人前で話すとパニックになり、働くのがしんどいです。

  • 作成:2021/11/23

AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、人前で話すとパニックになるというご相談です。

この記事の目安時間は3分です

人前で話すとパニックになり、働くのがしんどいです。 人前で話すとパニックになり、働くのがしんどいです。

【今回のお悩み】
仕事の立場上、数名の部下に教えたり、取引先の方との会議がよくあります。その際に突然動悸がして上手く説明が出来なくなり、不安で涙が止まらなくなることがあります。
今日も突然涙が出て話せなくなりました。対処法として、台本や予行練習をしていますが、それでも質問がきたりすると焦って話せなくなり、涙が出てきます。自分でコントロールすることができず、働くのがしんどく感じています。
去年、仕事の環境が変わり楽になりましたが、今でも勝手に涙が出てしまいます。転職も考えていますが、薬で落ち着けることは可能でしょうか? また、この内容で病院に相談しても大丈夫でしょうか?(20代・女性)

医師の回答

すぐにでも受診を。転職は急がず、まずは体を回復させましょう。

何とか現状を打開しようと予行練習までされるとは、なんて真面目な方なのかと驚いてしまいました。これ以上頑張れないくらい努力をされているのに、身体が言うことを聞かず困ってらっしゃるのですね。

結論から申し上げますと、すぐに受診をしてください。医療機関に限らず、周囲の力を借りましょう。昨年から出現し始めた症状ということであれば、お薬で早期に改善できる可能性が高いです。

人間を含めた動物の体は、生命の危機に瀕すると戦ったり逃げたりといった咄嗟の行動をとれるように、交感神経が優位になるようにできています。交感神経は心臓を速く打たせることで全身に血流を送り、血管は収縮するので血圧が上がり、呼吸も早くなります。自らへの危険信号が発されるので、精神的にも緊張が高まり、不安も認めます。

そうはいっても、ずっと戦い続けることはできませんので、身体を緩める作用を持つ副交感神経ともバランスをとりながら、うまく体の機能を調整しています。これら交感神経と副交感神経のつり合いがとれなくなってしまった状態を自律神経失調症と言います。

現代社会においては、過度の緊張やストレス、季節の変わり目、生活リズムの乱れといった様々な変化が自律神経失調症の原因となります。このように、身体からのSOSが出ているにも関わらず頑張れてしまうような真面目な方は、うつ病になりやすいので、注意が必要です。

相談者さんは、夜は眠れてらっしゃいますか? お食事は召し上がれていますか? 不安なお気持ちも強く出てらっしゃいますので、他にもいろいろな不具合があるのではないかと思います。

仕事の環境が変わって楽になったと感じているにも関わらず、転職を考えているのは、症状が続く原因は自分の努力不足だと感じていらっしゃるからでしょうか。もしそうであるならば、結論は急がずに、体調が戻ってから改めて考えてみましょう。体調が悪い時には、とにかく思い詰めがちなものです。
ここまで十分に頑張られて疲弊した身体を労わることで、もともとの元気さを取り戻していきましょう。

林 安奈(はやし・あんな)/精神科医・産業医

VISION PARTNERメンタルクリニック四谷 パートナー医師

東京女子医科大学医学部医学科卒業。東京女子医科大学病院にて臨床初期研修修了後、東京女子医科大学精神医学講座に所属し、同大学の緩和ケアチームや吉祥寺病院等で精神科医として研鑽を積みつつ、医学博士号取得。現在は多くの企業で産業医としても活動している。

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