認知症に関する相談先と受けられる支援

  • 作成:2022/11/11

認知症は、本人はもちろん家族にも心身ともに大きな負担がかかります。 本記事では、認知症もしくは軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)かもしれないと思った時の相談先や、公的な支援の受け方について紹介します。

石飛信 監修
ありまこうげんホスピタル 診療部長
石飛信 先生

この記事の目安時間は6分です

認知症やMCIに関する相談先

認知症やMCIを疑ったに場合、まず相談先となるのが地域包括支援センターです。地域包括支援センターとは、高齢者の暮らしを地域でサポートするための拠点となる施設です。主任ケアマネジャー、社会福祉士、保健師といった専門職が在籍しており、主任ケアマネジャーは介護全般に関わる相談に、社会福祉士は住民の総合相談と権利や用語に関する相談に、保健師は医療・介護の相談に対応しています。

もし、お住まいの近くに地域包括支援センターがない場合には、市区町村の役所の福祉課・高齢者支援課(役所により名称が異なる場合もあります)社会福祉協議会、居宅介護支援事業所(ケアマネジャーが所属)などに相談するとよいでしょう。

また、認知症専門の「認知症疾患医療センター」が全国にあります。ここでは、認知症に関する相談をはじめ、認知症の鑑別診断、治療方針の決定、認知症の周辺症状や合併症の対応、関係する機関(かかりつけ医や入所施設など)との連携などを行っています。

【全国の認知症疾患医療センター一覧(一般社団法人認知症予防協会 Webサイト)】

そのほか、一般社団法人「認知症の人と家族の会」では認知症に関する知識や介護の仕方などの電話相談を受け付けています。

●認知症の人と家族の会
電話:0120-294-456(月〜金曜日(祝日除く) 午前10時〜午後3時)
携帯電話・スマートフォンからは:050-5358-6578(有料)
ホームページ:http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=146

公的な支援を受けるために―介護認定の流れ

認知症は、症状が進むと介護が必要になります。その際、介護認定を受けると、介護保険でサービスを利用することができます。介護認定は、その人がどの程度の介護・支援が必要かを決めるもので、要支援1〜2と要介護1〜5の7段階があります。

認知症に関する相談先と受けられる支援

介護認定は以下のような手順で行われます。

1)お住まいの地域の役所の福祉課または、各総合出張所窓口に申請
必要な書類:要介護認定申請書、介護保険被保険者証(65歳未満は健康保険証)、個人番号と身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)

2)訪問認定調査
認定調査員が家庭を訪問して、心身の状況を確認します。また、本人と家族から日常生活における介護の必要度などを聞き取ります。

3)主治医の意見書作成
市区町村から (ケアマネジャーから要請することも)主治医に依頼して、疾病状態、特別な医療、認知症や障がいの状況について求める文書を作成してもらいます。

4)コンピュータによる一次判定
認定調査の結果と主治医の意見書(一部)をコンピュータに入力し、全国一律の判定方法で、要支援1~要介護5を判定します。(この結果は最終判定ではありません)

5)介護認定審査会での二次判定
コンピュータによる判定結果(一次判定)と、医師の意見書などをもとに、保健・医療・福祉の専門家が、どの程度の介護が必要か審査します

6)認定結果の通知
申請後30日ほどで、申請者本人に被保険者証の送付、認定結果が通知されます。被保険者証には、介護度と有効期間が記載されていますので、必ず確認してください。

7)利用法の選択とケアプランの作成
○在宅でサービスを利用する
要支援1〜2…地域の包括支援センターの職員と介護予防ケアプランを作成します。
要介護1〜5…ケアマネジャーに介護保険証のコピーをわたし、居宅サービス計画の作成を依頼します。
費用はかかりません。

○施設を利用する
要介護1以上で利用でき、希望の施設に申し込みます。

介護認定で受けられるサービス

介護保険で利用できるサービスは、要支援1~2に認定された方が利用できるサービス(予防給付)と、要介護1~5に認定された方が利用できるサービス(介護給付)に分かれています。
下図に示した以外にも、居宅介護(介護予防)福祉用具購入、居宅介護(介護予防)住宅改修などがあるので、どのようなサービスがあるのかは、ケアマネジャーに聞いてみるとよいでしょう。

認知症に関する相談先と受けられる支援

※居宅サービス=自宅にいながら受けられるサービス
訪問サービス=自宅や入居している施設に介護職員が訪問して生活の介助をしてくれるサービス
通所サービス=利用者が通所介護の施設に通い、高齢者同士の交流、食事や入浴などの支援を行うサービス
短期入所サービス=宿泊して日常生活の支援を受けられるサービス。連続して30日まで利用できる
リハビリテーション=筋力や体力など身体機能を維持・回復させるため、医師の指導のもとで専門職(作業療法士・理学療法士)がリハビリを提供するサービス
介護老人福祉施設=公的な福祉施設で、一般的には特別養護老人ホームと言われている
介護老人保健施設=リハビリテーションを提供し、心身機能の維持や改善の役割を担う公的施設
介護療養型医療施設=比較的重度の要介護者に対し、医療処置とリハビリテーションを提供する施設
介護医療院=2018年より追加された、長期的な医療と介護を合わせた要介護者を対象とした施設

介護保険で利用できるサービスの利用者負担

介護保険サービスを利用する際にかかる費用は、要介護度によって異なり、利用者負担は介護サービスにかかった費用の1割(一定以上の収入がある場合は、2割または3割)です。
各サービスにかかる具体的な利用者負担はこちらをご参照ください。
なお、居宅サービスを利用する場合、要介護度別に給付限度額があります。限度額内であれば、1割(一定以上の収入がある場合は、2割または3割)の自己負担ですが、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担になります。限度額を超えないようなケアプランをケアマネジャーが出してくれますので、ご相談いただければと思います。

参考
厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo2.html
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000167902.html
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット

2003年福井大学医学部卒。福井大学神経科精神科助教を経て、2013年国立精神・神経医療研究センター 思春期精神保健研究室長。2020年よりありまこうげんホスピタル診療部長。現在、主に精神科救急医療に従事。専門は児童精神医学。児童のメンタルヘルス向上を目的とした「かかりつけ医等発達障害対応力向上研修」、「児童思春期の精神疾患薬物療法ガイドライン作成」に責任者として携わった。日本精神神経学会専門医・指導医、精神保健指定医、日本児童青年精神医学会認定医、子どものこころ専門医、日本臨床精神神経薬理学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士。

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