【いま読みたい】発達っ子の入学準備〈文房具編〉えんぴつ、消しゴム…我が家のヒットアイテムはこれ!うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟−
- 作成:2023/03/07
毎日お疲れ様です。外科医ちっちです。 今回は、新1年生保護者向けの「オススメ文房具」について紹介したいと思います。 というのも、わが家の長男(自閉スペクトラムと診断されている)は、小学校で「えんぴつなし、ゆえにノートも書けない」状態で過ごしていたのです。気が付いたのは、もうすでに2年生秋の頃でした。
この記事の目安時間は6分です
学校生活の準備で大切なのは、本人が疲れにくい環境(道具)にすること
発達凸凹の子どもたちは、授業中に座ることやスケジュールの決まった集団行動によって、すぐに疲れます。
特に、毎日使う文房具は使いやすいほど、学校生活のしやすさにつながります。ポイントは2つ。
1)同じ用品の中で使いやすいもの
2)文房具は消耗品
子どもが使えるトータルの精神力を100とします。文房具の性能が低いと、ただ書く、消すといったちょっとした行動で、あっという間にゼロ近くになります。ものをなくさないように気を付ける余力がないので、文房具は「なくして当たり前」と割り切りましょう。なくすことに注意を向けるより、授業に集中することのほうが重要です。
そこで、この記事で紹介する文房具は、本人たちの希望を聞いたり、使っている時の機嫌を観察したりして厳選してきた品になります。
*学校により文房具の規定や指定があるので、購入前に入学予定の学校に確認してください。
ふでばこは頑丈でシンプルなものを
ふでばこの最重要ポイントは「頑丈さ」です。ぐちゃぐちゃのランドセルに突っ込む、ランドセルを閉めずに転ぶため、よく道路に散乱するという過酷な状況です。
そして、開け閉めについてはジッパータイプがオススメ。マグネットタイプは、適当にランドセルに入れられるため、中で開いて中身がバラバラになります。
これは持ちものすべてに言えるのですが、とにかくデザインはシンプルに。キャラクターは言うまでもなく、柄や模様が入っているだけで、授業中に空想したりして気が散ります。
長男が実際に使っている「トップライナーペンケース」(レイメイ藤井)。強度がある上にデザインも洗練されている。地下室部分がある構造(右)。普段使う鉛筆や消しゴムは1階、時折必要になるコンパスや三角定規は地下1階に入れて、使い分けている。
鉛筆は名前を入れて2~3ダース用意
小学生の「書く道具」として一番使う鉛筆。
とにかく学校のどこかに消えます。2~3ダース用意しても、毎日1本ペースで消えるのであっという間にストック切れ。入学前にたくさん用意してください。「名前入りを2~3ダース」注文しましょう。
わずらわしいので、キャップはいりません。(6年生になっても、キャップは「めんどうくさい」と使いません)
学校用は三菱鉛筆の「ハイユニ」(上)を使っている。折れにくい、紙への引っかかりなく芯が滑るので、楽に書くことができる。筆圧が弱い子にはB。逆に筆圧の強い子には芯が柔らかい6Bや4Bがオススメ。
家庭学習で使うのは、「くもんのこどもえんぴつ2B」(下)。主に幼稚園児向けの製品だが、太さがあり、三角で持ちやすいため、小学生になっても宿題の時に使っている。鉛筆ホルダーがあると、ナチュラルに正しく鉛筆が持てる。
消しゴムは小さめ常に2~3個入れておく
鉛筆以上に、なくす、ちぎられる、鉛筆にくし刺しにされる、定規で切られると悲惨な目にあう消しゴムたち。親の予想以上に「筆箱に消しゴムがない」状況が発生します。
親の理想は「1つを長く使ってほしい」ですが、子どもには小さめで持ちやすいものほうが、消しやすい。消しゴムは10個単位で買い、常に筆箱に2〜3個を入れています。
本体と紙ケースの見えやすい部分に名前は必須です。紙のケースは、すぐに擦れたり破れたりしてなくなるので、記名の位置に気をつけましょう。ケースは失くして当たり前なので、本体にも記名を忘れないように。
有名メーカーの消しゴムは、どれもレベルが高い。わが家の長男が使っているものは、折れにくく耐久性の高い「モノタフ」(トンボ鉛筆)、ペンタイプで使いやすい「モノゼロ」(同)。低学年の力任せに消す時期が終わったら、ペンタイプの消しゴムのほうが「狙った箇所が消しやすい」ので便利です。
下敷きは、ざらざらタイプか硬筆用がオススメ
筆圧調整や、鉛筆先の感覚が鈍い発達凸凹の子どもたち。
低学年のうちは、ざらざらした下敷きがオススメです。
硬筆用下敷きも適度に鉛筆の圧力がかかるので力が入れやすいです。
できるびよりの「魔法のザラザラ下じき」。片面に小さな凹凸があり、ざらざらしていて振動で「どこからどこまで動かしたか」が強調されて伝わるため、枠を守ったバランスの取れた字が書ける。必要がなくなれば、反対側のつるつるの面を一般的な下敷きと同じように使用できる。
ざらざらが苦手な子どもには硬筆用を。わが家では、三菱鉛筆の「硬筆習字用下敷NK-150」を使っています。
色鉛筆、クレパス、お道具箱は「落としてもうるさくない」を重視
缶タイプの色鉛筆は机から落とすと「ガッシャーン」とすごい音がします。あの音が苦手な子どもは多いので、ソフトケースがオススメです。
よくある厚紙箱のクレパスタイプは、ふたがなくなったり、授業中に落としてしまいます。ふたが一体になっているものがいいでしょう。
お道具箱は、中が見えて丈夫なものを選びます。
サクラクレパスの「小学生文具 色えんぴつ12色」は、ソフトケースなので落下時の音が小さい。そして、しっかり鉛筆が固定されているので、うっかり縦向きにしてもバラバラになって落ちない。
サクラクレパスの「クレパス太巻16色(ソフトケース入り)」は、ふたが一体。ほんの少しのことでも、低学年のうちは大きな負担軽減に。
4年使用している「割れにくいお道具箱クリス・タフ」(ソニック)は、半透明なので、何がどう入っているのか見やすく、丈夫で落としても踏んでも、滅多なことでは割れない。お道具箱は様々なものを突っ込まれがちなので、視覚化できることで整理整頓のはじめの一歩に。ふたをしめる時はカチッとロックがかかるので、長期休み前後に学校←→家の持ち運びもしやすい。半分は教科書・ノートを入れ、もう半分は、はさみ・のりなどの学用品を入れている。
じょうぎは「ずれない」「ゼロから図れる」がポイント
じょうぎ類は、低学年のうちは押さえる力加減がわからず、するっとずれてしまいます。そこを解決するのが、裏面に滑り止め加工した商品です。
成長に伴い、押さえることが出来るようになってくると、わが家では「両端が0表示で測れるじょうぎがいい」と言うようになりました。友達が使っているものを、勉強が嫌いな長男が学校で見かけて「これがいい」と言い出したのです。
「0から始まるって、合わせやすいんだよね。測るものを持っていきやすいんだ」と言っていました。こうやって本人の気付きがあるものは、できるだけ取り入れています。
滑り止め加工された「滑らない定規 ピタットルーラー15cm」(プラムネット)。
0から始まる「メタクリル両切直線定規15cm」(共栄プラスチック)。
発達っ子の文房具は、必ず入学前に試してみる!
この子はどんな子どもなのか、どのような道具ならば使いやすいのか、生活しやすいのか。
学校生活を一緒に想像しながら、お子様と一緒に考え、試して、選んで、入学前に家で実際に使ってみる。そうすると、使ってみたら合わなかったことも事前にわかります。
これが案外重要なのです。その子に合わない道具を学校生活で初めて使うと、子どもは「この道具はいやだけど、学校生活に精いっぱいで言い出す余力がない」状態になります。
そして、そうなっても本人たちはなかなか言い出しません。困っても表面に出さないタイプだと、親も教師も気付けないまま、生活しにくい中で何か月も経ってしまいます。わが家の長男のように、授業中に何もしないで過ごすことになるのです。
学校は楽しいと思えるよう、事前に試して確認する期間が必要です。
この道具がいいのか理由を知る。実際に使ってみてどう感じるのか、自分の能力を発揮できるための環境調整をするということは、自立への一歩だと思います。
外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。著書『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』(SBクリエイティブ)が2024年9月発刊予定。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟」
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる」
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti
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