うちの凸凹?外科医と発達障害の3人姉弟? 実際に利用してたどり着いた「療育施設の選び方5選」&番外編

  • 作成:2021/12/18

こんにちは、外科医のちっちです。 子育てに困っている。発達障害の診断はついた。さぁ療育をしてもらおう。どこがいいかな? 我が家が、アスペルガー長女いっちと、高機能自閉症の長男にっちの療育施設を探し始めたのは3年前。どこがいいのか、どうやって選べばいいのか、大変困りました。 児童相談所や市役所にも相談しましたが、「公的な立場からは、ここがおススメと特定の施設をお知らせすることができないのです」と言われました。今回は4か所を見学し、実際に3年間利用している私から見た療育施設の選び方5選を紹介します。

外科医ちっち 監修
 
外科医ちっち 先生

この記事の目安時間は3分です

うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟—実際に利用してたどり着いた「療育施設の選び方5選」&番外編

通いやすさや、親へのケア…療育施設選びは多角的に判断する

さっそく、療育施設を選ぶポイントを、1位から5位までと番外編を順に見ていきます。

第1位 家から近い

送迎サービスがあれば楽ですが、私の居住地ではサービスがないところのほうが多いのです。 片道1時間以上かけて通う方がいると時折耳にします。
発達障害児を連れての長時間の移動は、子どもにも親にも大きな負担がかかります。 連れていく親も疲れてイライラするし、それが余計に子どもの落ち着きのなさにつながり、 困りごとの症状がひどくなると思います。これでは何のために通っているのかわかりません。 近ければ近いほど良く、片道15分以内が望ましいと思います。

見学に行った際には、炎天下の日、大雨の日、雪の日などと、天候が悪い日に通うシミュレーションをしてみてください。徒歩やタクシーで無理なく通える範囲が良いでしょう。

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第2位 固定で週に1回以上の利用が可能

何事も週に1回、数時間通ったくらいでは定着もしないし、改善することは難しいと思います。どこの療育施設もキャンセル待ち状態で、月に2回しか利用できない施設もあると聞きますが、 できれば週に1度以上利用できる施設が好ましいと思います。
そして、今週は月曜日、来週は木曜日、とランダムになるよりも、 「月曜日は療育」と予定を固定すると、子どもも頭の中で理解しやすいので、落ち着きにつながります。

うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟—実際に利用してたどり着いた「療育施設の選び方5選」&番外編

ただし、突発的な理由で月曜日に療育に行けなかった場合、「月曜日は療育」の前提が崩されてパニックになることがありますので、気をつけたいものです。
そこで我が家では、早めに予定変更を伝えること、わざと4週間に3回の利用を予約して、「月曜日だけど、今日は療育はお休み」の日を設ける、というような対策をしています。

第3位 子どもがスタッフになつく

人間なので、合う合わないは、あります。特に発達障害児の場合は「理由を説明することは難しいけれど、この人とは合わない」があります。私から見た理由ですが、匂いや声のトーン、言葉がなんとなく否定的などが推測されます。

うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟—実際に利用してたどり着いた「療育施設の選び方5選」&番外編

1回の体験では判断しにくいものですが、数か所の療育施設を体験すると、子どもの反応で「ここは合うかもしれない」と判断できると思います。もし、利用が始まってから「合わない」と感じたら、替えればいいだけです。

第4位 母親のケアをしてくれる =子育ての味方を増やす

正直に言います。「発達障害の子育ては、親の心が病むことが多いです」。
私は、母親の心の安定は、子どもの心の安定だと感じています。
お母さんの機嫌が良ければ、子どもも、のびのびニコニコしています。ですから、母親のケアをしてくれるのが良い施設です。“ケア”と言っても大層なことではなく、「母親の体調や心の様子を気にかけてくれる」、「困った出来事があった時、親身になって時間を作って話を聞いてくれる」そのくらいで十分です。

うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟—実際に利用してたどり着いた「療育施設の選び方5選」&番外編

我が家の場合は、妻の顔色を見るだけでスタッフが、今週の家での子どもたちの調子を察してくれます。妻は、子育てに対してネガティブな気持ちを感じることもあるようです。そして、同時にそんな母親としての自分に、罪悪感も覚えてしまうのです。療育のスタッフに話すことで、気持ちをリフレッシュさせてもらっています。

また、療育中の数時間を母子ともに一緒に過ごす方針の施設もありますが、できれば1時間でもいいので、母親を子どもから解放し、母親だけの時間を作ってくれるところがいいでしょう。療育の成果よりも、母親の心の回復が何より大事です。

第5位 公的な補助が使える

うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟—実際に利用してたどり着いた「療育施設の選び方5選」&番外編

療育を利用する際には、自治体で「受給者証」(障害福祉サービス受給者証)を発行してもらいましょう。国からの補助と自治体からの補助で、実際の保護者の上限負担額は0円~数千円です。世帯での負担額(前年度所得による)なので、我が家の場合は子ども3人がひと月に何度利用しても、上限額の3100円を事業所に支払う仕組みです。

ネット上には、自称「発達障害カウンセラー」や、自称「発達障害セラピスト」のような身分を名乗り、高額でレッスンを行っている方もいるようです。概要を見たところ、エビデンスに乏しく、信用するに足りないように思います。もちろん私が知らないだけで、素晴らしい方もいるのかもしれません。
しかしお金は有限なので、自治体経由で療育施設を安価で利用するほうがいいと思います。そうでなくても、発達障害児の子育てには、余計なお金がかかります。

番外編 作業療法士や言語聴覚士の指導が受けられるか

このほかにも、作業療法士(OT)さん、言語療法士(ST)さんの療育が受けられる施設があるようです。
しかし、数は圧倒的に少なく、空きがありません。私たちの市では、対応施設はかなり遠方か、重症児のみに限定しており、見学すらかないませんでした。
協調性運動障害のある長女いっちには、作業療法のような「体の使い方の訓練が適しているのでは」と思っています。いつかOTさんの療育を受ける機会があれば、また報告させてください。

見学や家族会などを積極的に利用し、合う療育を見つける

実際に、「療育を受けましょう」ということになっても、現在、多数の療育施設があります。医師や看護師に意見を聞きたくても、正直、医療者側も民間サービスの療育の質に関しては、なかなか知識がありせん。また、立場上、特定の施設のみを勧めることもできません。

見学や、家族会などを通した先輩パパ・ママのうわさを頼りに動くしかないのですが、発達障害や自閉スペクトラム症は、子どもによってタイプは様々ですし、相性が合う・合わないは存在します。今回、お話ししてきたことが参考になればうれしいです。

外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti

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