【経過】
難治頻回部分発作重積型急性脳炎の疑いで治療している30歳男性、既往歴無しです。
ICUに半年ほど入っておりましたが、てんかん発作頻度減少と共に現在は一般病棟で治療継続しています。
一般病棟に移動してから上肢や顔面の筋緊張が出現しましたが、覚醒状況は安定し始めており、腕の動作や、顔面の表情を作る指示にはある程度従命出来るようになってきました。
しかしながら、3週間ほど前から39℃以上の不明熱と共に、意識減損を伴わない持続的な眼球上転(写真参考)が目立つようになりました。
眼球が上転している時は、大抵「下を向く」指示で正位に戻りますが、数秒後には再度上転し、下を向くよう指示しない限り上転を維持します。
覚醒状況が安定していない時も、上転→正位 を繰り返す挙動はありましたが、今回は持続的に上転している点において違いがあります。
【質問】
ジストニアの眼球上転に関する文献を読んでいると、脳炎の後遺症として症状が出る記載を見かけます。
意識回復から数ヶ月間は上転傾向が無かったにも関わらず、ある日突然上転し始める事などあるのでしょうか?
写真は下記から引用しました。
Koban Y, Ekinci M, Cagatay HH, Yazar Z. Oculogyric crisis in a patient taking metoclopramide. Clin Ophthalmol. 2014 Mar 19;8:567-9