここでは病院のホームページなどに掲載されているおおよその入院期間についてまとめます。

【胃の手術】腹腔鏡下で行われる胃の手術については大きく、「腹腔鏡下幽門側(ゆうもんそく)胃切除術」と「腹腔鏡下胃全摘術」があります。基本的に切除範囲や術式は開腹手術の場合とまったく同じですが、入院期間はおおよそ1週間から10日となります。一方、開腹でまったく同じ手術を行った場合の入院期間は2週間程度となります。

【胆嚢の手術】胆嚢摘出術は現在、腹腔鏡で行われることが多い手術の1つになりますが、適応疾患としては「胆石症」や「胆嚢炎」が挙げられます。手術を受けてから退院するまで入院日数はおよそ2日から5日であり、開腹では5日から7日程度となっています。

【大腸がん】大腸がんの手術についても腹腔鏡を用いて手術することが増加してきています。入院期間は胃の手術とほぼ同じ程度であり、1週間から10日程度、開腹の場合で2週間程度となっています。ただ、腹腔鏡手術が困難な例としては、以前の手術によって癒着があったり、重度の肥満患者、そもそもがん自体が大きい場合などです。

【婦人科領域】婦人科領域で行われている腹腔鏡手術としては、子宮筋腫や子宮内膜症、良性卵巣腫瘍、子宮腺筋症などが適応となります。一般的には術後の入院期間は3日から5日で、退院後1週間から2週間で外来受診するという形になります。

【泌尿器科領域】泌尿器科領域では、腎がんに対する腎臓部分切除術や腎臓摘出術が行われていますが、およその入院期間は1週間から10日であり、開腹手術の場合には10日から2週間程度入院が必要な施設が多いです。

【前立腺がん】腹腔鏡手術あるいはロボット手術でも入院期間は同程度となっています。

消化器外科、婦人科、泌尿器科領域で行われている腹腔鏡手術について見てみると、どの手術もおおよそ入院期間は1週間から10日程度であり、開腹手術に比べて3日から4日程度短くて済む傾向にあると言えます。しかし、状況によっては開腹手術に切り替わる場合もあります。患者さんの状況でも、入院期間は大きく変化するため、あくまでも目安として考えてください。

腹腔鏡手術の費用 いくらくらい?通常の手術と比べると?

基本的に入院と手術に関わる費用には保険が適応されます。入院期間や手術方法などによっても異なりますので、一概には言えませんが、おおよそ50万円から65万円程度となります。さらに健康保険が適応されますので、3割負担の方で15万円から20万円程度、1割負担の方で5万円から7万円程度となります。開腹手術に比べて技術を必要とし、新しい手術ですので、高額になるのではと思われるかもしれませんが、基本的に腹腔鏡手術でも開腹手術でも費用の面ではほとんど差がありません。

また、健康保険や国民健康保険を利用して3割あるいは1割負担となっても、手術を受けるとなると手術費用、入院費用、検査費用、薬代などすべて入れると医療費は高額になってしまいます。そのため、「高額療養費制度」という仕組みが存在します。高額療養費制度では、健康保険加入者が同月内で同じ医療機関に支払う医療費の自己負担分(食費、差額ベッド代など一部は対象外)が高額になった際に、「限度額認定証」というものの交付を受ければ、病院窓口での支払いが限度額までの金額となる制度です。なお事前に申請が必要であり、限度額については収入などによっても異なってきますので、詳しくは入院予定の病院や健康保険の窓口で聞くようにしてください。


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腹腔鏡手術の手術時間、入院期間、費用の観点からのメリットなどについてご紹介しました。御自身や近い方の手術に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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