ママ友が「ワクチンは怖い」と言うけれど…様子見?早く打つ?小児科医の見解

  • 作成:2021/08/11

子育てをしていると、子どもの病気やケアに関する疑問が次々に生まれ、判断に迷うことがあります。そこでAskDoctorsでは、小児科医の森戸やすみ先生に「親が悩みがちなポイント」を相談し、医学的に解説いただく連載をスタート。第1回のテーマは「ワクチン」です。新型コロナウイルス感染症のワクチンは12歳以上の子どもへの接種も可能とされていますが、そもそもワクチンについては副反応などを心配する声もあります。ワクチンを受ける意義や、新型コロナワクチンへの疑問について教えていただきました。

森戸 やすみ 監修
どうかん山こどもクリニック 
森戸 やすみ 先生

この記事の目安時間は3分です

ママ友が「ワクチンは怖い」と言うけれど…【小児科医が解説】

ワクチンがない時代、乳幼児死亡率は今よりずっと高かった

子どもが生まれて改めて考えることになるのが、予防接種。お母さんは妊娠初期に感染症の検査をしますから、風疹などの抗体価が低かった場合は産後にすぐワクチンを受けましょう。産婦人科によっては、赤ちゃんが生まれて母子ともに退院する前に打ってくれることもあります。

日本では、生後2ヶ月から定期予防接種が始まります。一度に何種類もの予防接種を受けることもあり、「こんなに小さいのに、たくさん注射をするなんて……」と不安に思う方がいるかもしれません。でも、ウイルスや細菌は時と場所を選びません。「自己免疫力を上げる」ような有効な方法はないし、それで感染症を防ぐことはできません。

ウイルスや細菌が起こす感染症は、お子さんが小さいほど、亡くなったり重症化したりするリスクがあります。ワクチンがない時代、乳幼児死亡率は今よりずっと高かったのです。現在はワクチンがあり、感染することや重症化を防ぐことができます。実はそういったワクチンのある病気は少なく、RSウイルスやノロウイルスなどはワクチンも抗ウイルス薬もありません。せっかくの機会ですから、ワクチンを受けてお子さんを病気から守りましょう。

新型コロナのワクチンは、即席の開発ではない

新型コロナウイルスの世界的流行がまだ終わらないですね。決定打として出てきたワクチンを大人の自分は打つつもりだけれど、子どもには心配だという人がいます。「まだ様子を見て、周囲で打つ人が増えたら考えよう」と思っているようです。
新型コロナウイルスに対するワクチンがこんなに早くできるとは思っていなかった、粗製濫造(そせいらんぞう)つまり質が悪い即席のワクチンなのではないか、安全性の問題がこれからわかってくるのではないかという懸念があるのでしょう。

でも、日本で現在、使われているファイザー・ビオンテック社とモデルナ社の「mRNAワクチン」は、ずっと以前から研究をされていたものです。2002年から流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)や2012年からのMERS(中東呼吸器症候群)を起こしたコロナウイルスと今回の新型コロナウイルスは同じ仲間で、それらのために開発された研究や技術が使われたのです。

「まだもう少し…」の様子見はいつまで続ける?

今回はパンデミックで社会も経済も打撃を受けていたため、ワクチンを承認する仕組みも効率的に工夫されました。しかし、評価手順を省いたりゆるくしたりして承認されたわけではないのです。ちゃんとした方法で効果と安全性を確認されています。
そして、2021年7月半ば現在、世界中でファイザー・ビオンテック社の新型コロナウイルスワクチンは29億回以上、モデルナ社は13億回以上接種されています。日本の全人口の数十倍です。

「まだもう少し……」と思っている人は、いったいどのくらいの数の様子を見たら安心するのでしょうか? たぶん、身近な人が受けて「あんがい大丈夫なんだ」と感じることが早道でしょう。
日本の新型コロナウイルスワクチンの接種率は、ものすごい勢いで増加しています。私のクリニックのある台東区では、高齢者の8割以上が1回は接種済み、全台東区民でも3割が1回以上受けています。不安を感じている人は、身近な接種済みの人に話を聞いてみるといいでしょう。

1971年、東京生まれ。小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都内のどうかん山こどもクリニックに勤務。『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)、『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)など著書多数。二児の母。

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