認知症予防に有効なものは?脳・神経科医に聞いた「脳トレの効果」と「おすすめの習慣」

  • 作成:2021/09/22

9月は世界アルツハイマー月間であり、9月21日は世界アルツハイマーデーです。日本でも、各地の観光名所やタワーなどがテーマカラーのオレンジ色にライトアップされるなどのイベントが企画されています。 認知症との共存と、その克服・予防は、高齢化が進む日本にとって大きなテーマです。認知症予防のために、「脳トレ」などに取り組んでいる人も少なくないと思いますが、認知症治療にも携わる脳・神経科医は脳トレをどう考えているでしょうか。AskDoctorsでアンケート調査を行った結果とともに、脳・神経科医がおすすめする認知症予防法も併せてご紹介します。

この記事の目安時間は3分です

認知症予防に有効なものは?脳・神経科医に聞いた「脳トレの効果とおすすめの習慣」

脳・神経科医は脳トレの効果をどう考えている?

脳・神経科医309名に、脳トレに効果があるかどうか、アンケート調査を行った結果は以下の通りです。

Q 脳トレについてお考えをお聞かせください。(脳・神経科医309名が回答)

認知症予防に有効なものは?脳・神経科医に聞いた「脳トレの効果とおすすめの習慣」

一番多くの医師が選んだのは「どちらかと言えば効果があると思う」で、全体の約4割(124人)が選択しました。「効果があると思う」を選択した人数と合計すると57.6%と半数を超える医師(178人)が、脳トレに効果があると回答しました。
それぞれの選択肢を選んだ医師のコメントも併せてご紹介します。

【効果があると思う を選択した医師の意見】

  • 気分転換は脳を休ませるとともに活性化の原動力。(50代、男性)
  • 脳は使えば、活性化する。(60代以上、男性)
  • パズルやドリルをする人は、意欲が高いせいか認知症になりにくい。(50代、男性)
  • 頭を使う方が記憶力などを維持できる。(40代、男性)

【どちらかと言えば効果があると思う を選択した医師の意見】

  • 普段考えないような事を考えるのは良い。(60代以上、男性)
  • 脳トレはある程度有効とは思いますが、楽しんで継続するのが難しそうです。(60代以上、男性)
  • 仕事をしなくなった人や、今までの仕事と違う分野の脳トレは効果あると思う。それよりも運動の方が効果がありそうですが。(30代、男性)
  • 楽しくやるべき。1つの刺激ばかり続けてやるより、複数の刺激を組み合わせる方が良い。(50代、男性)
  • 効果はあると思うが過剰な期待はしないほうが良い。(30代、男性)

【どちらとも言えない を選択した医師の意見】

  • 単純なタスクの繰り返しが認知機能を維持させるというエビデンスは乏しい。(40代、男性)
  • 日常生活や社会活動そのものが脳トレになると思う。取り立てて脳トレをしようとしても続きにくいと思うので、自分から勧めることはあまりしていません。(30代、男性)
  • パズルやゲームだけで認知機能が改善されるわけではないが、なにもしないよりはましである。(50代、男性)

【どちらかと言えば効果がないと思う を選択した医師の意見】

  • 囲碁や将棋でもしていた方が有意義。(20代、男性)
  • 創造性がない。(30代、男性)
  • 質の高いエビデンスはない。(30代、男性)

【効果がないと思う を選択した医師の意見】

  • 脳トレに取り組もうという意欲がある方は、そもそも脳トレをしなくてもよい。(40代、男性)
  • 脳トレに意味はないと思うが、メンタルレベルを保つのに効果はあるかもしれない。(30代、男性)

脳・神経科医が考える認知症にならないために「おすすめする習慣」とは

アンケート調査ではこれ以外に、「認知症にならないために患者さんや一般の方におすすめできる習慣や、啓発したいことをお教えください」という質問も投げかけました。複数の医師から挙げられたキーワードは、運動や社会参加の継続、食事や会話など。具体的なコメントをいくつかご紹介します。

  • 「炭水化物だけ食べない」や「プロテインだけ食べる」といった極端な食事制限はやめてバランスのとれた食事をとり、十分眠り、よく笑い、人とよく会話をする。そういう人は認知症になりにくい。(60代以上、男性)
  • 基本は歩くこと。できれば有酸素運動となるように、少し早足で歩く。また、コロナ禍でなければ、2人以上で一緒にしりとりや計算などをしながら歩くと良い。(50代、男性)
  • 一番有効なのは身体の許す限り仕事を続けることだと思います。あとはなるべく多くの趣味を持つことでしょうか。(60代以上、男性)
  • 運動を積極的にすること。仕事などがある場合は、積極的に可能な仕事をすること。(50代、男性)
  • 計算を伴うコミュニケーションはいいと思います。(30代、男性)
  • 認知症を気にしても治療法がないので気にすること自体意味がない。(30代、男性)
  • 日記を書いて読み返す事。他人と会話をする事。社会活動。(60代以上、男性)
  • 利き手ではない側で歯磨きするなど、普段と違うことをしてみる。(30代、男性)
  • 生活習慣病全体が認知症につながるように感じています。(60代以上、男性)
  • 1人で過ごさない。誰かと会話する機会を作る。(30代、男性)
  • 運動や芸術、何らかの趣味に関わること。面倒くさいという考え方を捨てること。(50代、男性)

認知症について「○○すれば予防できる」といった“特効薬”は残念ながらまだありません。脳・神経科医のコメントも参考に、まずは自身の生活習慣を見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。

※この記事は、2021年7月29日~30日にエムスリー株式会社が運営する医療従事者専用ポータルサイト「m3.com」にて、医師会員を対象に実施したアンケート調査の結果に基づいて制作したものです

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