「処方薬」と「ドラックストアの薬」の違いは?注意すべき点も解説

  • 作成:2021/08/15

病院で処方される医療用の薬と、ドラッグストア等で購入できる一般用の薬、同じ医薬品ですが具体的に何が違うのでしょうか? ※この記事は医師監修のもと、作成しております

アスクドクターズ監修ライター アスクドクターズ監修ライター

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「処方薬」と「ドラックストアの薬」の違いは?注意すべき点も解説【医師監修】

Q. 病院で処方される医療用の薬と、ドラッグストア等で購入できる一般用の薬、何が違う?

A.違う部分もあれば、同じ部分もある

医療用の薬も一般用の薬も、医薬品であることは同じです。基本的に、リスクの高い薬は一般用として販売されませんが、医療用と同じ薬が一般用医薬品として販売されているものもあります。

入手方法の違い
医療用医薬品は、基本的に病院を受診し、医師に書いてもらった処方箋に基づいて薬剤師が調剤を行った上で、受け渡しが行われます。これは「薬の売買」ではなく、健康保険法上の「療養の給付」にあたるものです。一方、一般用医薬品はドラッグストア等の店頭で、食料品などと同じように「売買」によって入手します。

自己負担金額の違い
医療用医薬品を入手する際に支払うお金は、基本的に1~3割だけです。これは、残りの部分を健康保険などが補っているからです。一方、一般用医薬品の場合は全額が自己負担になります。

効果や副作用の違い
基本的に、薬としてリスクの高いものは一般用医薬品としては販売されません。そのため、医療用医薬品には効果もリスクも高い薬、一般用医薬品には効果もリスクも低い薬・・・がそれぞれ多くなる傾向にあります。しかし、だからといって一般用医薬品が「あまり効果のない薬」「少しくらい無茶な使い方をしても安全な薬」というわけではありません。

※医療用医薬品と一般用医薬品で、期待できる効果はほとんど変わらないものもある
たとえば、花粉症の治療にはステロイドの点鼻薬と眠くなりにくいタイプの抗ヒスタミン薬が中心になります1)が、主な医療用医薬品の多くが 一般用医薬品の のラインナップにも含まれています 。また、水虫の根本的な治療には水虫の原因菌である白癬菌を退治する必要がありますが、この白癬菌を退治する抗真菌薬の塗り薬も医療用と一般用でほぼ同じです。これらの領域では、一般用医薬品はほとんど医療用医薬品に劣らないものとして扱うことができる場合が多いです 。

※医療用医薬品に比べて、むしろ一般用医薬品の方がリスクの高いものもある
たとえば、痛み止めとして有名な「ロキソニン」は、医療用と全く同じ成分・同じ量のものが一般用医薬品としても販売されています(ロキソニンS)。しかし、一般用医薬品にはここに催眠鎮静薬(アリルイソプロピルアセチル尿素)を配合した「ロキソニンSプレミアム」という商品も販売されています。この催眠鎮静薬は、痛み止めの効果を助ける目的で配合されていますが、眠くなる上に、習慣性があるほか、薬疹を起こす2,3)、連用によって脳・神経障害を起こす4,5)こともあるなど、非常にリスクの多い薬です。つまり、医療用医薬品の「ロキソニン」に比べて、一般用医薬品の「ロキソニンSプレミアム」の方が実は色々とリスクのある薬になっていることに注意が必要です。

一般用医薬品を使っていることも、きちんと 医師・薬剤師に伝える
最近は「お薬手帳」の普及によって、別の病院から処方されている薬の情報を医師・薬剤師と共有する、という意識は高くなってきました。しかし、一般用医薬品を使っているという情報は、まだあまり医師・薬剤師に共有されていません。近年は、医療用医薬品と全く同じ成分・量の一般用医薬品(スイッチOTC)も増えて来ているため、どんな一般用医薬品を使っているのかという情報も、治療を考える上で重要になってきています。
一般用医薬品には似たような名前の薬がたくさんあります(例:「バファリン」と名のつく薬は10種類以上あり、含まれる薬剤が異なる場合があります)。お薬手帳に商品名を全てメモする、パッケージをお薬手帳へ挟んでおく、箱を写真で撮っておく等の方法で、商品の名前は正確に医師・薬剤師に伝えるようにしてください。

1) 鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症(2020)
2) アレルギー.54(6):569-71,(2005)
3) 皮膚の科学.13(6):435-8,(2014)
4) 日本内科学会雑誌.106(11):2410-2417,(2017)
5) Intern Med . 1998 Sep;37(9):788-91.

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