50代の息子が突然「ひきこもり」、会話も拒絶…うつ病の初期でしょうか?

  • 作成:2021/10/14

AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、成人した息子が「ひきこもり状態」になったという方からのご相談です。

堤 多可弘 監修
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷  副院長/精神科医・産業医
堤 多可弘 先生

この記事の目安時間は3分です

50代の息子が突然「ひきこもり」、会話も拒絶…うつ病の初期でしょうか? 50代の息子が突然「ひきこもり」、会話も拒絶…うつ病の初期でしょうか?

【今回のお悩み】
私どもは同族の会社です。50歳の息子も一緒に働いていますが、仕事上のことで従業員ともめ、その翌日から出社しなくなりました。息子の妻によると、「出社したくない」と言って、部屋にひきこもっているようです。単なるわがままかとも思いましたが、約2週間もこの状況です。本人からは対話を拒否されていますが、うつ病の初期でしょうか?

ひきこもりは誰にでも起き得る。家族にも支援が必要

ご質問ありがとうございます。2週間も部屋から出ていらっしゃらないのは心配ですね。

うつ病の初期を心配されているという点について、まずはお答えします。
うつ病の場合は急にひきこもるというよりは、様々な兆候が以前から現れていることが多いです。そんな変化がなかったどうかを確認するとよいでしょう。

例えば、以下のようなことが重要です。

  • 不眠
  • 食欲低下
  • 仕事上のミスが増えていた
  • ため息
  • 笑わなくなった
  • みなりの乱れなど外見上の変化

もし、これらに該当する場合は、専門家の助けが早めに必要だと思われます。メンタルクリニックや、自治体の「家族相談」などを利用するとよいでしょう。

ひきこもりは、何らかの理由で自信や元気がなくなってしまい、自分自身ではどう解決していいかわからなくなっている状態とも言えます。

安心・受容が大切なので、家族が追い詰めたり、葛藤を与えたりしないようにするのがポイントです。そのため、議論や説得等の理詰めはNGです。「いったい何が要求なんだ?」という問いかけも、相手が混乱している場合は逆効果になります。

命令口調も避けましょう。かわりに「わたしは、こうしてくれると助かる」と穏やかに伝えるのがよいでしょう。
また、間違っても「兵糧攻め」=お金や食事を渡さない、インターネットを切る、などはしないように。不信感が募り、結果として対話がうまく行かなくなってしまいます。

ご相談者の場合、対話を拒否されているということですが、はじめは挨拶や世間話、日常の困りごとがないかの確認などから始めてみるのもよいでしょう。

対話をする際には、受容的な態度で臨むことがポイントです。
「心配している」「状態や気持ちを教えてほしい」「困っているならば解決の手助けをしたい」ということを伝えてください。

もし、語りかけに返事がない場合は、その場では無理強いせずに「また明日、話に来てもよいか?」などと問いかけて辛抱強く、一方で追い詰めずに関わりましょう。

ひきこもりは、誰にでも起きえることですし、家族が自分自身を責める必要はありません。それでもどうしても焦る気持ちなどは出てしまうので、家族にも支援や相談が必要です。
各都道府県に「ひきこもり地域支援センター」が設置されていますので、相談してみるとよいでしょう。

千差万別な原因に対しては適切なアドバイスがとても大事ですし、専門家の視点が入ることでうまくいくこともあります。ぜひ検討してみてください。

また東京都大田区の図書館から、ひきこもりに関する資料リストも公開されています。ご参考になれば幸いです。

弘前大学医学部卒業後、東京女子医科大学精神科で助教、非常勤講師を歴任。 現在はVISION PARTNERメンタルクリニック四谷の副院長とスタートアップへのアドバイザー業務を務めるとともに、企業や行政機関の産業医を10か所以上担当。ブログや著作、研修などを通じて、メンタルヘルスや健康経営、産業保健の情報発信も行っている。 共著に「企業はメンタルヘルスとどう向き合うか―経営戦略としての産業医 」(祥伝社新書)がある。

note:  https://note.com/music_takahiro
Twitter:  https://twitter.com/djbboytt

症状や健康のお悩みについて
医師に直接相談できます

  • 24時間受付
  • 医師回答率99%以上

病気・症状名から記事を探す

その他
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師