うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟―深夜0時にむくりと起きて「ぎゅうにゅう!」医師も驚いた「夜驚症」

  • 作成:2023/06/03

こんにちは。外科医ちっちです。うちの3人の子どもは、全員が自閉スペクトラム症の診断を受けており、いくつかの困りごとを抱えています。一緒に生活するうえで、「こんな発想でこんなことをしてしまうのか」と驚かされることもあれば、「こうとしか考えられないのか」と辛い思いをすることもあります。この連載では、発達障害のわが子の日常や、子育ての様子を徒然なるままに綴ります。世の中にはこんな「変わっている子」「変わっている人」もいることを、いろいろな方に広く知っていただき、皆が生きやすくなることを目指しています。今日は我が家の「夜驚(やきょう)」の話です。知らないと遭遇した時にびっくりするかもしれません。

外科医ちっち 監修
 
外科医ちっち 先生

この記事の目安時間は3分です

その日は突然訪れた…

長男が9歳の夏のことでした。
いつも通り寝ていた長男が突然むくりと起き上がり「うわーっ!」と叫び出しました。時刻は0時。寝入ってから3時間が経っていました。

うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟―深夜0時にむくりと起きて「ぎゅうにゅう!」医師も驚いた「夜驚症」

はっは:「どうしたの?」
にっち:スタスタスタうろうろうろ「ぎゅうにゅう」
はっは:「え?」
にっち:「なわとび」

声をかけてもかみあいません。
汗びっしょりで、体に触れると熱いです。おでこは汗でひんやりしていて、発熱ではない。その後長男は窓を見つめて窓に吸い寄せられるように近づいていきます。

はっは:「どうしたの?暑い?」
にっち:「……」

窓に向かう長男の腕を取り、リビングの方へ誘導したら素直に動きます。
その後、3周くらいリビングをうろうろして、そのまま黙って布団に行ってスッと眠りました。

うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟―深夜0時にむくりと起きて「ぎゅうにゅう!」医師も驚いた「夜驚症」

その後も毎日繰り返し、その時期は「今日もまた泣いてうろうろするのかな?」と夜になるのが憂鬱でした。

うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟―深夜0時にむくりと起きて「ぎゅうにゅう!」医師も驚いた「夜驚症」

感情が大きく動いた日は夜驚症になりやすい長男

ひと言で言えばノンレム睡眠からの覚醒障害です。
一般的には

  • 幼児期(2~6歳)に多い
  • 泣き叫ぶ
  • 汗びっしょりで、怖がっている表情
  • 中学生(思春期)までにほとんどが治まる
  • 体が起きているのに脳が寝ている状態
  • 本人の記憶はない
  • 治療は特にない
  • 怪我をさせない環境にする

……と言われています。

わが家の長男の場合は、赤ちゃんのころから激しい夜泣きがあり、3歳ごろやっと治まり、9歳でまた激しく泣き始めました。タイミングは決まって寝入って数時間の0時前後頃。大声を出して起きて、数分間部屋をウロウロしてから、そのまま寝るという毎回の流れ。

のちに、次男さんちも似た症状が出ました。うちの子たちに関しては、毎日夜驚になるわけではなく、良い悪いどちらの方向にも、感情が大きく動いたときに夜驚症になりやすいです。

長男の最初の引き金は「運動会のリレーアンカーの緊張」だったようで、運動会終了に合わせて治まりました。その後も運動会前、発表会前、楽しく過ごしたお出かけの日などに多かったです。どの時も、始まるのも終わるのも突然でした。

念のため脳神経外科を紹介されて

多分、夜驚症だろうと思いつつも、どこに相談したらよいのか分からなかったのですが、長男が通っていた泌尿器科の夜尿外来で「そういえば、夜大泣きしてトイレに行く時もあるんです~」と話をしたところ、「夜驚症だと思うけれど、てんかんかもしれない。念のため脳神経外科を紹介します」ということで、後日受診し、夜驚症と診断されました。

うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟―深夜0時にむくりと起きて「ぎゅうにゅう!」医師も驚いた「夜驚症」

長男は何故か窓の方に吸い寄せられるので、転落が怖くて窓に補助カギを取り付けました。段々と繰り返すうちに、「あぁ明日は遠足だから夜驚が出るな」と予想がつくようになりましたし、あとは転ばないか、転落しないかだけを気にかけて過ごしていました。

夜驚症のことを知らないと、ひどい夜泣きや、飛び降りようとする行動などにびっくりするかもしれません。しかも、本人はパニック状態に見えて、話しかけても返事が出来ないので、私たちも初期は焦りました。

「治療法は基本的には『成長による改善待ち』なので、安全確保をしながら待つ」という対処法を共有したいです。

外科医ちっち(げかいちっち)

外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる
・Note: https://note.com/titti2020/
・Twitter: @surgeontitti

外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。
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