【早期発見】認知症を早く見つけることのメリット

  • 作成:2024/01/25

認知症は「なったら終わりだ」と考える人は少なくないかもしれません。しかしその考え方は誤りで、認知症になってもできることはたくさんあり、周囲の協力を得て、工夫することで、自分らしく暮らせる可能性は十分にあります。認知症を早い段階で見つけられると、本人も周囲の人も今後の生活の備えができ、病気に対する工夫や対応力を少しずつ身につけていくことができます。また、適切な治療を行うことで進行を遅らせることもできます。本記事では、認知症を早く見つけることのメリットや、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)についてご紹介します。

繁田 雅弘 監修
東京慈恵会医科大学精神医学講座 主任教授
繁田 雅弘 先生

この記事の目安時間は6分です

【早期発見】認知症を早く見つけることのメリット

目次

認知症や認知機能について
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認知症の早期発見のメリット

認知症を早く見つけられると、本人だけでなく家族にも様々なメリットがあります1)

■進行を遅らせられる
認知症は、適切な治療を行うことで進行を遅らせたり症状をやわらげたりすることができます。一度失われた脳の機能を取りもどすことは難しいので、できるかぎり早く治療を始めることが望まれます。

■治せる可能性がある
認知症を引き起こす病気の中には、早めに治療すれば改善が可能なものもあります。例えば、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症などがあげられます。

■本人と家族が今後の生活の準備を早く始められる
認知症の症状が軽いうちに、本人と家族が病気に向き合い話し合うことで、今後の生活の備えをすることができます。

認知症の前段階「軽度認知障害(MCI)」とは?

認知症のように日常生活には大きな支障をきたさないものの、認知機能に問題がある状態のことを軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)といいます。年間で、MCIの5~15%が認知症に進行するといわれています2)
認知症になると進行を遅らせるための治療しかできなくなりますが、MCIの段階から対策を打てると認知機能を回復させられる場合もあります。

【早期発見】認知症を早く見つけることのメリット

健常な状態から認知症になるまでの経過

MCIから認知症への進行を防ぐ方法としては下記のようなものがあげられます1)

  • 有酸素運動
  • 筋力トレーニング
  • 旅行に行く
  • 音楽や絵など芸術に触れる
  • ゲームをする
  • 日記やカレンダーに予定を記録する
  • 家計簿をつける

ただしこれらの効果には個人差があり、本人がやりたがらない場合は、無理強いすると逆効果です。
最近ではアルツハイマー病によるMCIに処方できる新薬も登場しましたが、治療費や事前の検査が高額であることなどが課題となっています。

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MCIを発見するには

一般的に、MCIの定義は下記の5項目を満たす状態とされています3)

  • もの忘れの自覚がある
  • 年齢に比べて記憶力が低下している
  • 日常生活の動作は正常
  • 全体的な認知機能は正常
  • 認知症ではない

一方で、最近ではもの忘れなどの記憶障害が目立たないMCIもあることがわかってきており、注意が必要です。記憶障害があるタイプを「健忘型MCI」、記憶障害がないタイプを「非健忘型MCI」といいます。
健忘型MCIでは、認知症のように「体験そのものを忘れる」ということはありませんが、体験の具体的な内容を忘れてしまったり、会話のなかで同じ話や質問を何度も繰り返すなどの症状がみられます4)
非健忘型MCIでは、「物をしまい忘れる」「計画を立てられなくなる」「整理整頓が難しくなる」「集中力が低下する」などが起こりえます4)。こうした状況から人間関係のトラブルが多くなると、抑うつ症状につながることもあります。
誰でも年を取れば、もの忘れをしたり、動作が遅くなったりします。そうした加齢による変化とMCIの症状を自分自身で見分けることは難しいかもしれません。
それは医師側も同じで、基本的にMCIは1回の受診だけで断定できるものではありません。定期的に再受診して、認知機能を測定するテストを受けることで診断の精度が上がり、MCIの発見につながっていきます1)心当たりがある場合は、早めに専門医に相談してみるのもよいでしょう。

1) 繁田雅弘監修 「安心な認知症 マンガとQ&Aで、本人も家族も幸せになれる!」 主婦と生活社, 2021
2) 日本神経学会監修 「認知症疾患診療ガイドライン2017」
3) Arch Neurol. 1999 Mar;56(3):303-8.
4) 鈴木みずえ, 繁田雅弘 「軽度認知障害の人への生活支援とケア」 老年精神医学雑誌33: 1296-1303,2022

東京慈恵会医科大学精神医学講座教授。日本認知症ケア学会理事長。神奈川県平塚市にある実家を拠点に、地域住民と一緒に認知症の啓発活動などをおこなう「SHIGETA ハウスプロジェクト」を主催。主な著書、監修書に『認知症の精神療法 アルツハイマー型認知症の人との対話』(HOUSE出版)、『安心な認知症 マンガとQ&A で、本人も家族も幸せになれる!』(主婦と生活社)、『気持ちが楽になる 認知症の家族との暮らし方』(池田書店)などがある。

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