うつ患者さんの治療体験談⑤
- 作成:2025/09/11
激務による疲労からうつ病を発症したEさんの体験談です。平日必死に働く一方で、休日も起き上がれなくなるほどの不調に悩まされていました。産業医の勧めで心療内科を受診し、3年間の休職を経て仕事復帰。その後、心身に配慮しながら働き続け、現在は定年後の再雇用で心穏やかに働いています。治療にじっくりと向き合うことの大切さも語られています。
この記事の目安時間は6分です
受診までの経緯
私がうつ病と診断されたのは14年前、47歳の時でした。
当時は非常にハードな仕事が続いており、平日は残業もこなして必死に働いていました。しかし、その反動からか、土日になると全く起き上がることができず、趣味で楽しみにしていた予定もキャンセルしてしまうような状態でした。
それに加え、ひどい肩こりや背中の痛みに悩まされ、週に何度も整体やマッサージに通っていました。
朝起きるのも苦しい日が数ヶ月続いたため、会社の産業医のクリニックを訪ねました。そこは内科でしたが、医師は私の話を聞いてすぐに心療内科・精神科への紹介状を書いてくれました。
受診後の治療経過
精神科を受診すると、医師から「すぐに仕事を休みなさい」と言われたため、会社の上司に報告し、休職に入りました。また、抗うつ剤を処方されて飲み始めました。
初めは「1〜2週間も休めば元気になるだろう」と軽く考えていましたが、それは甘い考えでした。3ヵ月単位で休職を延長し、最終的に3年間休むことになりました。
治療を始めた頃は、心の症状より体の症状の方が強いと思っていないのですが、しだいに自分がイライラしたり、精神的に不安定になったりしていることに気づき、「これは覚悟を決めて、しっかり治さなければ」と腹をくくりました。
1年ほどかけて少しずつ家のことをこなし、徐々に好きな趣味や勉強を週1〜3日ほどのペースで始めました。
3年間の休職を経て、心身の辛さがほとんどなくなったので、時短勤務で仕事を再開しました。
1年ほどでフルタイム勤務へ移行しましたが、以前のような残業はせずにすむように会社が配慮してくれました。
その後、以前のように効率よく仕事ができなかったり、やりがいのあった仕事から単純な事務作業に変わったりしたことには、もどかしさを感じることもありますが、様子を見ながら10年近く無理なく仕事を続けました。
また、定年で再雇用となった際に、週3〜4日の勤務契約となったので、さらに心穏やかに働いています。
通院も、休職中は月2回でしたが、復職後は月1回、そして10年経った今では2ヶ月に1回に減っています。今でも仕事の負荷によっては肩こりや睡眠障害が出ることがありますが、通常の業務は問題なくこなせています。
受診を迷っている方にむけてのメッセージ
僕の場合は過労が原因だったので、医師から「とにかく原因を取り除くように」といわれたことが、本当にありがたかったです。
「10年かかって壊れた神経は、回復するのにも10年かかる」くらいの気持ちで、じっくりと治療に取り組むのがよいと思います。
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