うつ患者さんの治療体験談③

  • 作成:2025/09/11

性同一性障害への葛藤からうつ病を発症し、身体症状として現れたCさんの体験談です。最初に異変を感じたのは15歳の頃。内科を受診するも身体的な異常は見つからず、精神科で「過敏性腸症候群」と診断されます。その後、パニック障害を発症するなど、長年にわたる病との向き合い方が綴られています。受診を迷っている人へのメッセージも紹介します。

この記事の目安時間は6分です

kv

受診までの経緯

私が最初にうつ病と診断されたのは26年前、まだ15歳の学生だった頃です。

私は性同一性障害なのですが、当時は今と違って、性同一性障害への理解が周りにほとんどなく、自分自身がおかしいのではないかと深く悩んでいました。
それが原因でいじめられることもあり、だんだんと学校へ行くことができなくなりました。

その頃から、毎朝必ずお腹を下すようになり、トイレ通いで1日が始まるという感じで、日常生活にも支障が出始めました。

あまりに体調が悪いため、「内臓に問題があるかもしれない」と思い、親に相談し、内科を受診しました。
しかし、いくつかの病院にかかり2ヶ月間の検査入院もしたものの、胃腸をはじめ身体的な異常は見つかりません。

お腹の不調の原因がわからないまま、1年以上経過した頃、
診てもらっていた内科の医師から「精神的なものが原因かもしれない」と、精神科を紹介されました。

受診すると、「過敏性腸症候群」と診断され、ようやく不調の原因が精神的なものであることがわかりました。

受診後の治療経過

最初は精神的苦痛よりも身体的苦痛の方が大きかったので、薬は身体症状が辛い時に頓服として飲む程度で、カウンセリング中心の治療を行いました。
精神安定剤には抵抗があったという理由もあります。

不登校を経て卒業した後は時々再発はあるものの症状は落ち着きました。

それが、10年ほど経った頃、突然パニック障害を発症しました。
症状が一番ひどい時期は車の運転もできず、仕事にも行けなくなりました。
そこで、会社に相談して2ヶ月間の長期休暇をいただき、夜にSSRIと睡眠薬を最小量だけ服用するようになったところ、休職期間と薬が体に合ったおかげか、状態は改善しました。

現在、高速道路の運転はまだできませんが、日常生活での運転は問題なくできますし、仕事にも特に支障はありません。
仕事への復帰から10年ほど経ちますが、同じ会社で今もフルタイムで働いています

ただ、通院は今も1ヶ月に1回のペースで続けており、どうすればいいのか分からなくなり「死にたい」と思ってしまうことは今でもまだあります。

受診を迷っている方へのメッセージ

うつ病は、自分でストレスを自覚していなくても、ある日突然発症することがあります。

「気合いでどうにかなる」という根性論は、自分を騙しているだけで、症状を悪化させるだけだと思います。悪化すればするほど治療に時間がかかり、何より自分自身が辛い時間が長引いてしまいます。

うつ病は、誰がいつなってもおかしくない病気であり、恥ずかしがったり、後ろめたさを感じたりする必要はありません。

もし、少しでも「おかしいな」と感じたら、受診することを強くおすすめします。
いきなり精神科に行くのが怖いなら、まずは内科でもいいと思います。

私のように身体の不調が強く出て内科の先生に相談した場合であっても、体に異常が見つからなければ、必要に応じて心療内科や精神科を紹介してくれます。

セルフチェック オンライン診療はアスクドクターズの提携医院の
「患者目線のクリニック 虎ノ門院」が行います

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師