認知症の家族の介護・ケア体験談(50代/女性/会社員)

  • 作成:2023/11/14

本記事では、80歳で脳梗塞を発症し回復した母が、数年後の介護認定更新時に認知症と診断された、50代女性会社員の体験談を紹介します。

この記事の目安時間は6分です

認知症の家族の介護・ケア体験談(50代/女性/会社員)

認知症を疑ってから受診までの経緯

脳梗塞からの回復後、徐々に日時の認識ができなくなってきました。追い討ちをかけるように骨折で入院した後、介護認定更新時に認知症と診断されました。

80歳で脳梗塞を発症した後、少しずつ様子がおかしいことが増えていたので、覚悟は出来ていました。しかし、脳梗塞になった後も、現役で塾講師をやっていたので、まさか、とも思いました。実際に認知症と診断されたのは、82か3のときだったと思います。
母子家庭でひとりっ子なので、ひとりでどうしたらいいか、ひとりでやっていけるのか不安しかありませんでした。

診断されてからの生活

診断された後は、どうやったら少しでも進行を遅らせられるかを考え抜きました。
例えば、前の日に行った場所、食べたもの、会った人、その他洗濯をした、眠かったなどを書く"前の日日記"により、完璧じゃなくても日常生活を思い出してもらうことで、脳の活性化を図りました。また、昔の話をすると表情が豊かになることから、地元の戦前からこれまでの様子の写真集を見るなど、本人が興味を持つこと、好きなことを優先的にやってもらいました。

認知症と診断されたのが82、3で、脳梗塞後だったこともあり、薬物療法以外の治療はしていません。薬物療法も、特に効果は感じられていません。

脳梗塞の後遺症で左半身に麻痺が残り、左手を自ら動かすことができないため、最初はタオルなど簡単な洗濯物を畳んでもらっていました。洗顔を自分でするのが難しいので、私が蒸しタオルでふいていますが、、スキンケアをする、軽く化粧をするなど、右手だけでできるようなことはできるだけ自分でさせるようにしていました。
身の回りのことは全て私が世話をするいわゆるワンオペ介護で、デイサービス、ショートステイを利用しています。 デイサービスについては最初から抵抗がありませんでしたが、ショートステイについては、仕事の都合以外で預けることに罪悪感を感じていました。今は好きなアーティストのライブに行くなど、自分がやりたいと思うことをするためにもショートステイを利用しています。介護する側の私もリフレッシュし、気持ちを新たに母と向き合い、接することの大切さを実感しています。
デイサービス、ショートステイでは車椅子のみで、家では私が抱き抱えて歩かせています。かなりきついですが、歩くことで母の頭もはっきりするように感じており、寝たきりにならずにすんでいるのもそのためでは、と思っています。

母の症状は徐々に進んでいるように感じます。認知症と診断された当初は、母も私も受け入れられず喧嘩の毎日でしたが、1、2年後には母は完全に子供に戻り、その母を私が受け入れられるようになりました。今母は私を母親だと思い、私はそんな母を可愛く思っています。

日常生活で工夫していること

認知症が進行していく中で、私が身内であることはわかっても、娘なのか妹なのかわからなくなったり、私の名前がわからなくなったりするため、母には一人称を「私」ではなく名前でいうようにしています。

私がフルタイムで仕事をしているので、毎日ノートに日付けと、「今日は寒かったね、楽しかった?」、「何時くらいに帰って来る」、「飲み物飲んでね」といった、簡単な手紙を書いて置いて出ています。 母がノートを読んでいるのか、理解できているのかはわかりません。でも、極たまに、思ったより早かったね、など帰り時間についての反応があるので、読んでいるときもあるようです。 また、自分の意思でチャンネルを変えることもできなくなっているので、私が仕事から帰るまでEテレをかけておくようにしています。特に今年はウクライナの戦争の映像が流れるので気を使いました。夕方のEテレは子供番組が多く、かわいいといいながら喜んで見ています。

一番心がけているのは、1日1回大笑いをさせることです。くだらないことでも、くすぐってでも、笑うだけで、機嫌が悪くても穏やかになります。 義歯の出し入れ、顔のスキンケア、歩行など、何でもリズムをつけて言葉を歌のようにすると、このリズムのときは口を開ける、このリズムのときは目を閉じるなど、なんとなくリズムで行動を覚えているように感じます。

家族が認知症になって大変だったこと

ワンオペ介護なので、デイサービス、ショートステイを利用しても自分の時間はほとんどありません。愚痴や相談事を話すことができず、ストレス発散があまりできません。また、仕事が忙しいときでも残業ができないことも悩みです。

家族が認知症になる前の自分に伝えたいメッセージ

幸い、母の認知症は穏やかで暴力的になったりすることもなく、このままおだやかに過ごして最期を迎えられると思います。母が認知症になる前の自分には、面倒くさがらずママに優しくしてあげて、認知症になった後ママは可愛くなるからといってあげたいです。

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