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「あの人、ADHDかもしれない」と思ったら

  • 作成:2022/08/04

「あの人ADHDなんじゃないかなあ」そう思うような場面に遭遇した時、私達はどのように接したらよいのでしょうか。「ADHDだと思うから病院に行ってきたら?」といったように本人の意向を無視して無理に精神科を受診させようとすると、その後の関係に亀裂が生じてしまう可能性があります。本人のプライドも傷つきますし、嫌な印象だけが残ると、本当に困ったときに精神科を受診してもらえなくなるデメリットもあります。病院を受診させるよりも重要なのは「本人の困りごとをいかに楽にするか一緒に考える」ということです。これは、診断が下されなくてもできることですし、普段本人とあまり接していない医者よりも、より身近にいるあなたの方がお役に立てることが多いのです。この記事ではADHDの特性の持つ方と接するにあたり、「よい関係を築くためにできること」、「避けた方がよい対応」、「病院受診のタイミング」の3点を中心に解説します。

岸本 雄 監修
多摩済生病院 /VISION PARTNERメンタルクリニック四谷 精神科医
岸本 雄 先生

この記事の目安時間は6分です

「あの人、ADHDかもしれない」と思ったら

よい関係を築くためにできること

相手が同僚の場合

ADHD特性を持つ方が経験しやすい職場トラブルとしては、

  • 些細なことに気を取られ一つの業務に集中できない
  • 業務を計画的にすすめることができない
  • 遅刻・忘れ物が多い

などがあります。
例えば、「何か手伝えることない?」と積極的に声をかけ、本人の「相談者」になることはできるかもしれません。先述のとおり、ADHD特性を持つ方は、先を見通すことが難しいので、このままでは納期に間に合わない、他の業務に支障が出るといったことをなかなか察知できません。「この業務が1時間進まなかったら相談してね」など、具体的なルールを設定し、相談するきっかけを提示してもいいかもしれません。
一方で、相談に乗ろうとすると「別にいいです」と相手から拒否的な態度をとられることもあるかもしれません。そういった方の場合は、そもそも「助けてもらってよかった」「人に聞いてもらって楽になった」と思えるような体験をしてこなかった可能性があります。特性のために周囲と繋がれず、いじめを受けてきた方、自力で逆境体験を生き延びてきた方なのかもしれません。そういう場合は、いきなり「相談者」を目指すのではなく、「なんとなく話しても大丈夫な人」「何を話しても攻撃してこない安心な人」というポジションを確立するところから始めてもいいかもしれません。
ADHD特性を持つ方が安心して相談できる環境であれば、トラブルは減りますし本人の特性も薄まることがあります。また、本人が伸び伸び仕事をすることができれば生産性もあがり、本人にとっても、あなたにとっても、会社にとっても良い状況になりえます。

相手が家族の場合

ADHD特性を持つ方と一緒に暮らす中でみられるトラブルとしては、

  • 掃除ができず家が散らかる
  • 公共料金の支払いを忘れ続けてライフラインが止まる
  • 趣味にのめりこみすぎて生活費までも使いこんでしまう

などがあります。
しかし「同僚」と違い「家族」はより長い時間一緒に過ごします。このため、上記のような症状によるトラブルだけでなく、お互いの距離が近いゆえに以下のような「考え方の癖」が生じ、苦しむことがあります。

あの人ADHDかもしれないと思ったら

成人期のADHD患者さんやご家族で時折みられる「考え方の癖」
(樋口輝彦,齊藤万比彦:『成人期ADHD診療ガイドブック』.じほう,2013 参照)

上記のような「考え方の癖」に陥ると、本人だけでなく、あなた自身も精神的に疲弊してしまいます。そのようなときは、①ADHDについて正しい知識を得る②1人で抱えすぎず、相談できる場所を持つ(友人、カウンセラー、ADHDの家族会、発達障害者支援センター、地域障害者職業センターなど)③時には距離を取り、自分を大切にする時間を確保する、などが有効です。困っている人を支援するためには、まずあなた自身の心に余裕がある必要があります。あなたの心が苦しい時には距離をとり、休ませることが重要なのです。

避けた方がよい対応

ADHD特性を持つ方と関わる中で、お互いにとって避けた方が良い対応は、大きく以下の2点です。

① 努力不足、甘え、やる気がないととらえる

「忘れ物を繰り返す」「話をしている最中に気が散ってしまう」「途中で話題が変わるとついていけなくなる」といった典型的なトラブルは、「やる気がない」「集中力がない」ようにみえるかもしれません。しかしこれらはあくまで脳の特性の問題であり、本人の根性ややる気だけで治るものではありません。そういう特性があるものとして、システムや生活上の工夫をすることで対処していく必要があります。

②大声で怒鳴る、叱責する

あまりにも同じミスを繰り返したり、あなたがトラブルに巻き込まれたりすると、感情的になって思わず怒鳴ってしまうことがあるかもしれません。しかし、この対応はADHD特性を持つ方に以下のようなデメリットを誘発する可能性があります。

  • ますます緊張し、不安感が強くなり、ADHD特性が強まってトラブルが増える。
  • うつ病や不安障害などの二次障害を発症しやすくなり、パフォーマンスが低下する。
  • 「なんでいつも俺だけ怒られるんだ」と被害的、他罰的になり、結果として孤立し、手助けをしようとしても拒否的になる。

このため、怒鳴る、叱責するという行動はお勧めしません。どうしても感情がうまくコントロールできないときは、ADHD特性を持つ方との心の距離が近すぎている可能性があります。そのようなときは、距離を取ったり、相談できる場所を確保したりしておくことが有効です。

病院受診のタイミング

病院受診のタイミングは大きく2つあります。
1つ目は本人が「自分ってADHDかもしれない」と思ったときです。本人が自覚していない状況で周囲の人が困っているときは、下記の相談場所に連絡してみるのが有効かもしれません。
2つ目は、うつ病、不眠、対人恐怖症などの二次障害を疑う症状がみられたときです。この段階になると、日常生活や業務においてもかなりの支障が生じている状況だと思います。この際も「ADHDだと思うから受診しろ」と指示するのではなく、「眠れてなさそうだけど大丈夫?」「最近声も小さくなったし表情も暗くなったけれども何か困っているんじゃない」など、困りごとにフォーカスを当てて受診を促すとスムーズかもしれません。

【ADHDに関する相談場所】

発達障害者支援センター
地域障害者職業センター
生活職業支援センター
DDAC(NPO法人発達障害をもつ大人の会)
NPO法人えじそんくらぶ

参考文献・資料

  • 発達障害プロジェクト‐NHK 困りごとのトリセツ
  • 青木省三,村上伸治:大人の発達障害を診るということ.医学書院,2015
  • 岩波 明:大人のADHD.ちくま新書,2015
  • 佐藤恵美:もし部下が発達障害だったら.ディスカヴァー・トゥエンティワン,2018
  • 姫野/桂:発達障害グレーゾーン.扶桑社,2018
  • 発達障害ベストプラクティス‐子どもから大人まで‐.精神科治療学第29巻増刊号,2014
  • 樋口輝彦,齊藤万比彦:『成人期ADHD診療ガイドブック』.じほう,2013

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