治療法解説②:片頭痛の回数を抑える「予防療法」
- 作成:2026/07/28
片頭痛の治療薬の中には、片頭痛が起きてから使う治療薬だけでなく、日頃から定期的に飲んでおくことで片頭痛が起こる回数や頻度を減らす「予防薬」もあります。今回は、この「予防薬」がどういった場合に使うのか、どんな薬が使われるのか、どんなことに注意して使う必要があるのか、を簡単に紹介します。
この記事の目安時間は6分です
片頭痛の「予防薬」とは
片頭痛が起きた場合に「トリプタン」などの治療薬を使う……こういった対応だけでは十分に生活上の支障を取り除けない場合、片頭痛を防ぐ「予防薬」を使うことがあります。
「予防薬」は、頭痛のないときから続けて服用しておくことで、片頭痛の起こる回数や頻度を減らす、起こる片頭痛の症状を軽くする、あるいは「トリプタン」などの薬の効きを良くする、といった目的で使います。
片頭痛の予防を目的に使われる薬には色々なものがありますが、昔からよく使われているものは下記です。
ロメリジン(例:ミグシス)
「ロメリジン」は、高血圧治療によく使われるカルシウム拮抗薬という分類のもので、日本では最初に保険適用が認められた片頭痛の予防薬です。他の2つの薬に比べると副作用が少なく、また飲み合わせの悪い薬も少ないことから、比較的どんな人にでも使いやすいという特徴があります。
バルプロ酸ナトリウム(例:デパケン)
本来はてんかんの治療に使われる薬ですが、片頭痛の予防にも効果が認められたことで、“片頭痛の予防薬”としても使われている薬です。海外では第一選択薬として推奨度の高い薬ですが、眠くなりやすいこと、また妊娠中の女性は使えないなど、扱いにはやや注意が必要です。
プロプラノロール(例:インデラル)
もともとは不整脈などの治療に使われるβ遮断薬と呼ばれる薬です。他の2つの薬と違って、妊娠中の女性でも選択肢になる薬ですが、気管支喘息や心不全などがあると使えないこと、また片頭痛治療薬の「リザトリプタン」とは併用してはいけないことなどといった注意点がある薬でもあります。
新しく登場した予防療法「CGRP関連薬」
上述のお薬に加えて、ここ数年ではCGRP関連薬 抗CGRP抗体という新しい薬も登場しています。
片頭痛の発作には「CGRP」という物質が深く関わっていることがわかっています。新しいお薬は、このCGRPの働きを直接ブロックすることで、片頭痛そのものが起こるのを抑える新しいタイプのお薬です。
これまで使われてきた予防薬では効果が十分に感じられなかった方にも、効果が期待できると言われています。また、これまでの薬に比べて、即効性が高いとも言われています。 一方で、従来のお薬と比べると費用はやや高めになります。
CGRP関連薬 抗CGRP抗体薬は、これまで注射薬が中心でしたが、2025年にリメゲパント(製品名:ナルティーク)、2026年にアトゲパント(製品名:アクイプタ)と、1剤ずつ計2種類の飲み薬が登場し、 ライフスタイルに合わせて選びやすくなりました。
- 注射薬(月に1回などのペースで使用)
- お薬の例:ガルカネズマブ(製品名:エムガルティ)、フレマネズマブ(製品名:アジョビ)、エレヌマブ(製品名:アイモビーグ)
- 飲み薬(毎日、または2日に1回のペースで服用)
- お薬の例:リメゲパント(製品名:ナルティーク)、アトゲパント(製品名:アクイプタ)
※ナルティークは、発症予防薬としてだけではなく、発作時の頓服にも使えます
これらの新しいお薬は、片頭痛の治療に詳しい医師による処方が推奨されています。 「今の薬では頭痛が減らない」「新しい治療法について詳しく知りたい」という場合は、まずはかかりつけの先生にご相談いただくか、頭痛外来や頭痛専門医がいる医療機関への受診を検討してみましょう。
予防療法の進め方について
片頭痛の予防薬にはたくさんの種類があり、患者さん一人ひとりに合わせたお薬選びができるようになっています。
予防薬を選ぶときは、頭痛の症状だけでなく、患者さんの持病や、普段飲んでいるお薬との飲み合わせも大切な判断基準になります。例えば、血圧が高めの方には、高血圧の治療も兼ねたお薬を選ぶことがあります。 そのため、同じ年齢で似たような頭痛の症状でも、患者さんによって全く違う予防薬を使うことはよくあります。
予防薬はまず1種類から始めるのが基本です。多くの方で発作の回数を減らすことができ、1種類で効果が不十分な場合は2種類を組み合わせることもあります。「自分に合った薬を医師と一緒に見つける」「焦らずしっかり治療を続ける」ことがとても大切です。
予防療法はいつまで続ける?
予防薬は、主に次のような場合に使われます。
- 痛み止めの薬(トリプタンなど)を使っても痛みが十分に取れない
- 片頭痛が起こる回数が多く、仕事や学業など毎日の生活に支障が出ている
- 痛み止めを飲む回数を減らしたい
痛み止めを使いすぎると、かえって頭痛を引き起こしてしまうこと(薬剤の使用過多による頭痛)があります。「痛み止めを使う回数を減らす」ことも、予防薬を使う大きな目的の1つです。
予防薬を使い続け、「片頭痛が月に1〜2回程度しか起きない状態」になれば、予防治療は成功と言えます。この安定した状態が2〜3ヶ月続けば、お薬を少しずつ減らしていくことも検討します。しかし、ここで自己判断でお薬を減らしたり、やめてしまったりすると、片頭痛がぶり返してしまうことが少なくありません。 お薬の量や終了のタイミングについては、必ず主治医と相談しながら決めていきましょう。
1) 日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
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医師
医学博士
日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本健康経営専門医
2011年福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長、東京予防クリニック院長を歴任。現在は複数の医療機関で頭痛予防含め脳疾患治療に従事している。
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